寄稿 総選挙結果/新潟県

6選挙区で4勝2敗
過去含め共闘の教訓多数

 今回の総選挙で全国的に野党陣営の敗北が広がる中、いくつかの選挙区では踏みとどまった。新潟県の6選挙区でも4勝2敗という結果となり、市民・野党共闘側が勝ち越した。現場からその成果と課題を報告する。なお、解散総選挙においては現職議員は自動的に失職するため、「現職」との表現は正確ではないものの、この原稿においてはそのまま使用することとする。

勝利の背景には
共闘の積み重ね
 新潟の市民・野党共闘の勝利の背景には、この間の国政・首長選挙などにおける共闘の積み重ねの経験がある。この枠組みには、新社会党や緑の党など国政に議席を持たない政党、市民連合@新潟なども参画し、十分な役割を果たして来た。今回の総選挙に向けても、1年以上かけて6野党会議が重ねられ、その結果、共産党と国民民主が候補を擁立した新潟2区を除き、5つの選挙区すべてで統一候補(現職3・新人2)が実現することとなった。
 各統一候補の陣営では、それぞれ濃淡の差はあれ、基本的に全野党が関与しながら選挙戦の陣形が整えられていった。選挙本番直前には、2区を除くすべての候補者が市民連合@新潟との政策合意調印式に臨み、そこに全野党が出席した。

分裂選挙区でも
特筆すべき動き
 統一候補の選挙区では、まず、県都の旧新潟市をエリアとする1区で立憲民主の西村智奈美(現職)候補を全野党が応援。相手候補は忖度発言で問題となり、前回参院選で落選した塚田一郎・元参院議員に加え、秘書への暴行で自民党を離党・議員を辞職、維新から出馬した石崎徹だった。2人の資質に問題があったとはいえ、西村候補は自民・維新がそれぞれ全力で支えた相手候補2人の票を合算した数も上回る得票となった。
 3区は立憲民主の黒岩宇洋候補(現職)と自民党の斉藤洋明候補(比例復活現職)の対決。前回は黒岩氏が50票差で勝利となったが、その結果を受けた自民党側の危機感と地域の掘り起こし活動の展開が、黒岩陣営の活動量を上回ったと言える。2万票近い差となり、大きな課題を残した。
 4区は立憲の菊田真紀子候補(現職)に対し、三条市長を辞して臨んだ自民党の国定勇人氏が挑む形。国定陣営はあからさまな利益誘導発言や菊田バッシングを繰り返したが、各地域でフル回転した菊田陣営が全力でたたかい、支援政党も必死で支え、菊田氏がわずか240票足らずの差で勝利することとなった。
 5区は前新潟県知事の米山隆一候補(女性問題で知事職を辞職)が無所属で出馬、社民党が選対の中心となり、これを全野党が応援した。相手は自民現職の泉田裕彦・元知事、さらに無所属の森民夫・元長岡市長だった。米山氏は支援者や有権者に迷惑をかけたことをお詫びしつつ、2020年に米山氏と結婚した連れ合いの室井佑月さんとともに、選挙前から文字通り二人三脚で熱心な活動を積み重ね、事前から有利な闘いを進めて勝利した。
 6区は前回、民主党の解体の混乱で無所属で出馬し僅差で落選(政党所属であれば比例復活できた)した梅谷守・元県議が、日常活動の積み重ねと連合から共産までが幅広く支援する枠組みを活かし、現職の自民党・高取修一・元農産副大臣をわずか約140票という僅差で破った。
 一方、野党統一とならなかった2区は、柏崎刈羽原発を抱える地域だ。自民党内で候補を一本化した細田健一候補(比例復活現職)が10万票台の得票だったのに対し、これに挑んだ国民民主の高倉栄・前新潟県議と共産の平あやこ・前新潟市議がそれぞれ3万票台にとどまる結果となった。ただ、敗れたものの、共産の平候補を社民・新社会・緑の各政党、自治労組織や高教組なども熱心に支えるという、新潟県の政治史ではこれまでなかった特筆すべき動きとなったことは強調しておきたい。

間違いなく
共闘の成果
 一方、勝利した4選挙区の自民党候補は全員が比例復活することとなった。前述通り、4区と6区は薄氷の勝利であった。各陣営の高齢化も課題だ。
 選挙結果を受けて連合代表らのあからさまな「市民・野党共闘」攻撃が重ねられているが、新潟の共闘においては、連合からの妨害的な対応は少なくとも表立ってはなかった。ただ、立憲には連合の顔を伺うような対応もなかったとは言えない。
 立憲の全国的な敗北は、共産党も加わる「野党共闘」にあったのか、むしろ「野党共闘」が不十分だったからなのか、議論がある。新潟の勝利した4選挙区の経験から言えば、明らかに後者を支持する。4区と6区の僅差での勝利は、「偶然の要素」「誤差の範囲」とも言えるが、その偶然が2選挙区で起きたことは、共闘陣営の粘り勝ちによるものでもあり、優勢で勝利した1区・5区と共に、間違いなく共闘の成果である。逆に、これがなければ厳しい結果だったことは間違いない。
 また、新潟だけでなく、自民党幹事長の甘利明(神奈川13区)や石原伸晃・元幹事長(東京8区)、平井卓也・前デジタル相(香川1区)ら大物を破ったのは、明らかに「野党一本化」による効果だ。これはもっと強調されるべきだ。
 さらに、今回の選挙だけでなく、新潟における2018年県知事選と新潟市長選での結果を比べ併せて見ると、ここからも教訓が得られる。この2つの選挙においては、「共闘」は連合の顔色をうかがう中途半端なものになり、その結果争点の明確化にも失敗し、敗北した。特に新潟市長選においては立憲以外の野党は間接的にしか関与できず、共産党周辺の活動家や市民に熱気は見られず、他の一連の共闘選挙とは性格が決定的に異なるものとなった。
 さらに遡って、2016年知事選でも市民野党共闘側が勝利したが、この時、連合は保守候補の側にいた。これらの一連の結果を客観的に見れば、連合幹部らが言う「共産党や市民連合との共闘はあり得ない」とする主張通りの選挙の枠組みでは、逆に勝利が困難であることは明確だ。

 散漫な内容となったが、今回の選挙総括の議論に寄与するものがあれば幸いである。各選挙区で奮闘された候補や仲間の皆さんに敬意を表し、取り急ぎ報告としたい。    
        (B・B)

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