12.1クーデターから10カ月「ミャンマー国軍の資金源を断て」・同要請書

クーデターから10カ月 4省に要請
経済支援を止め、人権侵害の加担をやめろ

 12月1日午後6時から、外務省前で「#ミャンマー国軍の資金源を断て」アクションが呼びかけ団体 メコン・ウォッチ、国際環境NGO FоE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター(JVC)で行われ、60人が参加した。

新閣僚に具体
的行動求める
 私たちはこれまで、「ミャンマー国軍の資金源を着実に断つ」具体的な行動を日本政府や企業に求めてきました。しかし、ミャンマーで経済協力を行うとともに、日本企業のミャンマーにおけるビジネスを後押ししてきた日本の外務省、財務省、国土交通省、経済産業省は、ミャンマー国軍を利する可能性がある事業について、いまだに「資金源を断つ」具体的かつ有効な措置をとっていません。それどころか、なし崩し的に経済協力を続けています。
 このような状況を受け、今年10月の新政権下で就任した4省の新大臣宛てに、それぞれ以下のような要請内容を含む書簡を提出した。
・外務省:国際機関を通じた人道支援を除く、政府開発援助(ODA)の停止。
・財務省:複合施設事業(Yコンプレックス)への国際協力銀行(JBIC)の融資停止。
・国土交通省:複合施設事業(Yコンプレックス)等に係る海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の契約破棄。
・経済産業省:イェタグン・ガス田におけるガス生産に伴い発生する支払金を国外にプールするなどの方策の確立。確立できない場合は、同事業からの出資撤退。
 日本の新政権がミャンマー市民からの切実な訴えに耳を傾けることに「聞く力」を使い、多大な経済支援をミャンマーに振り向けてきた日本政府としての責任ある行動をただちに取るよう、強く要請した。

日本の資金を
弾圧に使う
外務省前で、FоE Japanが「クーデターから10カ月が経った。ミャンマーの市民たちは民主主義、権利を求めて、子どもたちの未来を求めて声をあげた。軍はそれに対して1300人以上を虐殺し、1万500人にのぼる不当逮捕をしている。少数民族地域では空爆で命や民家を破壊し、23万人が国内難民になっている。300万人が人道支援が必要だ。厳しい状況が続いている。だんだん、ミャンマーの報道が減っている。われわれ日本にとって人ごとではない。日本の資金が多く流れている。円借款1兆円を出している。国軍が自由に使えるカネを出している。そのカネで残虐行為が行われている。ミャンマー軍に流れる日本からの資金を断て」と訴えた。
 代表が外務省へ入り、要請行動を行った(別掲)。外ではアピール行動を続けた。日本キリスト教プロテスタント協議会のキムさんは「仏教、プロテスタント、カソリックでミャンマーのための祈りの集いを6月に行った。ミャンマーのキリスト者、バンコク、台湾、韓国、日本、アメリカなどでネックワーク会議を行い、テント、物資、教育支援などを行っている。国軍を支援する国際的あり方、日本のあり方も問われている」と語った。
 JVCは「人が殺されている。太いパイプがあるというのなら、民主化のために使ってほしい。日本政府の責任は重い。まず、この状況を終わらせる」と話した。
 在日ミャンマー人は「悪いことばかりで勉強もできない。応援にいつも感謝している。あきらめない。絶対に勝つ」と力強く話した。そして、ミャンマー語で、ミャンマー国内向けにもアピールした。
 外務省への要請を終えて出てきた代表たちは「9カ月前とまったく同じ回答だった。状況を総合的に勘案して対処している。具体的な中身がまったくないものであつた。問題を先送りしないでほしい。いいかげんにしろと言いたい。ミャンマー人に分かるように説明してほしい」と報告した。
 外務省に向けて、「ミャンマー国軍への資金源を断て」とシュプレヒコールした。        (M)

要請書

日本政府は国軍との経済的
関係を断ち切ってください


‥(略)‥
 8月にも要請した通り、ODAを所管する外務省と、実施機関である国際協力機構(JICA)は、借款契約を締結済みであるものの入札に至っていない案件については、直ちに一切の手続きを停止すべきです。また、入札が終わり実施中の案件も貸付を停止し、そうした措置によって不利益を被る当該事業に関連する企業への補償等、必要な経費がどれほどになるのか精査、公表し、どのような処理が可能かを公に議論すべきです。また、バゴー橋建設のように、国軍系企業を利する事業は直ちに停止し、国軍との経済的関係を断つ方策をとり、その事実を公表してください。
 財務省所管の国際協力銀行(JBIC)が融資する、ミャンマー陸軍が所有するとみられる土地で建設中の複合施設、Yコンプレックスについては、現状、事業地賃料が国軍の利益となる怖れが非常に強いため、関連企業への融資を停止してください。
 Yコンプレックスを始めとする、国土交通省所管の官民ファンドである海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)がミャンマーで融資・出資・保証をしている事業への支援は一旦すべて停止し、国軍との経済的関係を断つ方策を取ってください。 JOINの資金のほとんどは国税を原資としており、Yコンプレックス事業への参画を通し、日本の納税者も国軍を利する経済活動に巻き込まれる強い懸念があります。Yコンプレックスへの出資は、直ちに引きあげてください。
 また、経済産業省は、イェタグン・ガス田開発事業の権益を有しています。同ガス田は、技術的な問題で4月から一時停止していましたが、10月にはガス田の操業が再開されており、国軍の統治下に置かれているミャンマー石油ガス公社に収益をもたらします。また、現状では天然ガスに関する多額の税収を、国軍が自由に使用することが可能です。民主的な状況が回復するまで、イェタグン・ガス事業に伴い発生する支払金を国外にプールするなどの方策の確立に、日本政府は早急に取り組んでください。加えて、これらが確率するまでは操業を停止するよう、オペレーター企業へ働きかけてください。
 これまでの経済支援や公的資金による投資は一旦すべて見直すことが急務です。ミャンマーはティラワ経済特別区を筆頭に、日本が官民を挙げて行ってきた事業が多く、日本政府には企業進出を促した責任もあります。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえ、ミャンマーに進出している企業に人権デュー・ディリジェンスを行うことを求め、その後の対策に協力すべきです。
 また、喫緊の課題として、ミャンマー市民が切望している食料援助等の純粋な人道支援を、ミャンマー国軍を通さない形で継続的に実施してください。

ミャンマー軍事政権への経済協力を停止せよ、外務省に抗議(12.1)

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