1.31袴田巌さんの無罪判決を

東京高裁は直ちに再審開始せよ
静岡市清水区で集会

 【静岡】1月31日、「無実の袴田さんに無罪判決を求める集い」が事件の起きた静岡市清水区(旧清水市)で開かれた。
 コロナ感染症(オミクロン株)の感染急拡大で定員の半数、利用時間の短縮を要請され、また感染を警戒してか40人弱の集会となった。主催者である「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」代表の楳田民夫さんの簡潔なあいさつのあと、袴田巌さんを伴って参加した姉の秀子さんは「いよいよ大詰めに来ました。3月14日が最終と聞いています。とにかく勝たなきゃしょうがない。頑張りますのでよろしくお願いします」と語った。

高裁決定の可
能性が夏にも
 袴田弁護団の西澤美和子弁護士から昨年11月1日に東京高裁に提出した新たな鑑定書とメイラード反応についての意見書について報告がされた。一昨年の12月22日、最高裁は袴田さんに対する再審開始決定を取り消した東京高裁の判断を「著しく正義に反する」として取り消し、審理を高裁に差し戻す決定をした。事件から1年2カ月後に工場の味噌タンクで見つかり犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕の色変化について「専門的知見を踏まえて審理を尽くすよう」東京高裁に求め、検察・弁護団双方にとっても宿題となっていた。昨年3月から即時抗告審である(非公開の)三者協議が4回行われてきた。弁護団は、血液が味噌につかるとヘモグロビンの変性により数週間で赤みが失われ、「衣類を味噌に1年以上つけた場合、赤みは残らないとする法医学者らの新たな鑑定書とメイラード反応に関する意見書を提出したが、これに対して検察は2月までに反論を提出するとし、3月14日には第5回三者協議が開かれる。これで審理は終結する見通しで、早ければ夏前後に高裁決定が出る可能性がある。

えん罪事件は
なぜ起きるか
 集会の講演は、関西大学社会学部教授の里見繁さん。里見さんは、元大阪毎日放送で報道畑を歩き続け冤罪事件を追い続けてきた。1991年に大阪高槻市選挙違反事件を取材し作成した「147人の自白調書」で冤罪事件にハマってしまったと言う。その後、えん罪事件を取り上げた番組作成や執筆は多数にのぼる。袴田事件関係だけでもテレビドキュメンタリー「死刑囚の手紙」(1998年)、雑誌や単行本など計4点がある。集会では袴田事件を取り上げた「死刑囚の手紙」(1998年放送)の縮刷版を鑑賞し冤罪取材を通して記者の思うことや冤罪と客観報道といった論点からお話をうかがった。理路整然とし具体的で、落ち着いた声のお話はさながらドキュメンタリー番組を観ているようで素晴らしい講演でした。    (S)

袴田巌さん(左)と姉の秀子さん(1.31)

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