『県内市町村史に掲載された中国での戦争体験記を読む』

~沖縄出身兵170人の証言~
増補改訂版

発刊のご案内

 昨年6月『県内市町村史に掲載された中国での戦争体験記を読む~沖縄出身兵100人の証言~』を発行したところ、県内外から好評をいただいて、間もなく品切れとなった。読者からは、「父が中国での戦争体験を泣いて話していた」「父は南京で戦死した」「兄は折り目正しい人だったが、帰って来るとまるで別人のように素行の悪い人間になってしまっていた」等々という家族の方々の体験談が寄せられた。
 県内市町村史の戦争体験記録には、沖縄戦だけでなく、中国やサイパン、フィリピン、シベリアなどアジア各地での戦争に関する実に多くの証言が残されている。なかでも、1931(昭和6)年にはじまる日中戦争の15年には、沖縄の数万人の青壮年が動員され、満州(中国東北部)をはじめ中国各地で、日本軍による戦争の実際を目撃し体験し、数千人が死傷したと思われる。
 資料編で採録した21市町村170人の証言には、生い立ちから徴兵検査、出兵、隊内のいじめ、過酷な戦場、日本軍の暴力、同僚兵士の死、捕虜生活、帰還、さらには沖縄戦での再召集などが詳しく語られている。それぞれ個性的で異なる体験をひとつにまとめて眺めると、まるで、沖縄県民をめぐる歴史パノラマの映像を見るような迫真力がある。
 本文では、昭和の戦争を日本の明治維新と琉球併合、さらに薩摩の琉球侵略、豊臣秀吉の朝鮮侵略までさかのぼって、位置づけ捉えなおして見た。そうすることによって、昭和の戦争の姿がよく見えてくる。本文、資料編ともにかなりの分量になったが、その分、分かりやすい内容になったのではないかと思う。学生、サークル、市民団体などの学習会に利用いただければ幸いだ。
 A4判442頁(本文162頁、資料編265頁)
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