12.13秋田 陸上イージス説明会
住民無視の断念理由糾弾
防衛省の「ゼロ回答」を許さない
9条改悪を阻止しよう
【秋田】防衛省の決定した秋田1回、山口5回という説明会をめぐる回数と狭い会場問題に対して、地元振興会や、イージス反対運動団体からの抗議の拡大を受けつつも、開き直り変更はしないとし、さらに佐竹県知事が希望した政務三役の出席についても「昨年河野大臣が訪問とおわびをした。今回は東北防衛局事務方が対応する」と全くの「ゼロ回答」であった。
行政の「早期
収束」願望
こうした防衛省の動きを受けた佐竹知事は「回数は1回でいい」と防衛省に屈服した上で「地元町内会が主役でその意向を尊重すべき」とした。
一方穂積秋田市長は「年内に決着して新年を」と述べ事態の早期終息願望を露わにした。
防衛省の思惑
を上回る結集
地上イージス断念説明会は12月23日午後7時前から地元勝平町コミュニティセンターで開催され、雪が降る悪天候と駐車スペースの少なさ(25台)という制約にもかかわらず、新屋勝平地区住民を中心に続々と結集し、その数は2階会場に設営された100席をオーバーし、防衛省は「1階にも90席を用意してあります」とアナウンスせざるを得なくなった。
こうして防衛省の思惑であった説明会の小規模化の目論見は多くの住民の結集と熱気によって破産に追い込まれた。
知る権利無視
した説明会
防衛省は説明会の冒頭一方的に説明20分、質疑応答は8時までと宣言し、東北防衛局長が昨年9月に公表済みの資料をなぞるだけの説明に終始した。
新屋勝平地区の住民の最大の関心事であった自衛隊演習場と1万3千人が暮らす住宅地の近さをどう評価したのかという問いに対して「北朝鮮のミサイル発射に対して早期に対応が求められ、遮るものがない場所として適地と考えた」。
また配備断念については「迎撃ミサイルのブースターを安全に制御出来ず、改修には相当のコストと期間が必要」との従来通りの技術的問題の説明だけで、住民の「命と暮らし、住民の権利」の視点は全く無視した答弁ばかりで会場からは「国体が守れれば住民の命と権利はどうでもいいのか」と怒号と抗議の声が飛んだ。
米国の軍事
戦略を問う
またアメリカ側の太平洋軍事戦略重視にもとづく「イージス・アショア」日本設置について「新屋はハワイ、むつみはグアム」防衛が任務であり、アメリカ軍防衛の「盾」であり、前線基地の役割があったのではないかとの問いにはあくまでも「わが国全域防護の観点で選択したもの」と強弁し「太平洋の盾」(アメリカシンクタンクの報告書)との位置付けを否定する答弁となった。
自治体との
「調整」問題
県と市は12月2日に「12月下旬開催に向けて調整に入る」と連絡があったがそれ以降はない」としていた。
これに対し岸防衛相は10日閣議後の記者会見で「地元自治体と開催に向けて調整をしてきた。それをふまえて日時場所をお知らせした」と語っている。
この「調整」発言に対して「どこの自治体と調整してきたのか」との追及に対し「個別の内容を誰と話したか一つ一つには答えられない」とし、再度の説明会開催要求に対しては「新屋演習場への配備は断念しておりこれ以上の説明会は考えていない」と完全に住民の声を無視し、最後まで省側の論理の説明に終始し開き直りを決め込んだのである。
この省側の態度に会場から「ふざけるな」と抗議の声が上がった。
こうした住民無視の応答が延々と続くなか、防衛省は8時になって突如予定の説明会終了発言を行ったが、結集した人々は声を大にしてこれを許さず30分の延長を闘い取った。
残された課題
を問い返す
新屋勝平地区振興会はこの説明会の獲得目標として第1に、今後新屋演習場にイージス・アショアのような固定的な施設を設置しないとの確約を要求するとしていたが、これに対し防衛省は明確な回答を示さなかった。
第2に、多くの住民が注目していた新屋練習場が住宅地と密接していることが配備断念に与えた影響についても明確に納得出来る説明を得ることは出来なかった。
こうして説明会は「心配な思いをさせてお詫びを申し上げる」との一般的な型通りの謝罪にとどまり、平和と命を守り、暮らしと権利を守る主張は勝ち取ったが住民無視の国、防衛省の権力行使に対する反省の弁は引き出すことは出来なかった。
しかし、国・防衛省の重要な軍事政策である陸上イージス配備断念に追い込んだ闘いは評価されていい。
軍拡政策を
阻止するぞ
12月25日付地元紙秋田魁新報の北斗星というコラム欄に、イージス・アショアを導入した歴代防衛相の顛末が書かれているがその巻末部分で「鹿児島県から沖縄県の南西諸島に米海兵隊が臨時の攻撃用軍事拠点を置く計画案がある」と紹介されている。
日米軍事同盟によるこれ以上の東アジアの軍事的緊張拡大策動を許してはならない。沖縄県辺野古新基地建設阻止闘争に連帯しよう。
すでに陸上イージスを断念した国・防衛省は20年12月に代替策を「イージス・システム搭載艦」と決定し、その予算は陸上イージスを大幅に上回り1兆円に迫るとされている。
さらに21年12月岸田首相は所信表明演説で「敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」とし中期防衛計画は「おおむね1年で策定する」と述べた上で、衆院選の維新・国民の議席の伸長を受け「現憲法論議の喚起を」と踏み込み改憲を日程に乗せようとしている。
これを許さず陸上イージス断念に続き代替イージス艦導入阻止―軍拡反対―憲法改悪阻止の闘いをさらに強化しよう。 (H)
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