9.17満州事変90周年・緊急集会(10月11日発行)
侵略戦争の歴史を学び直す
いま、どのように論議すべきか
「中国敵視」の
歴史認識批判
9月17日午後3時から、衆院第1議員会館で「満州事変90周年・緊急集会」が行われた。参加者数は約100人。
「満州事変(1931年9月)」を機に、全面的な中国侵略戦争に踏み込み、ついには対米英戦争へと突入していくことになった、90年前の歴史をふりかえり検証していく作業は、一見古臭い話の繰り返しのようにも見える。確かに90年前の歴史がこれからそのまま再現されることなどありえない。しかし、今日の保守政治家や右派言論の中国へのコンプレックスに満ちた言説を見たり聞いたりするにつけ、私たちの側からする「この90年の歴史」の総括につながる歴史の検証と、民衆レベルでの歴史観の突き合わせといった作業は、やはり欠かすことができない、と思わざるを得ない。集会の副題は「戦争の歴史を隠蔽し、性懲りもなく中国敵視に走るのか」。
侵略の正当化
を許さない!
われわれは、中国共産党政権の政策にはきわめて批判的であり、香港の同志たちと連帯し、中国共産党の民主主義への否定・弾圧、少数民族の権利の剥奪を厳しく批判し、香港やウイグルをはじめとする民衆の運動を支援してきた。それと同時に、安倍前首相に代表される近代天皇制日本帝国主義による中国侵略の歴史(南京大虐殺に典型的な)を正当化する極右の言説・行動を徹底的に糾弾しなければならないことは言うまでもない。
中国民衆との連帯は、この2つの要素を不可分の課題とする。
この集会の主催団体は、副題のように、主に社会党・自民党連立政権だった村山富市政権を支えた学者や旧社会党系の活動家が中心になっており、「満州事変」90年を機に、あらためて安倍政治に顕著なように近代日本のアジア侵略戦争の歴史を「正当化」しようとする動きに危機感をもって批判する知識人、活動家を中心にしたものだった。
現在の中国政権に対する批判的言及(たとえば香港の民主主義運動、ウィグルなど少数民族への弾圧など)が全く語られなかったことは残念だったとしか言いようがない。「それはまた別の話」とは言えないのだから。
「満州事変」の
歴史的再整理
総合司会は吉池敏子さん(アジア・フォーラム横浜代表)。主催者あいさつは村山元首相の秘書で「村山首相談話の会」理事長の藤田高景さん。藤田さんは「安倍・菅政治の最も重大な問題点は歴史認識の欠如」だと指摘した。
来賓スピーチは軍事ジャーナリストの前田哲男さんの「南西諸島へのミサイル配備と対中戦争の危険性」、そして森田実さん(東日本国際大学名誉教授)の「アジアの平和と繁栄の肝は、日中の協調と友好にある」。
前田さんは「第2次世界大戦は『満州事変』によって口火が切られたのではないか」と語り、「いま『米艦護衛』『台湾防衛』によって愚行の歴史が繰り返されようとしている』」と警鐘を乱打した。
連帯のあいさつが「日中友好8・15の会」(日中元軍人の会)代表幹事の沖松信夫さんから「柳条湖事件記念日に思うこと」と題して行われた。次に田偉さん(東方文化芸術団)が「日中友好の思いをこめて」と題して独唱した。
「尖閣問題」を
どう捉えるか
次に浅井基文さん(元広島平和研究所所長)が「日中共同声明・日中関係のあるべき姿を考える」と題して特別講演を行った。
浅井さんは「1・対中・対韓感情の変化から分かること」、「2・敗戦日本の出発点・ポツダム宣言」、「3・歴史認識問題と日中関係:日中共同声明」、「4・日中関係改善のための運動側のポイント」という4つの部分に分けて提起した。
この最後の部分(運動側のポイント)で、浅井さんは①原点(日中共同声明)に立つことの重要性、②間違っている「世論」に迎合するのではなく、正すことこそが日中友好に資すること、③自民党政治の親米反中路線の危険な本質を明らかにすること、④緊要課題:野党勢力に対する強力な働きかけ*立憲民主党に正しい対中政策を構築させること*国民民主党・共産党の対中姿勢が立憲民主党に感染することを許さないこと*社民党と立憲民主党との「『共闘・選挙協力』において正しい対中政策を柱に据えること」と述べている。
浅井さんはこの点で、中国共産党、政府の立場を「領土」=尖閣の帰属を含めて野党の側が支持することを求めている。われわれは、「領土紛争」問題における日本の側の「領土」要求の主張に一貫して反対してきた。つまり「尖閣諸島」を日本固有の領土とする政府・与野党の主張に反対してきた。その立場は変わらない。
おそらくすべての野党は、この浅井氏の主張を受け入れられないだろう。討論がどのように、とりわけ沖縄の人びとに受け止められるのか。
これらの問題をさらにていねいに論議していこう。 (K)
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