2.1軍事クーデターから1年
ミャンマー国軍の資金源断て
首相官邸前アクション
2月1日午後6時半から、首相官邸前で「ミャンマー国軍の資金源を断て クーデターから1年 官邸前アクション」が、メコン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター(JVC)、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)の呼びかけで行われた。非常に寒い中、多数の在日ミャンマー人も含めて50人が集まり、「日本政府はミャンマー国軍への資金源を断て」と強く訴えた。
最初に主催者から以下のような行動の趣旨が述べられた。
最大の援助国
日本の責任!
「2月1日で、ミャンマー軍によるクーデター1周年に当たるが、民主化を求める民衆に対して苛烈な弾圧は続いている。1503人が殺され、8800人が拘束されている。少数民族居住地域に対して、空爆や焼き討ちが行われた、40万人以上が国内避難民になっている。人道上の危機がひどくなっている」。
「日本はミャンマーにとって最大の援助国で、これまで官民を挙げて様々なビジネスも展開してきた。しかし、日本の援助事業やビジネスには、国軍を利するものが存在している。クーデター以降、様々な方面からの働きかけにも関わらず、日本政府はこれらの事業を見直していない。1兆円以上の円借款を決定している」。
「私たちは日本の資金がミャンマー国軍の暴挙を支えることのないよう、日本政府が国軍との経済関係を断ち切ることを強く求めてきた。しかし、外務省などは『慎重に検討中』と答えるのみで、具体的行動を取ろうとしていない。そうした態度を改めるように強く求める」。
見て見ぬふり
してはならぬ
次に、メコン・ウォッチの事務局長が、「日本政府はミャンマー国軍の暴挙を止めるために日本からの国軍への資金の流れを止めてください」署名1万3201筆を外務省に提出したことを報告した。さらに、「ミャンマー民主化議員連盟なども要請書を提出した。資金源を断たなければ、軍に加担していることになる。軍に絶対に加担してはならない。民主主義を取り戻すためにがんばって、1日も早くこうした行動をやらなくてもよいようにしたい」と話した。
参加した在日ミャンマー人が次々に訴えた。
「1年間、軍事弾圧を止めろと訴えているが変わっていない。民主化を求める人たちは命をかけている。どこまでやらなければならないのか。軍の弾圧には日本政府にも責任がある。独裁国に水を与えている。日本政府はなぜ軍に対する資金を止めないのか。欲しいのは本当の自由であり民主主義だ。とてもつらい。在日ビルマ人は声をあげることができているが、国内の少数民族は空爆などの攻撃を受け、寝る場所もなく、インドやタイなどに避難している」。
「見てみないふりをしないでほしい。日本の外務省は『見直す、考えている』と答えるが、はっきりしない。胸が痛い。あきらめない。民主主義・平和を手に取り戻すためにがんばる」。この後、ミャンマー語でミャンマー国内向けにも訴えた。
カレン民族の人は「軍に流れているカネを止めてほしい。本当に悲しい。国にいる家族は食べ物、寝るところもなく避難している。日本政府は答えてください。何をやっているのですか。サポートするのはやめてください」と話した。
続いて、参議院議員の福島みずほさんがミャンマーの民主化を支援する議員連盟などで政府に申し入れを行ったことを報告し、ミャンマー民衆支援を続けると語った。さらに呼びかけ団体の仲間たちが口々に日本政府の態度を厳しく批判した。
軍の弾圧は続く国際的支援を!
追記 クーデーから1年が経ったが軍がねらったスーチー派の壊滅と軍政支配の安定はまったく実現していない。クーデター後、若者たちはただちに大都市ヤンゴンをはじめ全国で数百万人が決起し、街頭デモと公務員を中心に不服従・非暴力の抵抗闘争を行った。軍は数日置いて、無差別の発砲で無抵抗の若者たちを虐殺した。毎日、100人単位で民衆が殺されていった。抵抗側は国民統一政府(NUG)を組織した。スーチー派(NLD)のみならず、抵抗する少数民族とも連携した。彼らの自治を承認し、統一政府の要職につかせる広範な統一戦線を作り出した。この中で、いままで仏教徒の多数のNLDが排除してきたイスラム系のロヒンギャ民族の人たちも含まれている。そして、9月に入り国民防衛隊(PDF)を組織し、「武力」抵抗闘争開始の宣言を行った。大都市でのデモなどの抵抗闘争は軍の厳しい弾圧によって抑えられたが、少数民族支配地域での軍との激しい戦争、都市部でのピンポイントのゲリラ戦が展開されるようになった。
西部のチン州や東部のカレン州では、軍は空爆や村の焼き討ちなど、激しい攻撃を繰り返している。PDFの若者たちは銃では対等に戦えるが迫撃砲など重火器で軍が攻めてくると太刀打ちできない、軍事支援を求めている。
失業者が160万人出ていると言われるように、EUなどの企業は撤退しているし、中国系の繊維会社も工場を動かせていない。輸入も以前通り入らず、ミャンマーの通貨チャット安、インフレとコロナ禍で人々の生活はますますひっ迫している。電力事情も悪く、強制的な停電をせざるを得なくなっている。民衆による税金や電力など公共料金の不買なども続いている。
ASEANが暴力の停止とスーチーさんらとの対話を要求した。この会議にはミンアウンフライン軍司令官も参加して合意した。しかし、その実現を拒否している。ASEANの中で、ミャンマー軍よりなのが、カンボジア、タイ、ベトナム、批判的なのがマレーシア、インドネシア、シンガポール。昨年、カンボジアのフンセンが直接ミンアウンフラインと会って話し合ったが、スーチーさんらとの対話を認めず、失敗に終わった。他のASEAN国から単独行動が批判され、外相会談にミャンマー軍政の「外相」の参加は認められなかった。国連も何回も軍政批判をしているが、中国とロシアがミャンマー軍の後ろ盾になっていることにより、実効ある行動ができていない。
軍は2023年に総選挙を実施すると発言しているが徹底的にスーチー派や少数民族を排除することは明らかだ。困難な中、闘うミャンマー人民を支えよう。日本政府の軍政とのつながり・資金源を断とう。(M)
以下は、NGOが日本の事業について問題を批判し、政府に行動を要求しているもの。資料として掲載する(編集部)。
資料
リスト:国軍を利する可能性のあ
る事業と日本政府の取るべき行動
◦バゴー橋建設:国際協力機構(JICA)が円借款を供与している事業。国軍系企業ミャンマー経済公社(MEC)とサプライチェーンで繋がるバゴー橋建設は、国軍系企業との関係を直ちに断ってください。
◦ティラワ経済特別区:JICAはミャンマー政府と共に事業に出資しており、収益が出れば配当が支払われます。国軍が国を実効支配する中、事業の継続により国軍を利さないような方策をとり、それを公にしてください。
◦複合不動産開発事業(Yコンプレックス):財務省所管の国際協力銀行(JBIC)が融資、国土交通省所管の海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が出資・保証をしている事業。ミャンマー国防省が管理し、同陸軍が所有する土地での複合施設で、土地の賃料が国軍管理下の国防省、または国軍の収入となることから、公的資金を引き揚げるべきです。
◦その他のJOINの事業:「ティラワ港ターミナル運営事業」については、国軍がミャンマー港湾公社を事実上統治下に置いていることから、関係を解消してください。ミャンマー建設省の所有地を利用する「ヤンキン都市開発事業」の土地の賃料が国軍の収益となることが防げない場合、事業から撤退することを求めます。「ランドマーク・プロジェクト」においても、事業における収益も含め国軍を利することがないか調査をし、国軍を利することを防げない場合、事業から撤退してください。
◦イェタグン・ガス田開発事業:経済産業省は、イェタグン・ガス田開発事業の権益を有しています。ガス田の収益は、国軍の統治下に置かれているミャンマー石油ガス公社の利益となり、また、国軍が実効支配する政府に多額の税収をもたらします。イェタグンの天然ガスは100%輸出されており、国内のエネルギー源ではありません。ミャンマーに民主的な状況が回復するまで、日本政府は事業に伴い発生する支払金をミャンマー国外にプールするなど、国際協調の上取り組み、天然ガスの収益を国軍が自由に使えないようにしてください。
呼びかけ団体:メコン・ウォッチ, 国際環境NGO FoE Japan 、アーユス仏教国際協力ネットワーク, 日本国際ボランティアセンター(JVC), 武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
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