2.6都教委包囲首都圏ネット

教育の国家支配と闘おう
改憲情勢下で決起集会

「国旗・国歌」
絶対にゴメン
 2月6日、都教委包囲首都圏ネットワークは、東京しごとセンターで「2・6総決起集会~改憲情勢下での教育の国家支配と闘おう!~」を行い、77人が参加した。
 ネットは、2003年、東京都教育委員会による新自由主義と愛国心教育路線の一環として「10・23通達」(校長の職務命令により、入学式・卒業式での「国歌」の起立斉唱・ピアノ伴奏を強制)に対して、粘り強く、「日の丸・君が代」強制反対と10・23通達撤回、「君が代」斉唱強要に抗議する不起立・不伴奏等によって反撃してきた。今年も卒業式・入学式時、教育労働者に対して「国旗に正対し国歌を起立斉唱」の強要に抗して闘う意志一致を行った。
 昨年の衆議院選挙で改憲勢力が国会の三分の二以上を占め、岸田首相は改憲に向けて決意を繰り返し、日本維新の会は毎週、憲法調査会を開催せよと主張している。対中国シフトの軍拡と自衛隊配備の動向は改憲策動と連動し、グローバル戦争を担いきる新たな国家建設への踏み出しだ。
 ネットは、コロナ禍の中で緊急事態宣言反対、オリンピック・パラリンピックへの子どもの動員に反対してきた。ところが都教委はオリンピック終了後もオリパラ教育の予算を計上し、「愛国心」教育と結びつけようとしている。子どもたちを戦場に送り出すことを絶対に許してはならない。改憲情勢下、闘う教育労働者、市民のスクラムを通して岸田政権、改憲勢力の野望を打ち砕いていこう。都教委を許さず、「10・23通達」撤回させよう。

「天皇敬愛」の
強制やめろ!
 集会は見城赳樹さん(ネット代表)の主催者あいさつから始まり、「解釈改憲が教育の現場でも進行している。学習指導要領で天皇の項目があり、『天皇を敬愛しなさい』と指導せよと書いてある。国民主権を否定し、天皇制の強化を行っている。こういう現状を踏まえ、改憲情勢に抗して改憲反対の取り組みを行っていこう」と発言した。

高島伸欣さん
が基調的講演
 講演は髙嶋伸欣さん(琉球大学教授・横浜教科書裁判原告・五輪読本裁判原告)で「戦争へ向かう時代と教育現場での闘い」というテーマで以下のように提起した。
 第一は、「政府見解押し付け死事件」で現れた教科書会社の抵抗について。
 「萩生田光一文科相と維新の会の馬場・藤田議員は、『いわゆる従軍慰安婦』を『慰安婦』、「強制連行」を『徴用』と閣議決定していると『訂正申請』を強要した。だが教科書会社は、『政府見解条項』(両論併記を認めている)を通して、例えば、清水書院は、『歴史総合』で『いわゆる従軍慰安婦』記述に注記を加筆して両論併記の手法で『いわゆる従軍慰安婦』の存続承認を獲得した。第一学習社は、『高等学校改訂版世界史A』『高等学校歴史総合』において、朝鮮人労務者の『強制連行』本文記述に注記の記号を付け、100字分の加筆を認めさせた。」。
 「『政府見解押し付け死事件』仕掛け人の『新しい歴史教科書をつくる会』は『従軍慰安婦』関連記述の全面排除を目的にした介入だったが、逆に『慰安婦』表記を定着させ、両論併記許容の再確認までされてしまった。『やぶを突いて蛇を出す』事態となってしまったと『敗北宣言』をせざるをえなかった。教科書発行者は『言いなりになるものか!』という気概を発揮したと言える」。
 第二は、「未来を託す次の主権者の底力を豊かにし、自信を強めるために」。
 「自衛隊や日本政府は、不都合な軍事情報は脇において、一面的な情報ばかり流している。『軍事オタク』の児童・生徒は兵器・装備の短所・限界も熟知している。若者と共に軍事知識の共有と深化を進め、論争力の強化に取り組むことは重要だ。敵味方の二元論は小学校低学年までの社会認識レベルでしかなく、高学年以上は軍事優先の歴史を学ぶことで、相対的・多角的な認識の必要性にやがて気づく。『戦後』を知らない若者たちに、権利獲得や反基地運動の成功体験を伝え、運動のバトンタッチをめざすことが求められている」など若者に対する諸アプローチを示し、「戦後世代」の任務について提起した。

大阪での「維
新」との攻防
 梅原聡さん(元大阪府立高校教員)は、「2017年再任用拒否国賠訴訟 報告」を行った。
 梅原さんは、現役教諭時代、卒業式で「君が代」不起立で抗議した。定年退職後、府に再任用を申請したが「君が代」不起立を理由に拒否された。梅原さんは、再任用しなかったのは違憲・違法として、府に約550万円の損害賠償を求めた訴訟を開始した。大阪高裁(2021年12月9日、)は梅原さんの訴えを退けた1審・大阪地裁の判決を変更、府に約315万円の賠償を命じた。府教委は、上告を府議会に提案した。
 「争点は、裁量権の問題と職務命令に従う意向があるかどうかの確認が憲法違反だということだった。判決は、再任用拒否を裁量権の逸脱・濫用にあたるとして府教委の賠償責任を認めたが、『意向確認』の違法性を認めなかった。だが『君が代』不起立者を再任用から排除することがはっきりと違法とされ
た。『維新の会』一派が『君が代』強制に抗う者を教壇から引きずり下ろそうとしてきたが、今回の勝利判決が『君が代』強制に少しでもブレーキをかけるものなればうれしい」と報告した。

根津公子さん
の停職取消し
 根津公子さん(河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会)は、2009年「君が代」不起立停職6月処分取り消し判決確定を中心に報告した。
 「2月17日付で最高裁第2小法廷は、都が『処分の裁量権は都にあるから処分は適法』と受理申し立てをしたことに対して『本件を上告審として受理しない』と裁判官全員一致の意見で決定した書面が届いた。根拠として、①停職6カ月処分の次の処分量定は免職のみであり、被処分者への心理的圧迫の程度が強い。②過去に懲戒処分や訓告処分の対象になった、根津のいくつかの行為は、2006年3月の懲戒処分において考慮されている(から、同一の件で処分を加重してはならない)。③根津不起立は河原井不起立と同じ消極的不起立行為などを上げた」。
 「控訴審勝訴判決が出されたとき、私はうれしかったですが、それが最高裁で維持されるとは全く思っていませんでした。ますます政権に忖度した最高裁判決が出されていたからです。勝訴判決が出されたことは紛れもない事実です。裁判所の人物によって処分を適法とも違法ともすることができる『日の丸・君が代』処分の事実、でたらめさの事実。これを後世に残していこうと思っています」と述べた。さらに地裁敗訴判決と高裁勝訴判決との比較しながら「09年の私の不起立行為を裁いたのではなく、『過去の処分歴』を使いまわして私の人格、思想を裁き、私を全否定した」と批判した。

「君が代」裁判
第5次訴訟
 東京「君が代」裁判第5次訴訟について」原告の大能清子さんが報告し、「第五次訴訟は闘う唯一の『日の丸・君が代』訴訟だ。21年3月31日に提訴し、原告は15人で2014年3月~17年4月の卒入学式での処分、2013年12月~2020年12月までの再処分された仲間たちだ。この裁判では、卒業式・入学式での『君が代』不起立処分の撤回だけでなく、裁判で減給処分が取り消された後に改めて出された戒告処分(いわゆる再処分)の撤回も求めて、闘っています。さらに『10・23通達』を撤回させ、職務命令の発出をやめさせることが目標だ。自由と人権、平和のためにご支援をお願いします」と訴えた。

「反五輪闘争と
ねつ造報道」
 渥美昌純さん(東京にオリンピックはいらないネット)は、「新国立競技場周辺からみた東京オリンピック・パラリンピック」といテーマから①住民に交通規制の告知なし ②排気ガスをまきちらす警察車両 ③エレベーターの出入口は閉鎖などについてレポート報告。
 渥美さんは、「オリンピック・パラリンピック開催によってバリアが増えた。持続可能性なんて建前で本音は警察や自衛隊によるテロ対策の方が重要で、そのためには地域住民の生活に支障が出ても我慢しろ。権力監視、市民の代弁者などと偉そうなマスコミはこれらの事実をまともに報道しない。これが日本社会の実態であろう」と糾弾した。
 伏見忠さん(都教委包囲ネット)は、NHK・BS1で放映された「河瀬直美が見つめた東京五輪」(21年12月26日、30日)に対して「『実はお金をもらって動員されていると打ち明けた』などと意図的な捏造を行った。オリンピックやパラリンピックに反対する人々の真摯な思いを踏みにじり、貶める卑劣な番組となっている。ただちに仲間たちとNHKに真相と謝罪を求めて抗議行動を取り組んだ。NHK大阪のホームページに『お詫び』が掲載されているが、オリンピックに反対する人々に対するものではない。『国策翼賛』報道の繰り返しを反省しろ」と厳しく批判した。
 池田五律さん(戦争・治安・改憲NO!総行動)は、改憲派議員が多数派となっている国会状況、維新の会による改憲キャンペーン、加速している憲法審査会について報告し、国会闘争などの取り組みを呼びかけた。
 最後に春期の闘いに向けて「団結ガンバロー」を行ない、スクラムを強化していくとを意志一致した。
          (Y)

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