10.28那覇地裁、カヌーチームの千葉さんが海保による暴力行為に対し国家損害賠償を求めた裁判の第1回口頭弁論
海上保安庁はカヌーへの暴力を認め、率直に謝罪・賠償せよ!
千葉和夫さんが意見陳述
沖縄報告 沖縄 K・S
10月28日(木)午前11時30分から、那覇地裁で、カヌーチームの千葉さんが海保による暴力行為に対し国家損害賠償を求めた裁判の第1回口頭弁論が開かれた。101法廷には抽選に当たった23人が傍聴した。この裁判は、海保の暴力を公にし謝罪と賠償を求めることで国家権力の暴走にストップをかけようとするものである。
千葉さんは、裁判長をしっかりと見すえ、時折り身振りを交えながら、意見陳述を行った。次回期日は来年1月22日(火)午後2時。法廷は約20分で閉廷した。そのあと、城岳公園で報告集会が開かれ、約50人参加した。司会は、千葉さんの裁判を支援する会の西浦さん。報告に立った千葉さんは「海保のGBとカヌーを比べたら、戦車と乳母車のようなもの」と切り出し、海保の無謀な暴力を強く糾弾し、事件後、半年以上経過したにもかかわらず依然として、右手・首・右足に残る後遺症について述べた。さらに、県民投票の結果は非常に重い、生物多様性の海を土砂投入により壊してはいけない、と訴えた。
そのあと、三宅弁護士が臨時制限区域の正当性がないことを話し、支援する会の二人の共同代表(金井創さん、鈴木公子さん)が裁判支援を呼びかけた。
原告の請求棄却を求めた国の答弁書は「接触は一回のみ」「GB28が減速し停止する直前に、その船首ゴム製部分が原告の左腕及び胸部付近に軽微に接触したものにすぎず」、それにより「障害が生じたとは認められない」などと述べ、責任逃れに終始している。海保と海上保安官たちは、自分達が行使する国家権力の大きさを自覚し謙虚に反省する術を覚えよ。
千葉さんの
意見陳述要旨
1.海上保安庁GB(複合型ゴムボート。ゴムのコーティングはされているが、船体の大半は強化プラスチックでできた堅牢な高速艇)の衝突による大けが
4月15日午前11時30分ごろ、カヌー9艇でK8護岸付近で抗議活動をした。私も赤土満載のランプウェイ台船に抗議するため全力でカヌーを漕いだ。数分後、私の体に向かって左前方からGBが突っ込んできた。私は恐怖を感じ「危ない」と大声で何度も警告した。しかし、海保は何の回避行動もせずそのまま私の左胸に激突し、乗りかかってきた。私の体はほぼ全身が船の底に入り込み、「死ぬかもしれない」という恐怖に襲われた。もし船の底に入ってしまうと、スクリューに吸い込まれ細切れ状態になってしまう。この時の恐怖感はとても口では言い表せない。必死に船底からはい出しGBに抗議した。私が明確に覚えているのはここまで。
その直後、後で動画を見て確認したが、今度は右後方から別のGBが私の後頭部めがけて突っ込んできた。衝撃で気を失い、気が付いたら数時間後、県立北部病院の待合室にいた。意識がまだ朦朧としていた。
これは操縦ミスとは考えられない。2艇のGBが偶然に一人の人間に突っ込んでくるとは思えない。海保はどんなに荒れた海でも人命救助を行う高い技術を身につけた集団である。彼らは「適切な業務」という言葉を使い正当化するが、本来国民を守る組織がこのような暴挙に走るのはとても容認できない。
2.海上保安官の行為の違法性
海上で行なわれていることは、実際には密室で行われていることとほぼ同じである。つまり、ほとんど目撃者はいない。それをいいことに、本来公正中立であるべき公務員・海上保安官はなんでもありだ。
例えば、抗議活動に対してビデオ撮影は当たり前、その違法性を指摘しても答えることはない。いや、答えることができないのだ。また、GBから飛び込んでカヌーをおさえる行為の適法性も説明できない。
とはいえ、海上保安官の多くは海が好きな若者である。共に美しい海を守っていきたい。
3.現在の体調
海保に激突された日から今日で6か月と2週間経過した。まだ通院中。①右手中指・薬指のしびれが約20%残っている。②首の痛みが約30%残っている。特に朝は痛みが50~60%ある。首を回す動作は、左側15~20度が限界。右側は90度まで可能。③右足土踏まずから前の感覚がない。下駄を履いているよう。車の運転が厳しい。
カヌーチームの報告まとめ
10月29 日(金)安和桟橋
9艇のカヌーとボート一艇で、7月中旬以来、安和での阻止行動を展開した。
10時30分、輸送船が赤土の積み込み終了、ベルトコンベアが桟橋に向かってもどり出航の体制である。
急いでカヌーを浜から漕ぎだし、台船の周りや桟橋下に展開して待機する。カヌーと海上保安庁のボートが混在しているので赤土輸送船はなかなか出航できない。海保が船から離れろ、と執拗に付きまとうが、拘束されない距離をとりながら、一隻目の離岸を見送り、二隻目の着岸する輸送船へ向かって力の限りカヌーを漕ぐ。すぐに拘束されたが、それでも45分程船の動きを遅らせた。
暗いうちから起き出して、カヌーを運び、桟橋で2時間待機してやっともぎ取った45分の重さを、パドルを握るこの手ではかる。
2隻目の赤土輸送船は12時に桟橋に着く。そして12時20分ごろから積み込みが始まる。昼も休まない。
しかし、私たちは本日はこれまでとして第二テントに戻る。それからカヌーを洗ったりして、自分の部屋に戻ったのは14時20分。その後昼食をとった。
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