2.27/3.1朝鮮独立運動103周年

本気で社会の変革を
市民革命の伝統、日本にも問いかけ

 「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワークと、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が主催する「朝鮮戦争を終わらせよう!植民地支配の清算を3・1朝鮮独立運動103周年東京集会・アクション」が、2月27日、文京区民センターで開催された。またこの日の集会に引き続いて、3月1日には新宿駅西口でキャンドル行動が実施された。

加藤正姫さんが
3点について提起
 集会ではまず、主催者を代表して日本ネットワークの加藤正姫さんがあいさつを行った。加藤さんは3点についてアピールした。第1点目は「歴史に真摯に向き合うこと」。「問題は日本政府の態度だ」として慰安婦問題、強制連行、教科書問題、佐渡島金山問題を取り上げて、「事実を覆い隠すことはできない」と政府を厳しく批判した。2点目は「分断固定化に手を貸す日本政府を正すこと」。そして3点目は「改憲と軍拡にストップをかけること」。「この社会を変革していかなければならない。自分の立ち位置を確認しながら、共に頑張りましょう」と発言を締めくくった。

岸田改憲と東
アジアの緊張
 3・1朝鮮独立運動の実態を報告・説明するビデオ上映後、この日の最初の講演「岸田改憲の動向と東アジアの緊張」を、許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健さんが行った。
 高田さんの講演内容は①21年自民党総裁選で安倍路線を受け入れ。②米国の「自由で開かれたインド・太平洋」と、中国の「一帯一路」の衝突。③台湾有事と朝鮮のミサイル危機の煽りと日米軍事同盟強化。④明文改憲へ。“黄金の3年”で構成されている。ここでは④でまとめられている結論部分だけ紹介しておきたい。
•岸田政権の「戦争のできる国」づくりは、従来の「専守防衛」といった「枠組み」を突破して、「日米軍事同盟の新しい段階」に至っている。
•岸田改憲は既成事実化されている現状を、「実質改憲」として明文化して合法化するものだ。
•7月参院選の後、3年間、国政選挙はない(黄金の3年)。岸田はこの時期に改憲議論を起こし、改憲国民投票を実施したいと考えている。自民党の憲法改正実現本部は、全都道府県での「憲法集会」を企画するなど、安倍改憲失敗の轍を踏まないよう準備しつつある。
•私たちが草の根運動で「戦争する国」づくり反対、改憲反対の世論をつくり「世論の壁」を築き、明文改憲を阻止できるかどうか、今後の闘いにかかっている。「軍事的緊張の東アジア」ではなく、「憲法9条を生かした、非核・平和・共存のアジア」をつくることこそ、私たちの未来を切り開くものとなる。
 高田さんの講演のなかから、安倍改憲のように、右翼的イデオロギーをゴリ押しする方法ではなく、既成事実を改憲につなげようとする岸田的方法がよく見えてくる。高田さんは「ウクライナ危機を利用して、改憲と軍拡を進めてくるだろう」ということも指摘している。

韓国大統領選の
行方と日韓関係
 集会はその後、韓国市民団体からのビデオメッセージを受け、恵泉女学園大学教授の李泳采(イ・ヨンチェ)さんから「2022韓国大統領選の行方と日韓関係の展望」と題する講演を受けた。
 李さんは今回の大統領選を、大きな政治的な枠組みとして「17年のキャンドル革命でムン・ジェイン政権が誕生した。この『革命政権』を一期で終わらせたい反共保守と進歩派との攻防」になっているとした。そして前回の大統領選では20~30代の投票率が伸びたことで、ムン・ジェインが勝利している。
 キャンドル革命は文政権に対して、様々なことを要求してきた。しかしメディア権力改革や、財閥改革には手が付けられていない。現在の韓国で権力を握っているのはサムスンだ。
 反共保守勢力は、若者の就職難(失業率10・5%)を政治利用して、反ムン・ジェインに20代の男性を組織するという戦略をとった。民主党と国民の力それぞれの候補は、1%差で競り合っている。米日は反共保守の勝利を待っている。
 韓国の民主化市民革命は、3・1革命からすべてが始まっている。「主権は民衆の側にある」ということだ。その伝統が、今日まで脈々と続いているということだ。この民主市民革命に日本がどう応えるのか問われている。
 集会は最後に「集会決議」を採択して終了した。この日の集会には120人の参加があった。本気でこの日本社会を変革しなければならない。そのぎりぎりの所に立たされているという危機感を共有する集会だったのかもしれない。

新宿駅西口で
キャンドル行動
 2月27日の集会に引き続いて、3月1日、午後6時から新宿駅西口で3・1キャンドル行動が行われた。60人ほどの市民が参加して、韓国・朝鮮民衆との連帯の想いを発言と歌で表した。
 歴史修正主義に対する批判、徴用工問題と強制連行、元日本兵への差別問題、日韓の右翼が連携して軍隊「慰安婦」問題を潰そうとしていることへの批判、朝鮮学校への差別と歴史歪曲教科書への批判、沖縄を再び戦場にしてはならないというアピール、改憲反対の大きなうねりをのアピール、米韓合同軍事演習と日本の軍拡・改憲への批判など、発言が続いた。
 最後はペンライトをかざしながら、韓国民衆歌の大合唱でこの日の行動を終えた。
 「われらはプリパ(草の根)だチョッタチョア~ ともに死にともに生きチョッタチョア~ ひざまずいて生きるよりは立ったままで死のうじゃないか われらはプリパだ~」……3・1独立運動から61年後の1980年、民主主義を求めて命を懸けて軍事政権と戦った光州民衆蜂起の歌声が、新宿のビル風に乗って耳元を通り過ぎたような気がした。     (R)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社