9.19南西諸島への自衛隊配備に反対する(10月4日発行)
服部良一さんが馬毛島報告
野党の共同を実現するために
【大阪】南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会は、宮古島を訪れて基地建設反対運動の人々と交流した人たちを中心に2019年につくられた。年に1~2回の講演会を開き、月に1回JR環状線駅頭街宣活動を続けている。今年になって初めての講演会が9月19日エルおおさかで開かれ、今年7月馬毛島を訪問した服部良一さんが報告した。50人ほどの市民が参加した。
今年になって社民党幹事長の役を担うことになった服部さんは、7月10日種子島の西之表市の八板市長を訪問し、西之表市で市民集会に参加。11日には社民党全国基地問題連絡協議会が開催された。この日程の前段で馬毛島への訪問が行われた。ただし、基地建設予定地への立ち入りは許可されなかったという(講演要旨別掲)。
立憲民主党の
基地政策批判
講演では市民・団体連絡会の要請に関連して、壁になっているのが立憲民主党の安保政策だということが最後に指摘された。重要土地等調査規制法案に対して立憲民主党が取った態度、枝野代表の著書である『枝野ビジョン』(文春新書)で展開されている「健全な日米同盟」・民主党政権時代に基盤的防衛力構想から動的防衛力構想に転換し、ミサイル防衛や島嶼防衛が推進されていることを自慢するような姿勢は、地元現地の運動に対する障害になっている。地元の運動団体の要請が実現する糸口が見つかることを期待したい。服部さんの講演の後、宮古島で基地反対運動を続けている清水早子さんのズームによるアピールがあったが、ここでは割愛した。 (T・T)
服部良一さんの報告から
沖縄の基地強化を絶対とめろ
基地建設反対
連絡会再結成
絶滅危惧種であるマゲシカ(ニホンジカ)が生息する馬毛島は、鹿児島県種子島に属する小島で、種子島から12キロの沖合に浮かぶ。50年前は緑豊かな島だったが、今は大半の森林は伐採されている。馬毛島が注目されるようになったのは、かつては人が住んでいたこの島を、防衛省がタストン・エアポート社から、評価額45億円のところを160億円での買収に合意したことが、2019年1月マスコミ(朝日新聞)で報じられてからだ。この買収資金は予算化されていないため、辺野古新基地建設費用から流用することを当時の菅官房長官が指示したと言われている。
しかし矢板俊輔市長は、この基地建設に反対の立場で2期目の西之表市長選に当選した。一方、市議会は推進の意見書を提出している。馬毛島が、米空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)の候補地として初めて報道されたのは、2007年のことである。2006年日米ロードマップにもとづいて、米軍空母艦載機は厚木から岩国に移駐し、2018年3月に60機の移駐が完了した。現在FCLPは岩国から1400キロ離れた硫黄島で行われているが、米軍はもっと便利な場所を要求していた。馬毛島は岩国から400キロの距離にある。島の買収契約が成立した2019年11月、FCLP用の米軍施設建設に反対する市民・団体連絡会が再結成された。服部さんたちが訪問した7月10日、市民集会が開かれ、150人が参加した。
馬毛島の総合
軍事要塞化?
馬毛島は、馬毛島開発から1974年に平和相互銀行が買収。その後いくつかの事業を試みるが失敗し、平和相互銀行は住友銀行に吸収合併される。その後、島はタストン・エアポート社に買収された。【2010年に会社が制作したビデオを上映】 。
FCLPだけでも問題なのに、防衛省は馬毛島を全島基地の島にしようとしている。2019年4月に開かれた日米安全保障協議委員会で米国は、日本の努力を高く評価し、2020年8月防衛省は、馬毛島の整備計画を公表した。南西島嶼防衛のために、陸海空自衛隊の訓練施設、後方支援施設、米軍FCLP施設、西日本の米軍・自衛隊の訓練拠点を整備するという内容である。
要するに、総合的な軍事要塞基地をつくるということだ。護衛艦いずも型空母も接岸できるような港湾施設も計画されている。工期は4年、常勤隊員150~200人、官舎は種子島に置くという。滑走路は2450mと1830mの2本、FCLPは年に2回、各10日、1日は10時~深夜3時までで種子島上空には飛行しないとなっているが、実際のことはわからない。
2021年2月、環境アセス手続きが開始された。4月1日から国民の意見を受付。545項目に要約された意見概要書が作成・公表されている。その主な内容は、基地や訓練の具体的な内容が不明・海洋汚染の懸念・米軍機の騒音データ・飛行経路や時間が不明・マゲシカや希少動物保護の計画がない・漁業等への影響が不明などである。
立憲民主党は
軌道修正を!
馬毛島基地が完成すれば、台湾有事や尖閣有事をにらんだ日米合同の不沈空母という軍事要塞が、日本の税金を使って誕生する。西之表市民・団体連絡会からは、野党合同の馬毛島問題対策チームを結成し、政府・防衛省への交渉を行ってほしいとの切実な要請が来ている。


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