10.29狭山事件の再審を求める市民集会 不当有罪判決から47年

東京高裁は鑑定人尋問・再審開始を
決着をつける時がきた

 10月29日午後1時から、東京・日比谷野外音楽堂で、狭山事件の再審を求める市民集会「不当有罪判決から47年!東京高裁は鑑定人尋問・再審開始を!」が同市民集会実行委の主催で行われた。コロナ感染症の拡大により、2年ぶりの中央集会であり、各県代表参加形式で行われ久々の開催に喜びに満ちていた。
 12時半から、ニシカワmeetsフォークの素晴らしい音楽によるプレイベントの後に本集会が開かれた。組坂繁之さん(部落解放同盟中央本部委員長)が「鑑定人尋問をぜひ実現し、石川さんの無実を勝ち取りたい」と開会のあいさつ。
 次に再審請求人の石川一雄さんが力強く決意表明した。
 「私には糖尿病があり、コロナに感染しないように、1年10カ月家に閉じこもっていたが、器械を買って運動していた。『裸の写真を撮ってくれ』と妻に頼んだが、『あなた歳を考えなさい』と言われた。私は来年早々に83歳になる。筋骨隆々の姿を皆さんに見てもらいたかったのだ」。
 「真実を明らかにするために、鑑定人尋問、証人調べをしてほしい。それを権利として要求する。ワクチンを2回打った。石川一雄を全国に呼んでほしい。私は元気、元気そのもので、無罪を勝ち取るため、死んでも死にきれない。3次再審で無罪を勝ち取るため力をお貸しください」。
 連れ合いの早智子さん。「石川はコロナ禍のなか、何としてでも生きる努力をしていた。事件発生から58年、見えない手錠がかかっている。選挙権も奪われたままだ。百歳まで生き抜くという石川だ。新証拠が出され、検察を追いつめている。鑑定人尋問を要求する。権力犯罪、差別判決を撤回させる」。

発見された万年筆は被害者の物ではない
 続いて、弁護団報告。中山武敏さん(狭山弁護団主任弁護人)が「確定判決では自白に信用があるとした。しかし、自白は部落差別によるものだ。差別に基づく違法捜査を認めさせる。弁護団は246点の新証拠を提出した。すべての証拠の開示、鑑定人尋問を実現させる」と報告した。次に中北龍太郎さん(狭山弁護団事務局長)が再審請求の中身について報告した。
 「10月に出した新証拠は検察に対する筆跡についての反論。補充書で、脅迫状は石川さんには書けないというもの。開示された取り調べテープによると、図表の説明文が取調官の指示によって書かされたことが分かる。それは間違いだらけだ。石川さんは小学1年生のひらがなでさえ習得出来ていなかった。脅迫状はひらがなの誤りがない。そんな脅迫状を石川さんが書くことは不可能だ。石川さんの筆記能力を小学低学年生の水準以上と認定する判決(証拠の主軸とするもの)が根本からくつがえっている」。
 「万年筆。下山第2鑑定でインクの分析を行った。石川宅から押収され被害者のものとされている万年筆から、クロムという成分が入っていなかった。被害者の使っていた万年筆からはクロムが入っていた。発見された万年筆は被害者のものでないことが判明し、石川犯人説が根本からくつがえった。有利な状況になっている。鑑定人尋問を迫っていきたい。弁護団の最終意見書を提出する。まさに正念場だ。共にがんばろう」。
 片岡明幸さん(部落解放同盟中央狭山闘争本部長・副委員長)が「狭山第3次再審闘争は大詰めを迎えている。鑑定人尋問要求と弁護団の最終意見書を提出したい。来年の春か夏か裁判所の判断が出るだろう。裁判所に決断をせまる全国的に大規模集会を開いていきたい。決着をつける時がきた」と基調提案をした。
 
袴田巌さんは
無実だ再審を
 山崎俊樹さん(袴田さんを救援する清水・静岡市民の会)が姉の秀子さんのメッセージを紹介した後、袴田再審の現状を報告した。「昨年12月22日、最高裁が東京高裁に差し戻す判決を3対2で行った。2人は再審を決定すべきとする意見だった。犯行着衣が1年2カ月後、みそタンクから発見された。着衣についていた血痕は赤みが残っていた。2018年、着衣に付いていた犯人のものとされる血痕の色について、みそ漬け実験をした。1カ月で黒くなる。最高裁はどの段階で黒くなるのか、を求めている。再度実験すると、塩分や発酵の影響で数日で黒くなる。誰でも検証が可能だ。袴田さんの無実は明らかだ。年が明ければよい判断が出るだろう」。
 冤罪犠牲者の橋本幸樹さん、鎌田慧さん(狭山事件の再審を求める市民の会事務局長)のアピールの後、集会アピールが採択された。いつもは銀座を通り東京駅の先の常盤橋公園までデモ行進をするが、今回は霞が関を一周するデモ。元気に「再審実現、石川無罪」を訴えた。重大局面に入っている狭山再審闘争を各地で取り組み、石川さんの完全無罪を勝ち取ろう。集会アピールを別掲載する。(M)

 集会アピール


 47年前の10月31日、東京高裁の寺尾正二裁判長は、無実の石川一雄さんに無期懲役判決をおこなった。弁護団は「ペテンだ」と抗議し、石川さんは「そんことは聞きたくない」と怒りをこめて叫んだ。この不当有罪判決が、石川さんにいまも「みえない手錠」をかけていることを忘れてはならない。
 第3次再審請求で弁護団が提出した新証拠によって寺尾判決は完全に崩れている。
 寺尾判決は、脅迫状と石川さんの筆跡が一致するとして有罪証拠としたが、コンピュータによる筆者異同識別鑑定は、石川さんが脅迫状を書いた犯人ではないことを科学的、客観的に明らかにした。証拠開示された取調べ録音テープを分析した識字能力鑑定によって、当時の石川さんが部落差別によって文字を奪われた非識字者であり、脅迫状を書けなかったことも明らかになった。
 下山第2鑑定は、蛍光X線分析でインクの元素を調べ、石川さんの家から発見された万年筆が被害者のものとはいえないことを科学的に明らかにした。
 証拠の万年筆は、10数人の警察官が家宅捜索を2回もおこなった後の3回目の捜索で、発見された。発見現場は高さがわずか176センチのお勝手入口のカモイだ。47年前、寺尾裁判長は弁護団が求めた現場検証を却下し、判決で「カモイは背の低い人には見えにくいから見落とした」と決めつけて発見経過の不自然さをごまかした。心理学者による探索実験にもとづく鑑定は、人がものを捜すときには、見えにくいかどうかの問題ではないと指摘し、カモイに万年筆があれば家宅捜索で警察官が見落とすはずはないことを明らかにしている。石川さんの自白通りに被害者の万年筆が発見されたとして有罪の決め手とした寺尾判決の誤りは明らかだ。
 寺尾判決は、「取調べでスラスラ自白した」という警察官の証言を根拠に、自白は信用できるとした。しかし、第3次再審で取調べ録音テープが証拠開示され、死体がどうなっていたかなど犯行の内容を石川さんが語れず、取調官が誘導してウソの自白をつくっていたことが暴かれた。部落差別にもとづく予断と偏見に満ちた捜査、別件逮捕や代用監獄の取調べを正当化し、警察の誤った鑑定と密室の取調べで作られた自白に頼って石川さんを犯人と決めつけた47年前の寺尾判決の誤りと不当性は明らかだ。石川さんは58年以上も冤罪を叫び続け、多くの新証拠が提出されてきたにもかかわらず、寺尾判決以来47年間、一度も事実調べがおこなわれていない。わたしたちは、東京高裁が鑑定人尋問をおこない、狭山事件の再審を開始するよう強く求める。
 先日、布川事件の国賠裁判で、東京高裁は、警察、検察の違法な取り調べによって冤罪が作られたことを認めた。狭山事件も同じだ。桜井さんの勝利判決やこの間の再審無罪の教訓をふまえ、再審における証拠開示や事実調べを保障し、再審開始決定に対する検察官による抗告を禁止する法改正が急務である。わたしたちは、再審法改正を強く国会に求める。
 狭山事件の第3次再審も袴田事件の差戻審もヤマ場を迎える。石川さんも袴田さんも無実だ!再審開始と無罪判決にむけてともに闘う。映画「SAYAMA」「獄友」の上映運動をすすめ、すべての冤罪犠牲者や支援運動と連帯し、冤罪根絶にむけた司法改革、再審法改正を実現する闘いを全力ですすめる。
 一日も早く石川さんの「みえない手錠」をはずすために狭山事件の再審を実現しよう!
 2021年10月29日
 狭山事件の再審を求める市民集会 参加者一同

コロナ感染症が拡大するなか、体を鍛え無実を勝ち取るために死力を尽くすと訴える石川一雄さん(10.29 日比谷野音)

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