桜井建男同志を追悼する
日本革命的共産主義者同盟(JRCL)静岡県委員会
桜井建男同志が、9月4日午後8時半に急逝した。
数カ月前から体調不良が続き、病院の検査で「食道癌」であること、病状はステージⅢということが判明したのはついこの間だった。
9月1日に見舞いに訪れた際には、やつれてはいたが元気で、治療を通じて1日も早く運動への復帰を述べ、病院での検査では「肺も胃も腸もきれいで転移はなし、抗がん剤治療と食事療法を併行して行いつつ、衰弱した体力の回復をはかったうえで摘出手術を行う予定である」と述べた。
病状と治療方針を聞いて、一安心して戻った3日後の訃報であった。御家族の話によれば死因は心不全であった(享年75歳)。
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彼は、リニア中央新幹線工事差し止め訴訟の会事務局員として口頭弁論の開かれる度に姿を見せていたし、5月の静岡県中部地区メーデー集会には「空港はいらない静岡県民の会」を代表して県への公開質問状の提出とその後の闘いに言及するあいさつに立った。
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桜井同志は、1970年代初頭、第4インターの活動が不在の静岡の地にNさん(故人)との結婚を機に赴いた。
静岡での活動は、三里塚・芝山連合空港反対同盟の闘いに呼応して「三里塚闘争に連帯する会」を組織しこの活動を通じて青年・学生を青年同盟に組織し、やがて1978年3・26開港阻止・管制塔占拠闘争へと登りつめる闘いを実現していった。
また、中曽根による国鉄の分割民営化が総評の中核部隊である国鉄労働組合解体を通じて総評・社会党ブロック解体を企図した攻撃に抗して、国労防衛の世論喚起を期して国鉄分割民営化反対リヤカー・キャラバン(舞阪駅~沼津機関区)を提起し先頭になって取り組んだ。リヤカー・キャラバンは県下の東海道線沿線で国労組合員との交流や大きな感動をもたらした。この闘いは、やがて分割民営化を拒否する国労修善寺大会へ繋がっていったし、われわれが右翼労働戦線統一に反対して闘う勢力として県下の労働戦線に登場する契機ともなった。
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1987年6月、斎藤県知事の下で静岡空港建設検討専門委員会が発足。12月、専門委員会の建設予定地選定を受けて県は、建設地を静岡県の中央部の島田・榛原地区に決定すると、榛原郡榛原町坂部地区の住民150人が空港反対で県庁に座りこむ。榛原町長に宣言文を手交、デモ行進を実施する等の反対行動が行われた。専門委員会の岡田委員長は建設地決定は「拙速だった」としながらも1989年12月には静岡空港基本計画案(2500m)が発表され、1991年11月、国の第6次空港整備5カ年計画で静岡空港が「予定事業」となり93年8月に石川知事が就任すると空港新設等「新規事業」に格上げされ翌(94年)6月、国は空港事業を採択する。95年12月、県は空港設置許可申請を行う。反空港の闘いはここから一挙に本格的な闘いとなった。
県下各地の闘う仲間たちは、当初から現地でのチラシ入れ、援農、立ち木トラスト運動、植林地の下草刈りといった作業を行いながら空港反対の大きなうねりをつくり出していった。県の設置許可申請を受け、地元の「空港ノー」吉田町民の会、空港を考える周辺住民の会(島田市)、空港に反対する自治体議員の会などの諸団体の他、沼津石油コンビナートや田子の浦ヘドロ公害に反対して闘ってきた住民運動のメンバーなどを中心に1996年1月13日に「空港はいらない静岡県民の会」が結成され、事務局長に桜井同志が選出された。
空港闘争は現地集会と県下各地での集会・宣伝行動、裁判提訴(設置許可取り消し訴訟、空港建設費支出差し止め訴訟、事業認定取り消し訴訟等)、3度の県知事選挙闘争(島野、水野、吉田候補)中央省庁への要請行動、住民投票条例請求署名運動(有効26万9735人)を展開した。2005年2月には公聴会闘争が行われ、8月、県による立ち入り調査阻止行動、9月には強制測量阻止行動(6日間)、11月~12月にも強制測量阻止行動(8日間)を闘う。文字通り山野を駆け回る身体を張った闘いが闘われた。これらのすべての闘いを事務局長として切り盛りしたのが桜井同志であった。空港が開港されて以降も廃港を目指す闘いとして今日まで継続されている。
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われわれは、得難い同志を失った。その喪失感はあまりに大きい。
われわれは、組織内女性差別問題を契機に組織の分裂と第4インターナショナル支部資格停止(1991年)という後退を余儀なくされた。昨年、国際主義労働者全国協議会(NCIW)の同志たちと共に日本支部協議会として日本支部としての活動を再開し歩みを始めた矢先であった。
おりしもアメリカでそして日本でも兇暴で貪欲な資本主義(新自由主義グローバリズム)が生み出したとてつもない貧困と格差、気候変動による自然災害の巨大化、コロナウイルス感染症のパンデミックのなかで「社会主義」、「マルクス」が注目を集める時代が到来した。桜井同志が熱望し一日も早い戦線復帰の決意を述べた時代にわれわれは真正面から挑戦する。闘いはこれからだ。
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