ロシアは直ちに撤退を

3.11新宿大アクションに1200人
殺される人々への思いをこめて
世界の人びとと共にSTOP戦争

震災犠牲者・
被害者と共に
 3月11日、「ロシアのウクライナ侵略糾弾!即時撤退を! 0311新宿大アクション」が夕方6時から行われ、主催者発表で約1200人が参加した。戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が呼びかけた。
 出発集会は新宿中央公園で開催され、青と黄にライトアップされた東京都庁を背景に簡易ステージが設置され、3人が発言した。
 まず、総がかり行動の共同代表・高田健さんが主催者あいさつ。「今日から11年前の3月11日には東日本大震災が起き、福島原発があり、たいへんな犠牲があった。いまだおおぜいが苦しんでいる。今日の行動は、そうした人たちの思いと一緒になった行動としたい」と訴えた。
 続いて市民からの訴えとして、日本体育大学教員の清水雅彦さんが黄色地のワイシャツに青地のネクタイ姿で発言。「日体大には保守的なイメージがあるが、7日にはウクライナ侵攻に対して学長名の抗議声明がだされた。9日には横浜キャンパスの学生4人が、最寄り駅での地元九条の会の街頭宣伝に参加した」と、抗議行動の深まりを紹介した。そのうえで、①ロシアによるウクライナ侵攻は国連憲章違反であること、②日本は核兵器禁止条約を批准して核廃絶を先頭に立って目指すべきこと、③大国による小国への侵攻・侵略に悪用されてきた集団的自衛権規定を見直すべきと、共同した運動で共有すべきポイントを示した。
 清水さんの専門は憲法学、教員免許取得をめざして履修する学生に憲法を教えている。

民話イメージ
と重ね合わせ
 3人目の発言は作家の落合恵子さんから。落合さんは「表参道と大阪で子どもの本屋をしています」と自己紹介。この時期に最も人気の高い絵本がウクライナ民話『てぶくろ』だと紹介。「ある雪の日、子犬と散歩をしているおじいちゃんが一方の手袋を雪の道に落としましたが、そのまま帰宅してしまいます。そうすると、雪の中にいたいちばんちいさい動物のネズミがこの手袋を家にするわと中に入ります。続いてウサギがやってきて、私も中に入れてと続いて続いて動物たちがやってきて、やがて大きなクマまで入ってきて、みんなで手袋の中にいる」というあらすじを語り、「いま私たちに必要なのは、この『てぶくろ』的なキャパシティではないでしょうか。そしてそれは戦争をしないということです」と訴えた。
 デモ6時30分に出発、戦争をさせない1000人委員会、市民、憲法共同センターの順で出発、新宿駅南口や花園神社前を経由し、新宿遊歩道公園・四季の路で流れ解散した。

反戦ナショナリ
ズムではなく
 3月11日のこの日、原発事故避難者11名が福島県に対して損害賠償を求める集団提訴を東京地裁に行った。内堀福島県知事は、復興庁と協議の上で17年3月末をもって区域外避難者への応急仮設住宅の供与を打切ることを決定。2年間のセーフティネット契約が終了した19年4月以降は不法占拠者とみなし、退去しない場合には約定家賃の2倍の損害金を支払いの督促を続け、原告らを追い詰めた。
 東京都庁のライトアップは2月28日からだ。これはウクライナ政府から日本政府に対して行われているさまざまな要請の一環で、小池都知事が保守政治家として地方都市で進んでいる反戦決議などをけん制し、外交・軍事は中央政府が占有するという元防衛大臣としての表現の一つだろう。3月6日、小池は2年ぶりに開催された東京マラソンのスターターとして登場、青のマフラーと黄の防寒着姿で装い、「(東京での)銃声は号砲だけ」(日経デジタル)という主旨の発言をしたという。
 3月11日の定例記者会見では、モスクワとの友好姉妹都市などロシアの都市との交流停止、ウクライナからの避難者に都営住宅100戸を用意し、最大700戸まで対応することを表明した。自公政権は福島原発事故の避難者を利用し尽くし、次はウクライナの避難者を利用する。

分断にくみせず
つなげる運動へ
 この間、社会運動内部から「3・11はチャンス」、「ウクライナ問題は脱原発のチャンス」などという言説が発せられていた。
 知人からの紹介で、『季刊ピープルズ・プラン』が昨年12月発行の終刊号で、「3・11以降の民衆運動と安倍政権とのたたかいを検証する」と題した座談会記事に「3・11の後の緊急会議はこの会議室に70~80人の人が溢れかえるかのように―略―このチャンスに反原発運動をやらないか……」との発言を掲載していることを知った。緊急会議とは、11年3月24日にピープルズ・プラン研究所の会議室で結成された福島原発事故緊急会議で、同会議のホームページは20年4月に予定していたシンポジウムが新型コロナ感染拡大で延期となった記事以降の更新は行われていない。
 知人は記事を紹介する際、「福島事故は、震災前に脱原発を実現できなかった自分たちにも責任の一端があるとの思いで運動を継続してきたのに」と、社会運動の内部からこうした考えがおおやけにされることを残念がった。私が別の知人にこれを話すと、「福島で起きている分断にも共通するものがある」と意見をくれた。
 たんぽぽ舎は月~土曜に「地震と原発情報」という名称のメールマガジンを発行、「現在の受信者は約6000人」とする。このメルマガは、複数のメーリングリスト宛にも発信され、メッセージ全文を転載するブログなども多いことから、ゆうに一万人を超える読者がいるのだろう。
 3月8日のメルマガに、環境経済研究所代表の上岡直見さんの記事の内容紹介として「ウクライナ問題は脱原発のチャンス」「核武装に利用(安倍元首相)はまちがい」という文言が並んだ。上岡さんの文章では「安倍元首相に代表される右派勢力はウクライナ問題を核武装論に利用しているが、むしろ脱原発のチャンスではないか」と書かれているが、メルマガ編集者がこの一部分を抜き出して作成した文言のようだ。「ウクライナ問題は脱原発のチャンス」をどう読んだらいいのか。おそらく編集者の意図は、先述の『季刊ピープルズプラン』の「このチャンスに反原発運動」と共通するのだろうと考える。
 新宿中央公園からのデモは、数年ぶりにあった同じ産別だった労働組合で活動する知人といっしょに歩いた。近況を報告しあう中で、私はこの「2つのチャンス」について怒っていることを伝えた。知人からは「便乗型の考えですね」という感想をもらった。私が怒っている理由を「被害がなかった場所で、被害がおよばない安全な場所で行動するにも、犠牲者や被害者に思いをはせるべきだ」と伝えて別れた。
 高田さん、清水さん、落合さんの共同行動での発言をレコーダーで聴き直し、会場で配布されていた総がかり行動のチラシ「ロシアはウクライナから即時撤退を。(*)」を読みながら、共同行動をともに進めるためには必要な情報だと考え、「2つのチャンス」について書き加えた。

    (3月12日 斉藤浩二)
新宿駅周辺は「ロシアは撤退!」の声響く(3.11)

(*)
http://sogakari.com/?p=5805

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