10.24「日の丸・君が代」不当処分撤回!

学校に自由と人権を
憲法を変えさせない

累計484人
もの不当処分
 10月24日、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会など10団体の実行委員会は、「憲法を変えさせない!誰も戦場に送らせない! 『日の丸・君が代』強制反対!10・23通達撤回! 学校に自由と人権を!10・24集会」が全電通会館で行われ、135人が集まった。
 東京都教育委員会(都教委)が卒業式・入学式などで「日の丸・君が代」を強制する10・23通達(2003年)を発出してから18年たち、これまで「君が代」斉唱時の不起立・不伴奏等を理由に延べ484人もの教職員に不当処分を強行してきた。
 小池都政下においても都教委は新自由主義と愛国心教育を継続し、人権無視の暴挙を行っている。新型コロナ感染拡大の最中でも卒業式の式時間を短縮するが、式次第に「国歌斉唱」を入れ、生徒・教職員を起立させ、CDで「君が代」を大音量で流し、「起立」を命じた。まさに「君が代」のための卒業式でしかない。
 これまでの最高裁、東京地裁、東京高裁判決は、10・23通達関連裁判の処分取り消しの総数は77件66人にのぼる。河原井さん根津さん09年停職処分取消訴訟は2021年2月、最高裁決定で根津さんの停職6月処分を取り消した高裁判決が確定している。ところが都教委は、2013年3月卒業式以降、最高裁判決に反し、不当処分、転向強要のための「再発防止研修」を繰り返している。
 このような都教委の攻撃を許さず、10・23通達関連訴訟団・元訴訟団によって、新たな決意を込めて集会を行った。

子どもたちを
戦場に送るな
 実行委員会あいさつが近藤徹さん(被処分者の会)から行われ、「学習指導要領改悪による小中学校の『道徳』の教科化、高校の科目『公共』、政府による高校歴史教科書の記述変更の強要等の狙いは、教育の政治支配と愛国心教育による『お国のために命を投げ出す』子どもづくりに他ならない。来る総選挙では憲法を守り立憲主義の回復をめざそう。『日の丸・君が代』強制と都教委の教育破壊を許さず、『子どもたちを再び戦場に送らない』ために、共に闘っていこう」と訴えた。
 主催団体の「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会、「日の丸・君が代」強制反対・再雇用2次訴訟を語りつぐ会、東京・
教育の自由裁判をすすめる会、「日の丸・君が代」強制反対 予防訴訟をひきつぐ会、「君が代」強制解雇裁判をひきつぐ会、「日の丸・君が代」強制に反対し子どもと教育を守る会、
東京都障害児学校教職員組合、東京都障害児学校労働組合、都高教有志被処分者連絡会、河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会の紹介が行われ、壇上に勢ぞろいしスクラムを強化した。

中野晃一さん
がメイン講演
 中野晃一さん(上智大教授)は、「戦後の誓いとしての日本国憲法─自由と人権のために」というテーマで講演した。
 「冷戦期は、9条をめぐる『護憲』対『改憲』の対立構図だった。冷戦終盤期は、新自由主義の広がりと「改革の政治」の時代が始まった。
だがポスト冷戦期はグローバル資本主義の展開であった。実際には9条が隠された争点となり、1995年頃を境に『壊憲』の動きとなった。自由主義と袂を分った新自由主義の暴走と、それを覆い隠すための『健全なナショナリズム』論が展開された。具体的には、アメリカを盟主としたグローバル経済秩序の下、日本企業を守るため、9条の縛りから自衛隊を解放し、日米安保の強化、対米従属の『愛国』というパラドックスからそらすためのヘイトが強まっていった」。
 「『改革の政治』が、ヘイトと分断の『アイデンティティの政治』を呼び込み、対米従属路線の強化と抱き合わせで、歴史修正主義、排外主義が広がり、復古的『改憲』論も再興されることになった。『立憲』と『非改憲』(壊憲)へとシフトした対立構図となっている」。
 そのうえで現在は、「グローバルな寡頭支配の拡散(トランプ、安倍、プーチン、習近平など)し、コロナ禍の中、むきだしになった貧困、経済格差、排外主義、差別や暴力が広がっている。この流れに対する対抗運動としての『イスラム国』により殺害された後藤健二さん追悼『I AM KENJI』、#MeToo、Black Lives Matterなどの『名乗りの連帯』が取り組まれた。このことで『分断と支配のグローバリゼーション』と『連帯と共生のグローバリズム』としての対立構造が成立している。私たちは、ヘイトと分断を乗り越える他者性・隣人性に基づく『連帯の政治』を実現していく必要がある」と提起した。
 さらに中野さんは、「『安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合』の取り組みもあって、総選挙になんとかまにあって野党統一候補を次々と実現することができた。だが衆議院選挙の次は、来年の参議院選挙がある。この間の成果を固め、下から積み上げていく過程を大事にして参院選挙を射程にして共に闘っていきたい」と強調した。

処分・再処分
撤回させよう
 「あなたに話しかけるのが希望」をテーマに、
よしだよしこさん、広瀬波子さんのライブコンサートが行われた。
 特別報告として、東京「君が代」裁判5次訴訟原告団は、「都教委の攻撃に屈せず、従来の最高裁判決の枠組みを突破し、戒告を含む全ての被処分および再処分の取り消しを求め、第5次訴訟が始まった。都教委の命令と処分の教育支配を変え、学校に自由と人権を取り戻そう。粘り強く共に闘っていこう」とアピールした。
 最後に集会アピールを参加者全体で採択した。(Y)

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