パンフ紹介 石井紀子さん追悼の集い報告集(9月13日号)
三里塚に生きる 凜として生きる
編集・発行/石井紀子さん追悼の集い実行委員会
500円〈購入については事務局に問合せください〉
2021年4月3日、文京区民センターで「三里塚に生きる 石井紀子さん追悼の集い」が行われ、この集いを実行委は報告集としてまとめた。集い呼びかけ人は、167人(非公表129人)。紀子さんの交流の厚さを示した。ほとんどが紀子さんと農業作業したり、スクラムを組んだり、笑ったり、怒ったりした仲間たちだ。
報告集を読みながら、あらためて紀子さんの「凜として生きる」姿を思い出す。なつかしくて貴重な写真が多数掲載されている。だから過日の三里塚・東峰現地行動の前段集会、反対同盟旗開きなどでの紀子さんのアピールが今でも聞こえてくるようだ。さらに報告集には、紀子さんのメッセージ、問題提起、厳しい批判が掲載されている。紀子主義を受け止めながら今後の道を歩んでいくバネとなっていくだろう。
報告集の前半は、「石井紀子さん追悼の集い」で発言した仲間たちのアピールは以下のように再録した。
■報告集 目次
◆編集にあたって
◆集い上映映像
◆鎌田 慧「土と闘争に根を張って生きた人生だった」
◆島田 恵「紀子さんがいたからこそ」
◆藤川泰志「自分らしく農家らしく」
◆蒔田直子「野菜のむこうに顔が見える」
◆梶川涼子「あの屋根裏部屋で集まりたかった」
◆代島治彦「紀子さん、元気でいてください」
◆加瀬 勉「紀子さん、成仏しないでほしい」
◆柳川秀夫「石井紀子さんを追悼する」
◆鈴木弘子「紀子さんと畑で」
◆平野靖識「闘いの原則を大事に生きるため格闘していた」
◆閉会あいさつ・山口幸夫
◆写真
◆資料
◆呼びかけ文/呼びかけ人
後半は、いずれも紀子さんの貴重な文書(自筆も含めて)ばかりなので以下列挙しておく。
◦「のりこパック/2020年1月上旬便、2月下旬便」
◦「東峰裁判と女たち」(2016年7月/三里塚闘争50年の集い7・17東京集会発言)
◦「闘うことは生きること『抵抗する自由 石井紀子さんに聞く』(七つ森書館)
◦「闘いの冬に燃える『おにおん』より」(1987年12月)
◦「平行滑走路建設強行に対する訴え 有機農業の未来のためにどうか力を貸してください」(労働情報/1999年5月)
◦「赤い風の村」(『着陸不可』七つ森書館/2002年6月)
◦「管制塔占拠40年集会へのアピール 初心にたち返って」(2018年3月)
◦「素晴らしかった最終意見陳述」(1985年3月)
◦「父ちゃんは無実だ 女たちの千葉行動」(1986年2月)
◦「ワンパック通信 R子さんへの手紙 運輸大臣との会見後の状況」(1990年9月)
◦「暫定滑走路供用阻止東峰現地行動での発言」(2002年4月18日)
◦「赤い風の村より 第3号」(1999年10月)
◦「2019年7・14東峰現地行動へのメッセージ」
温存・助長され
た性差別主義
紀子さんの問題提起は、いずれも原則的であり、鋭いものだったが、とりわけ三里塚闘争、運動内に温存・助長されている性差別、男主義に対しては現在的にもあてはまり、掘り下げていかなければならないテーマだ。
「闘うことは生きること」の中で紀子さんは、「大学にはいって、9月の第二次代執行にむけてきたんですね。夏、小屋の常任活動みたいなのをやっていて、戦闘態勢だからしょうがないこともあるんだけれども、女の人を見回りのときにカムフラージュに使ったり、おにぎり係だったりとか、どうしても二次的な形で闘争のなかではあつかわれちゃっていたわけですよ。いっしょにいたリブの女の人たちは『こんな男の状況ではやってらんない。こんなのは駄目だ』と、見切りをつけて帰ってしまったんです。わたしは、そういうところであるならば、なおさらここにとどまって、変えなきゃいけないみたいな」と発言している。
紀子さんは、女性を二次的な役割、つまり性別役割分担と称する性差別を前提とした運動の組み立てがあったことを実体験を通して批判している。より主体的にひきつければこのような性差別構造を土台にして、利用する形で三里塚労農合宿所性暴力事件(1982年8月)があったし、日本革命的共産主義者同盟と日本共産青年同盟の性暴力事件と組織内女性差別問題が発生していた。
この総括と教訓をどれだけ体得していたのか。その水準を示したのが、管制塔占拠40年集会(2018年3月)への紀子さんの「初心にたち返って」アピールでの批判だった。
「今回私は、この集会への参加を求められた際『女性が発言者の中に一人もいないんです』と言われました」「私は『女性の発言者がいないから』なんて理由でよばれたくありません。いない筈ないんです。もっとちゃんと探してください」「他のマイノリティの話はわかっても、パートナーであるべき女性の話は素通りしてしまうような『オレがこの社会を作っている』というつもりの男になり下がってはいけません」。
この紀子さんの批判に対して管制塔40年集会相談会一同(私も参加者の一人)は、「石井紀子さんの問題提起に応えて」(紀子さんアピールとセットで掲載)で「紀子さんの主体を無視しておこなった」「男性だけの相談会の女性差別意識の上で準備をしたことが女性たちの声を集め切れなかった」と自己批判に向けた問題点の「整理」に近い文書を明らかにした。
すでに紀子さんがかつて批判していた性差別と男主義が2018年3月25日集会に至る過程においても温存・助長され、再犯していたのであった。つまり、結果・現象的に概要をしめしたにすぎず、そこにいたるプロセス、歴史性も含めた根拠と分析、主体的切開にまで迫ることまで浮き彫りにすることはできなかった。あえて問われている多くの課題は、今後の取り組みの中で再検証し、より具体化させていくという決意表明であった。(石井紀子さんアピールと管制塔40年集会相談会一同文書は、「3・25集会報告集」に収録)。
本文は、とりあえず報告集を読んだ私の感想と課題の一部を紹介した。 (遠山裕樹)
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