「これ以上海を汚すな市民会議」毎月13日スタンディング
福島原発事故
汚染水の海洋投棄をやめろ
漁民の生業・地場産業を護れ
【いわき】今年4月13日菅政権は関係閣僚会議開催し、2年後を目途とする福島第一原発汚染水の海洋投棄を決定した。現業3団体(農・林・魚業)や住民・地元自治体の反対を顧みない決定であった。そして政府・東京電力が2015年県漁連と交わした「丁寧に説明し関係者の理解なしには如何なる処分も行わない」とする約束を破る行為でもあったのである。
それをあいまいにしようとして、茨城県・宮城県等の周辺自治体および漁連などへの説明会を実施している。しかし漁連は反対の立場を堅持し、自治体の理解の獲得には依然として成功していない。その渦中で政府・東京電力が汚染水処分開始を急がせる理由が根本から崩壊する事態も浮上している。毎月13日前後のスタンディングを「これ以上海を汚すな市民会議」が全国に呼び掛け、7月から福島県内外で実施される等、汚染水海洋投棄を止めるための行動は続いている。
約束違反の
海洋投棄
「これ以上海を汚すな市民会議」が呼びかけたスタンディングは9月13日、14人が参加し小名浜アクアマリン前で実施され、参加者個々が海洋投棄反対の発言をした(郡山は前日実施)。
自民党は今年4月開催された関係閣僚会議の場において、福島第一原発汚染水の海洋投棄を決定した。明らかに2015年に東京電力が県漁連と交わした約束=丁寧に説明し関係者の理解なしにはいかなる処分も実施しない=を破るものであった。
これ以降東京電力は理解を得る行為と称して茨城・宮城等福島県周辺地域において自治体・住民団体及び漁業者団体等を対象に説明会を実施している。説明の柱は、期限、風評被害対策、安全性の説明、についてである。
廃炉工程の破
綻の自己暴露
先ず期限についてだが、政府・東京電力は復興と廃炉の両立を掲げ、これまで、汚染水海洋投棄の必要性について、「回収した燃料デブリの保管場所、燃料デブリ回収装置の試験場」等を理由とし、その開始時期について、「福島第一原発敷地内に林立する処理水タンクは、廃炉完了時には完全に姿を消していなければならない」などと言い、海洋投棄開始時期を「廃炉工程表」に示された期限内の福島第一原発敷地内に林立する「汚染水貯留タンク」の完全処理完了可能な刻限と説明してきた。用地については燃料デブリ回収不可能、汚染水タンクの大型化等多様な反論が展開されてきた。
最近資源エネルギー庁は、「廃炉工程の破綻の自己暴露」ともいうべき言説を開始している。それは「原子炉内の状況、廃棄物の取り扱いなど不確定なこと多数」、「廃炉終了後の姿は提示不可」と「廃炉の大切な話」(「廃炉の大切な話」(富岡町所在の廃炉資料館内配布、発行資源エネルギー庁)の中でしていることである。
現存汚染水貯留タンク処分完了と仮定しても「核燃料」、及び多様な汚染レベルの放射性廃棄物、使用済み核燃料、燃料デブリ(量、時期など未知の領域多数)が留め置かれるのは必至なのである(東京電力は現在これ等の大型貯蔵庫を建設している)。
明確になっているのは廃炉工程の破綻である。保管場所の選定及び保管方法等核汚染物質の処分方法の論議を置き去りにした廃炉工程は、福島原発事故被害の深刻度を反映しない。廃炉工程は破綻している。福島第一原発の事故処理計画は再検討されなければならないのだ。
東京電力が
被害補償拒否
次に風評被害対策だが、政府は「万が一」に被害発生の場合のセーフティーネットとして「被害の実態に合った、必要十分な賠償」を提示している。しかし、「原子力損害賠償紛争解決センター」)の斡旋案を東京電力が拒否する事態が頻発している。ADRは原発事故被疑者の早期救済を目的に設置されたものであり、果たして、「東京電力は福島原発事故加害企業としての認識を保持しているのか」が問われているのである。
汚染水海洋
投棄断固反対
賠償に関していかなる論議も東京電力のADR斡旋案を拒む態度の改善なしには信用に値しない。そして「漁業の事業継続への不安」が漁民をして「汚染水海洋投棄断固反対」を貫かせていることを指摘しておかなければならない。
福島県海面漁業漁獲高統計によると、震災前の2010年に3万8600tだった水揚げは、原発事故を原因とする操業自粛により2011年に激減。
その後、漁港などハード面の復興が進んでも水揚げ量は、2018年は約5900tと震災前の約15%の水準にとどまっている。金額ベースでも、2010年の109億5900万円に対して、18年は7億9600万円と7・3%の水準だ。
本格操業へ準
備を開始矢先
第一原発から半径10キロ圏内の海域では操業自粛が続いている。それ以外の海域での漁獲に関しては、県の放射性物質検査に加えて、漁協独自の検査も実施し、安全性確保に最大限の努力をしてきた。そして2021年3月には試験操業を終了し、4月から放射性物質検査は継続しつつ第一原発10キロ海域を除く本格操業への準備を開始した。政府が関係閣僚会議の場で汚染水海洋投棄を決定したのは、その直後同月13日であった。漁民の意思を矮小化してはならない。
福島第一原発廃炉工程は破綻した。新たな事故処理計画を策定せよ!
福島第一原発処理水の投棄は汚染水の海洋投棄であり、放射性物質の海洋投棄である!
経済産業省・東京電力は汚染水海洋投棄決定を撤回せよ!福島原発汚染水の海洋投棄と福島原発事故被害の矮小化を許すな!経済産業省提示の賠償システムは漁民を侮辱するものである!漁民の生業を護れ!福島県の地場産業を護れ!
(浜西)
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