2.21関生大阪第2事件控訴審で不当判決

何でそこまで企業をかばうのか
不当判決に新たな怒り

 【大阪】全日建連帯労組関西地区生コン支部の2017年12月12日のゼネストに関わってでっち上げられた威力業務妨害事件(大阪第2事件)の控訴審が2月21日、大阪高裁であった。傍聴券を求め100人ほどが並んだが、傍聴できたのは40人ほどだった。判決は、控訴棄却だった。

大阪事件の
2つの現場
 ゼネストは、大阪広域協組が約束した生コンの輸送運賃値上げ(労働者の賃上げの原資となる)を求めて闘われた。ゼネストの規模はミキサー車など計1500台、セメント出荷基地と生コン工場で輸送が止まった。ストライキの時、組合員以外の運転手に対してはストライキへの協力要請を行うのはごく普通のことだ。セメントメーカーから生コン工場にセメントを輸送するバラセメント車の運転手に対して関西一円数十カ所のセメント出荷基地SSで要請行動が行われたが、そのうち大阪港SS(宇部三菱セメント)一カ所での行動が、翌年の2018年に威力業務妨害として事件化された。
 さらに、このゼネストの日に生コンクリート会社である中央大阪生コン(大阪広域協組副理事長の会社)が、生コン輸送の専属契約をしているK輸送会社との契約を打ち切った。ストライキがあっても生コン輸送が確保できる別の会社に切り替えるのが狙いだったと想像される。当然、組合は就労を要求し、契約打ち切りに反対し抗議した。これも当然の行動だ。ところが、この行動が威力業務妨害として、2018年に事件化された。
 これら大阪港SSと中央大阪生コンを現場とする事件(大阪第1事件)の弾圧があってからしばらくして、その事件を共謀し、指示したとして武委員長他2人が威力業務妨害で逮捕された(大阪第2事件)。武委員長の裁判は分離統合されているので、大阪第2事件の被告は2人である。

労組の行動でも
過激だから有罪
 判決公判では裁判長が替わっていて、新しい裁判長が判決全文を読み上げた。公判後、裁判所前の若松浜公園で報告会が開かれ、太田弁護士が判決の解説をした。
 「学者の意見書も若干は採用してくれたが、検察官が不同意したものは全部認められなかった。学者の証人申請も認められず、西山さんの本人質問も認めなかった。このようなことはある程度予想していたが、現場の行動はともかく、西山さんが現場とどういう連絡をしたのか、また現場での出来事を西山さんがどの程度知っていたのかは、何も証拠がない。統一的な行動で、みんながゼネストに向けて行動していたから、威力業務妨害だとわかっていたはずというのが裁判官の判断。そういう理屈なら、ゼネストは全部アウトだ。2010年の時の大規模ゼネストは誰も捕まっていない。こういう判断をしないと共謀認定できないということだ。裁判は当然上告する。今度は、憲法を中心に書く。憲法28条(労働3権)による正当な活動だということだ。裁判官にわかってほしいのは、この判決で誰が損するのかということ。最終的には労働者、市民だ。跳ね返って日本社会がどんどん疲弊していくということだ」。
 「1審判決はひどかった。おまえらひどいから有罪だという感じ。控訴趣意書では、労働組合としての活動であることを判断しろと書いた。さすがに今回その点は、賃上げを要求し、産別組合としての活動であったと認定したが、やり方がひどいとして結論は同じだった」。

産別運動の認定
あったものの
 続いて、全日建連帯労組中央本部の小谷野書記長が発言した。
 「1審の判決は声を荒げてとかの形容詞が多かった。例えば上田組には組合員がいないから、団体交渉の相手にならない、労使関係もない、だから争議行為をするのはおかしい。そういう論理で組合の行動を否定したのだが、これを労働法学者は産別組合運動の無知無理解だと酷評した。今回はこの点を若干修正した。このストライキは運賃値上げが目的だったと。気になるのは、ストライキで団体行動するときに、輸送車の前に立ちはだかって妨害したのは、企業側の社員だったということ。ところが裁判官は、企業がこれらの対抗措置をとるのは当然だと言った。何でそこまで企業をかばうのだと憤りを感じた」。
 「同じことは、中央大阪生コンでストライキにこと借りて、連帯の労働者が働いているK運輸という会社を排除した。これは不当労働行為だとわれわれは考えているが、放り出されたのは労働者だという本質を判決は覆い隠している。労働組合の活動を理解したように見えながら、お化粧してもっと悪くなったと感じている」。
 「もうひとつ共謀について、1審は計画的組織的に行動したから問題だと言った。今回は、ストライキの協力要請に相手が応じないのはわかっていたのだから、はじめからとめるつもりでやると共謀したのだと判断した。一人一人が判断して行う行動を罪とするような判決だ。上告し、この判決の批判を深め、産別運動、企業の枠を超えた労働組合運動の正当性を社会的に評価させる運動をつくっていきたい」。
 最後に、小林さん(大弾圧を許さない大阪実行委員会代表・全港湾大阪支部委員長)が終わりのあいさつをし、22歳の息子に「お父さん立派だ」と言われて泣いたとエピソードを披露した大原さん(関生支部執行委員)の音頭で団結ガンバローを行った。
 追記 大阪第1事件の控訴審判決は5月23日に予定されている。
      (T・T)

不当判決にさらなる闘いを確認(2.21)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社