10.29北上田毅さん講演集会
辺野古建設事業の現在問う
「遺骨」まじりの土で基地を作るな!
10月29日午後6時、東京・淡路町の連合会館会議室で「辺野古のいま―『設計変更』への知事最終判断の内容」と出した講演集会が、沖縄から北上田毅(きたうえだ つよし)さん(沖縄平和市民連絡会)を招いて開催された。集会には70人が集まった。
北上田さんは「辺野古新基地建設事業の現状と課題」と題して約1時間にわたって講演した。北上田さんは「本土」の大学で土木技術を学び、沖縄に赴いた専門技術者として、「辺野古の軟弱地質」問題を先駆的に提起し、辺野古新基地建設反対の運動に大きな役割を果してきた。
以下、北上田さんの話しを紹介する。
戦死者の骨が
まじった土
防衛局は「辺野古埋め立て土砂は沖縄県内で全量調達可能」として、当初は「多くは県外から調達」としていた方針を変更し、県内全域(とりわけ南部)から埋め立て土砂を大量に集めると主張するようになった。そのため、沖縄戦での死者の骨が含まれる土が違法なやり方で掘り起こされ、基地建設に大量に使用されるようになった。糸満市の「魂魄の塔」近くの新しい鉱山開発で沖縄戦死者の遺骨を含んだ土が掘り起こされ、新基地建設に使用される、という事態も大きな問題となった。糸満市の米須では採掘事業者が「禁止看板」を出して、遺骨収集者が立ち入れなくなる、という事態も起きた。
政府は業者による「遺骨まじりの土地の採取」に対して「充分な配慮が必要」と口先では語りつつ、事実上野放しのままである。糸満市の熊野鉱山開発では、「自然公園法違反」「森林法違反」「農地法違反」「糸満市風景づくり条例違反」などの多くの違法行為が明らかになっている。
沖縄県が管理している米須霊域の「魂魄(こんぱく)の塔」周辺でも、前の道路がダンプトラックの「通行路」になる恐れが指摘されている。辺野古の埋め立て土砂が調達される八重瀬町の琉球セメント安和鉱山では林地開発許可を得ない採掘が明らかになっている。同様の事態は、八重瀬町の第2丸真コーラル鉱山、糸満市の束里鉱山などでも明らかになっている。
地元住民が県
庁前ハンスト
沖縄県庁前では3月1日から6日まで地元住民の具志堅さんら5人がハンストを決行した。デニー沖縄県知事も3月6日にハンスト中の具志堅さんを激励に訪れた(このハンストについては本紙3月15日号4面「沖縄報告」のトップ記事として紹介されている)。
自民党沖縄県連、公明党沖縄県本部も沖縄防衛局に対して「辺野古新基地建設に賛成・反対を問わず、沖縄戦の激戦地であった南部地区から遺骨混入の土砂が使われることは人道上、許されない。南部地区の遺骨混入の土砂を辺野古新基地建設の埋立土砂として使用することは県民として耐えがたい。その県民感情に深く配慮すること」との要請書を沖縄防衛局に提出せざるを得なかったのである。
知事は毅然と
した対応を!
北上田さんは、講演の最後に「今、求められる知事の毅然とした対応」として、次のように語った。
1 遺骨が混じった南部地区の土砂を辺野古埋立に使わせないこと。
・設計概要変更申請の不承認
・埋立承認の際の留意事項に基づく、土砂に関する図書の変更不承認
※辺野古新基地・埋立承認の際の留意事項(2013。12・27)
添付図書の変更
「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書、環境保全図書を変更不承認」
2 熊野鉱山の開発届に対して、自然公園法33条2項で中止を命令すること
*糸満市の意見書、具志堅さんや皆様方の意見を含めて、措置命令を出せるかどうか検討していきたい」(2021 3・9環境部長)。
あらためて気を引きしめ、沖縄の闘いに連帯する「本土」の闘いをつくり出そう。 (K)
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