沖縄報告 1・5辺野古・安和・塩川 新年の行動はじめ

辺野古・大浦湾に新基地は絶対に造らせない!

沖縄 K・S 1月日

 1月5日水曜日が新年の行動はじめだ。朝7時県庁前発の平和市民連絡会の中型バス、9時発の那覇島ぐるみのバスをはじめ各地から自家用車で、辺野古のキャンプ・シュワブ工事用ゲート前に集まった。9:00の第一回目の資材搬入時には25人、二回目の12:00の搬入には30数名、第三回目の15:00には30人弱が座り込んで抗議した。
 平和市民連絡会によると、最近では作業用ゲートからの資材搬入が少なくなっていて、基地内の工事で出た赤土を基地外に搬出する空のダンプが多くなっている。この日もトレーラー数台とミキサー車5台以外は空のダンプ・トラックだった。また、辺野古でも昨年の11月ごろから警備会社がアルソックから帝国警備に代わったが、ゲート前の警備員がそれまでの20人台から約2倍の40人台の体制に変わっている。ゲートから入る車両台数が極端に少なくなり、コロナ禍もあって抗議行動参加者も少なくなってきている状況で、警備員の数だけが膨らんでいることは極めて不可解な現象だ。
 他方、琉球セメント安和桟橋では、島ぐるみ南部のメンバーなど十数人が出入口ゲートに集まり、プラカードとノボリを持ちゆっくり行進を続けて、辺野古埋立にあくまで抗議する意思を示した。出口ゲートでは、本部町島ぐるみ会議を中心に終日トラックチェックが行われた。桟橋から辺野古の埋立現場に向かう土砂運搬船は午前中の1隻だけだったが、採石場からのダンプによる赤土土砂の搬入は次々と続けられた。
 また、本部塩川港では、土砂運搬船1隻にベルトコンベアーを使った搬入が行われたほか、赤土土砂を積んだダンプが入れ代わり立ち代わり台船に積み込んだ。

沖縄の声無視
する岸田内閣
 年末年始、米軍由来のコロナウィルスが驚異的な拡散を見せ、沖縄県は1月9日から月末まで「まん延防止等重点措置」に移行した。それに伴い、オール沖縄会議も再び1月6日から現地における抗議行動の中止・監視行動への切り替えを指示した。こうした制約の下でも、今年は、辺野古新基地建設をめぐる岸田内閣との全面的な対決の年となるだろう。
 岸田内閣は年末から立て続けに攻撃をしかけてきている。昨年12月15日、埋立承認撤回を取り消した国交相の裁決は違法だとして沖縄県が提訴した裁判の福岡高裁那覇支部の控訴審で、沖縄県に裁判を起こす「適格性」がないとして県敗訴の判決が出た。岸田内閣は、内閣のサラリーマンたる裁判官を使って、沖縄の辺野古反対の闘いを裁判の場からも排除しようとしているのだ。県は12月28日、上告した。
 同じ28日、農水相は、沖縄県が沖縄防衛局のサンゴ移植許可を許可条件違反を理由に撤回し、防衛相が県の撤回の取り消しを求めて農水省に審査請求していた件で、農水相は県のサンゴ移植許可撤回を取り消す裁決を行った。これもまた、行政不服審査を悪用した行政の私物化だ。同一内閣の、防衛省が審査請求し、農水省や国交省が裁決を行う。「法治」を口にしながら「法治」を壊す。県民の総意に基づく沖縄県の主張はことごとく葬り去られる。裁判に訴えるにも、門前払いだ。
 多くの国民は日本が法治国家だと思っているかも知れない。しかし、その内実はひどいもの。空洞化がどんどん進んでいる。日本の国の進む先は、米軍と自衛隊との一体化の下で「南西諸島」琉球列島の軍事要塞化と日本の軍事大国化だ。教育・福祉・育児・医療などの削減と駐日米軍維持費を含む軍事費の際限のない増大である。
 このループを断ち切らなければならない。埋立変更申請に対する県の不承認に基づき、辺野古新基地建設阻止!埋立ストップ!
 安倍―菅―岸田内閣に屈することなく対峙してきた翁長雄志―玉城デニーの沖縄県知事を支え、オール沖縄と島ぐるみの総力をあげて、全国各地の強力な支援を背景に現地と地域を結ぶ闘争戦線を築かなければならない。

12.14

土砂投入3年抗議行動

カヌー31艇、抗議船5隻、
辺野古ゲート前に200人


 今年は沖縄の本土復帰50年にあたる。過去50年の日本政府の支配をくつがえす反撃の闘いをつくり出すため全力をつくそう。
 沖縄防衛局が辺野古埋立の土砂投入を始めた2018年12月14日から3年のこの日、キャンプ・シュワブ海域の埋立工事現場と辺野古ゲート前で、抗議の行動が行われた。
 朝早くから集まった参加者は工事用ゲートに集まり、工事ストップ!を訴えた後、ゲート前テントで集会を開いた。県内外から約200人が集まった。
 進行はオール沖縄会議現地闘争本部の山城博治さん。はじめに、オール沖縄会議共同代表のひとり、稲嶺進さんは「ハイサイ、グスーヨー、チュウウガナビラ」とあいさつした後、「知事の不承認は考えてみれば当然だ。埋立が始まって3年、進捗は8%に過ぎず、軟弱地盤でこれ以上の埋め立てはできない。ドブに金を捨てるような無駄な公共工事を止めて、コロナ、教育、育児などに税金を使うべきだ。名護市長選に必ず勝って、未来への希望を切り開こう」と訴え、「マジュン、チバラナヤーサイ」と結んだ。
 オール沖縄会議事務局長の福元勇司さんは「軟弱地盤は6年前から分かっていたのに国は隠していた。軟弱地盤の工事は不可能、全体の工事を中止すべきだ」とアピールした。自転車の後部に岸本洋平のノボリを立てて登場した屋良朝博さんは、「沖縄の基地問題は、沖縄に集中しているという物理的な問題だ。アメリカは沖縄でなくてもいいというが、日本政府が固執している。打ち破ろう」と述べた。
 そのあと、知念良吉さんのコンサートを挟んで、東京、長野、大阪、兵庫、千葉、京都から参加した郵政シルバーユニオン17人が並んで前に立ち、下司(げし)さんが挨拶した。参加者のうち一部は宮古島にわたり、千代田の自衛隊基地、保良(ぼら)の弾薬庫、下地島の海保基地などをめぐったという。
 他方、海上では、ヘリ基地反対協の海上行動チームが、カヌー31艇、抗議船5隻を出し、辺野古側の海域K8護岸前で、海上抗議集会を開いた。
 土砂投入から3年を経過し、辺野古・大浦湾は徐々に殺されつつある。日本中探してもどこにもないサンゴ礁の海、亜熱帯の海、県民の財産をこれ以上傷つけないために、日本政府・岸田内閣は無法な埋め立て工事を直ちに停止せよ。玉城デニー知事との話し合いに真摯に応ぜよ。沖縄県民の意思を踏みにじるな。

カヌーチームAさんの報告


 3年前、県民の反対を押し切って防衛省は辺野古の海に赤土土砂を投入した。その日が今日12月14日である。辺野古ぶるーは海上大行動を行った。カヌー31艇、サポート兼抗議船の平和丸・不屈・勝丸・うまんちゅ・ゆがふ世の5隻、総勢約60人。テレビ、新聞など報道関係者も漁船をチャーターしたり、海上チームのサポート船に乗ったり、ヘリまで使って取材に訪れた。
朝9時一斉に辺野古の浜を漕ぎ出したカヌーチームはK8護岸の前で海上抗議大会を行い、その後、長島のフロートの切れ目から突入を計ったが、待ち受ける海保に全員拘束された。だが、今日の、久しぶりの海上大行動は十分アピールできたと思う。辺野古の浜に戻り、総括、片付け等が終わって家路についたのは13時を過ぎていた。朝6時には朝食を済ましていたので空腹は極に達していた。

12.18

「二つの虐殺を考える」

映画と林伯耀さん
講演会に60人

 1937年12月13日の南京城陥落と大虐殺から84年となる昨年12月の18日午後1時半から、「二つの虐殺を考える―関東大震災中国人虐殺と南京大虐殺―」と題する映画と講演の会(主催=南京・沖縄をむすぶ会)が開かれた。会場となった浦添市社会福祉センター3階大研修室に約60人が集まったほか、名桜大学助手の溝口広紀さんによるインターネットを通じたリモート配信に県内外から十数人が参加した。
 進行係は稲垣絹代さん(南京・沖縄をむすぶ会共同代表)。第1部の映像で、「80年前に何があったか―関東大震災と中国人虐殺」(中国山地教育を支援する会)、「南京 引き裂かれた記憶」(監督・編集=武田倫和)のそれぞれ短縮版が上映された。
 休憩を挟んで、第2部では、在日華僑二世で30年以上にわたって花岡事件の真相究明と犠牲者に対する賠償などさまざまな取り組みを行ってきた林伯耀(リン・ポーヤオ)さんが講演した。林さんは、1937年12月11日24時に出されたという「南京衛戍司令長官唐生智」の南京城死守の命令書など講演資料を説明しながら、簡略要旨次のように述べた。
 なお、そのあと同じ会場で、20人近くが参加して午後7時まで懇談会が行われた。

林伯耀さんの
講演まとめ
 日本の中国侵略によって犠牲になった中国人は2000万人を下らない。日本軍により組織的に行われた虐殺事件は2300件を超える。米軍が無抵抗のベトナム住民数百人を殺したソンミ村事件は世界に衝撃を与えたが、同じようなことが日中戦争期間中に「聖戦」の名のもとに日常茶飯事に行われていたのである。とくに、南京大虐殺は突出した象徴的な虐殺事件であった。南京大虐殺は民族の悲劇として中国人の血と涙の生きた記憶となっている。
 他方、1923年9月、関東大震災の際に神奈川・東京を中心に多数の朝鮮人・中国人が殺された。朝鮮人の犠牲者は6600人にのぼり、中国人の犠牲者は名簿に記載されているだけでも800人近くになる。軍・警察ばかりでなく、民衆が虐殺の先頭に立った。とくに9月3日、400人余の中国人労働者が江東区周辺(当時は、南葛飾郡大島町、砂町、亀戸町など)で集団的に殺された大島町事件は象徴的だ。僑日共済会の責任者王希天は、中国人労働者の被害調査と救援にあたっていたが、9月12日野戦重砲兵第7連隊により密かに殺された。
 当時の中国政府は事件の真相究明を日本政府に要求し、12月に入り調査団を日本に派遣した。抗議の声の高まりを背景に、日本政府は国家責任があることを認め、閣議で慰謝料名義での賠償金の支払いを決定したが、今日に至るも実行されていない。
 2003年8月、日弁連人権擁護委員会は「関東大震災人権救済申立事件調査報告書」を小泉内閣に提出したが日本政府は誠実に対応していない。
 あれから一世紀が経とうとしている今日、日本社会は再び中国・朝鮮への排他的な感情=民族排外主義の気風があふれ始めている。私は大きな危機感を抱いており、不安である。今こそ、改めて関東大震災下の朝鮮人・中国人虐殺の事実を直視し、それがどのように14年後の南京大虐殺につながっていったのかを検証しながら、差し迫る戦争への流れをくい止める方法を模索しなければならない。

不屈館で絵とパネル展示
(1・15~2・12)

 翌19日は、東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター主催の「南西シフト・台湾有事~戦争前夜の危機に抗う」と題するシンポジウムが琉球新報ホールで行われ、300人あまりが参加した。林伯耀夫妻も参加し、軍事ジャーナリスト・小西誠さん、元首相の鳩山由紀夫さん、さらにシンポジウムのパネラーの発言に聞き入った。
 年明けて、1月15日(土)から2月12日(土)までの4週間、那覇市の不屈館で、関東大震災時の中国人虐殺を描いた絵と南京大虐殺のパネル12枚の展示が行われる予定である。入場には、不屈館の入館料(一般500円、シニア400円、大高生300円、中学生以下無料)が要る。

那覇市の安里・大道・松川島ぐるみ会議のスタンディング。
この日で232回(印刷した「かけはし」では東京となっていますが那覇市の間違いでした)
2022.1.5 今年はじめての現地行動。琉球セメント安和桟橋。沖縄の民意に従え!
2021.12.18 南京・沖縄をむすぶ会主催の映画と講演会。揚子江での虐殺を説明する林伯耀さん。
2021.12.27 徳田博人講演会「辺野古設計変更不承認をめぐる沖縄県と国の法的争い」

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