リニア中央新幹線と北陸新幹線の大阪延伸に反対

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2・20勉強会に向け沿線の住民への宣伝を開始
知らぬ間の計画推進を許さない
喜多幡 佳秀(ATTAC関西グループ)

 大阪でリニア中央新幹線反対の運動を続けてきたリニア市民ネット・大阪では、リニアの第二期(名古屋・大阪間、2037年開業予定)に対する運動と共に、北陸新幹線(現在は東京・金沢間で営業)の新大阪への延伸(2046年開業予定)の問題についても学習し、沿線地域での運動を作り出すことを目指して、昨年10月3日に京都で北陸新幹線京都延伸(2023年着工予定)に反対する住民運動団体の代表を迎えて初めての勉強会(「第16回リニア勉強会in大阪」として)を開催した。この集会には同新幹線の沿線の京都府内および大阪府枚方・交野・寝屋川・門真の各市の住民も参加し、学習と調査、情報の交換、自治体への情報公開請求など具体的な行動について熱心に議論が交わされた。
 その後、同11月以降、毎月1、2回、京阪の枚方市駅と寝屋川市駅の前で宣伝活動を続けてきた。リニア市民ネットののぼりや大深度地下工事の危険を訴える横断幕がよく目立ち、ハンドマークでのアピールと延伸計画の問題点をわかりやすく説明したチラシに、立ち止まる人や話しかけてくる人も多い。ほとんどの人が延伸計画について知らず、コロナ感染拡大という状況の中で、「何でそんなもの作るんやろう」という反応。若い人の反応が少ないのは気がかり。宣伝に工夫が必要だろう。

田歌地区の住民
運動代表を迎えて
 2月20日には枚方市駅近くの枚方市民会館で二回目の勉強会、講師は「知井(ちい)の新幹線問題を考える有志の会」代表の長野宇規(たかのり)さん。20年前から美山(みやま)町の田歌(とうた)地区で生活し、2019年に北陸新幹線延伸計画が近くを通る計画であることを知り、調査を開始し、住民の間での話し合いを積み重ねたという。農業への影響、水問題、トンネル残土の問題のほか、ルートが丹波国定公園に近接することから地域の環境への影響も重大である。そのため田歌地区は建設のための「環境影響評価」の受け入れを保留することを全住民(70人)の意志として決定し、その後、京都府知事、南丹市市長への公開質問書、国会での京都府選出議員を通じた質問、与党プロジェクト・チーム(PT)への公開質問状などで計画の問題点を指摘し、回答をネット上で公開している。同会をはじめ多くの団体・個人が結集する「北陸新幹線京都延伸を考える市民の会」は大量のチラシ、シンポジウムの開催、情報発信、署名運動など精力的な活動を行っている。チラシ、資料、署名用紙などはネット上からダウンロードできるので、ぜひ参照されたい。

共通の大問題は
大深度地下工事
 20日の勉強会では、長野さんの報告に先立って、主催者を代表してリニア市民ネット大阪の春日直樹さんが、リニア新幹線と北陸新幹線、そして東京の外環道での道路・住宅の陥没に共通する問題として、住宅地や道路の真下を通る地下トンネル工事の危険性について指摘した。2000年に制定された悪法、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」によって、地下40メートル以下のトンネル工事には地権者の承諾が必要とされず、地権者が知らないうちに工事の計画が進むことになる。事業者にとっては、用地取得をめぐって予想される住民の反対を回避でき、新たな巨大な鉄道・道路プロジェクトの切り札となる法律だが、一昨年12月の東京の外環道での陥没事故のような事態の多発が予想される。そんなにまでして必要なのかどうか、経済の論理だけで、安全や自然環境、巨額の負債などの問題で将来の世代にツケを残すだけのプロジェクトを進めていいのか、それを今考えておくべきだ。

質疑討論通じ
重要情報共有
 主催者挨拶の後、大阪府議の野々上愛さん(高槻市選出、立憲民主党)が府議会での動き(昨年12月に「リニア・北陸新幹線延伸早期実現」議員連盟が結成されたことなど)と、現在大阪維新の会の府市政が強引に進めようとしているIR・カジノ計画に反対する市民団体の運動について報告した。長野さんの講演の後の質疑では、すでに新大阪駅東口の近くで北陸新幹線工事のためのボーリング調査が行われていること、沿線のある市ではトンネルの地上への出口の候補地の調査と見られる動きや、すでに地域の有力者には工事について知らされている気配があること、計画に関わる断層や水の問題は推進側もわかっているはずだということ、JRは米国のリニア高速鉄道の建設(ワシントンDCとメリーランド州ボルチモアの間、2027年開業の計画)にも関わっており、日本政府も後押ししているが、地元の反対運動と日本の運動との交流も始まっていること、など重要な情報が共有され、今後の沿線住民への働きかけで連携していくことが確認された。
 コロナ感染のピークであり、しかも大阪ではIR・カジノをめぐる闘いが正念場に入り、この日も別の場所で集会が開かれていたという事情もあり、参加者は約30人にとどまったが、今後につながる、意義のある学習会だった。 

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