沖縄報告:沖縄県が防衛局の変更申請を不承認処分
岸田内閣は沖縄県の指示に従いすべての埋め立て工事を中止せよ
沖縄 K・S 11月29日
玉城知事が県庁で記者会見
工事を中止し県との対話の場をつくれ
玉城知事は11月25日午後、沖縄県庁6階会議室で記者会見を開き、沖縄防衛局が提出していた「普天間飛行場代替施設建設事業に係る埋立地用途変更・設計概要変更承認申請書」(変更承認申請書)について、「本日不承認とする処分を行った」と発表した。昨年4月に提出された変更申請について、沖縄県はこの間沖縄防衛局に対し4度にわたり452件の質問を行って審査を続けてきたが、最終的に不承認の通知を行ったものである。沖縄県HPのトップページから、「辺野古新基地建設問題最新情報」をクリックすると、不承認通知書と審査内容のPDFを見ることができる。
審査内容を詳しく説明した後、玉城知事は記者団との一問一答で次のように述べた。
「厳正に法律に基づいて審査を進めてきた。不確実な要素を抱えたまま見切り発車したこの工事は絶対に完成しない。工事を中止し県との対話の場を設けることが一番重要だ。今回の審査は行政手続法に基づく審査基準があることから、南部の土砂の件について反映させていない。しかし、遺骨混じりの土砂が埋立に使用されることは絶対にあってはならない」
知事の不承認発表を受けて、「遺骨を守るという観点から知事の不承認を歓迎する」(ガマフヤーの具志堅さん)、「やっと不承認を出してくれてほっとしている」(平和市民連絡会の北上田さん)、さらに辺野古・安和のゲート前から「やっとだ。県を信じていた」「不承認は当然」「国は対抗措置をとるのを止めよ」「全国でも反対運動が広まって欲しい」などという声があがった。
日本自然保護協会(亀山章理事長)は県の不承認決定を支持する声明をすぐに発表し、政府に対し「工事を中止し、県との対話に応じ、客観的で科学的な検討の場を設けるべきだ」と述べた。
不承認の詳細
な審査内容
沖縄県の発表文によると、審査事項を項目ごとにあげて不承認の理由を詳細に述べている。その要旨は以下の通りである。
①変更承認申請に「正当の事由」があるとは認められない。審査事項「変更の内容・理由が客観的見地からやむを得ないと認められるもの」に適合しない。
②「埋立の必要性」について合理性があるとは認められない。審査事項「埋立ての動機となった土地利用が埋立によらなければ充足されないか」「埋立ての動機となった土地利用に当該公有水面を廃止するに足る価値があると認められるか」「埋立地の土地利用開始予定時期から見て今埋立を開始しなければならないか」「埋立をしようとする場所が埋立地の用途に照らして適切な場所と言えるか」にいずれも適合しない。
地盤の安定性等に係る設計に関して最も重要な地点において必要な調査が実施されておらず、地盤の安定性が十分検討されていない。埋立の動機となった土地利用が可能となるまで不確実性が生じており普天間飛行場の危険性の早期除去にはつながらない。
③「国土利用上適正且合理的なること」(公有水面埋立法第4条第1項第1号)の要件を充足しない。審査事項「埋立の規模及び位置が適正かつ合理的か」に適合しない。軟弱地盤が確認されたが、災害防止に十分配慮した検討が実施されていない。
④「環境保全及災害防止に付き十分配慮」(公有水面埋立法第4条第1項第2号)の要件を充足しない。辺野古・大浦湾には、ジュゴンやウミガメ類など絶滅危惧種262種をはじめ5334種の生物が生息しており、この十数年の間に多くの希少種が新たに発見されている。
審査事項「護岸、その他の工作物の施工において」「埋立土砂等の採取・運搬及び投入において」「生活環境への悪影響、水質の悪化、有害物質の拡散、濁りの拡散、水産物等への悪影響、大気汚染、騒音、振動、植生・動物への悪影響、自然景観への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交通障害等の防止、その他環境保全に十分配慮した対策がとられているか」に適合しない。
審査事項「埋立地の護岸の構造が、例えば少なくとも海岸護岸築造基準に適合している等、災害防止に十分配慮されているか」、さらに、審査基準「埋立区域の場所の選定、埋立土砂の種類の選定、海底地盤又は埋立地の地盤改良等の工事方法の選定等に関して、災害防止につき十分配慮しているか」に適合しない。
水深70m以深の地盤改良は、これまで施工実績がないことから、現時点における技術力では施工できないものと考えられる。
オール沖縄会議の
緊急集会に250人
辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議は知事の不承認処分を受け、翌26日昼、県庁前広場で、知事の不承認支持、辺野古新基地NO!を掲げた緊急集会を開いた。集会には、沖縄県選出の4人の衆参両院議員(赤嶺政賢、新垣邦男、伊波洋一、高良鉄美)、てぃーだ平和ネット・共産党などに属する県議をはじめ、各地から駆け付けた労組、島ぐるみなど約250人が集まった。
会場には、那覇市職労、国公労、全水道、高教組、私鉄沖縄、全港湾、フード連合、沖教組などのノボリがひるがえった。進行はオール沖縄会議事務局長の福元勇司さん。国会議員、県議会会派代表、平和市民連絡会のアピールのあと、玉城知事のメッセージが紹介された。知事は「新基地は絶対に出来ないと確信している。基地のない、人びとにやさしい社会につくり上げよう」と呼びかけた。
そのあと、大城紀夫(オール沖縄会議共同代表)さんがリードして、ボード・アピールとガンバロー三唱を行った。
またもや行政不服審査 を
行おうとする岸田内閣
岸田内閣の対応はどうか。松野官房長官は「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性除去を考え合わせると辺野古移設が唯一の解決策」と述べ、岸防衛相は「不承認理由を精査していく」と語り、県に対する対抗措置をとることを示唆した。琉球新報2021・11・27によると、沖縄防衛局・防衛省はまたもや行政不服審査制度を悪用した対抗措置をとろうとしているという。
大浦湾に広がる軟弱地盤の存在が公になったのは、北上田さんによる3年前の情報公開請求によってだった。ところが、安倍内閣・防衛省は、翁長知事が6年前埋立承認を取り消したときにすでに知っていたが、裁判で不利になるからとずっと隠してきたことが、つい先日の共同通信の情報公開請求により明らかになった。日本の行政機構の隠蔽体質は、日本がまだまだ国民主権でないことを示す。
岸田内閣は軟弱地盤の事実を直視せよ。辺野古埋立の破綻を認め県の指示に従ってすべての工事を中止し、新基地建設計画を白紙撤回せよ。
11.24 琉球セメント安和桟橋ゲート
赤土砂搬入に絶え間なく抗議の行動
水曜日は島ぐるみ南部の担当となっている。午前午後を通して、南風原、豊見城、八重瀬、南城その他を合わせて十五、六人。参加者は休むことなく、ノボリを持ちプラカードを掲げ、土砂を運搬するダンプに対し、埋立ストップ!赤土土砂を運ぶな!との意思表示を行なった。
音楽も登場した。「一坪たりとも渡すまい」「島人の唄」「国頭サバクイ」「ワルシャワ労働歌」「5月のパリ」「岩のように」「あなたのための行進曲」など、沖縄だけでなく、ヨーロッパ、韓国の闘争歌を流し、マイクでアピールを続ける。
最近、わ・れナンバーの車が、ゲート前の抗議行動にスマホのカメラを向けたり、手を振ったりすることが増えてきた。さらにこの日は、修学旅行のバスが通過した際、窓を開けて手を振る高校生が数人。ゲート前のマイクは、「県民の大半が辺野古新基地に反対しています。皆さんの地域・職場に沖縄の声を伝え広めてください」と呼びかけた。







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