3.13あれから11年 原発事故は終わっていない

いわき 原発再稼働反対! 汚染水海洋投棄反対
被災地住民の健康と生業を犠牲にするな

 【いわき】「汚染水放流」(水性放射性物質大量海洋投棄)を来春に控えた、今春3月13日、130人が参加して「あれから11年原発事故は終わっていない!3・13アクション」が「原発事故は終わっていない。原発再稼働反対。汚染水の海洋投棄反対」の3点のスローガンの下、スタンディングをイオンモール小名浜前で実施した。主催者、実行委員会は労働団体(地方労・市労連・小名浜地区労・いわき地区交運)、政党(立憲民主党・共産党・社民党)が結集したものである。
 また労働団体中にあって、3単産共闘(全港湾・全日建連帯・全国一般全国協議会)は全体を糾合する役割をはたしてきた。その3単産共闘は2014年に、全港湾・全日建連帯・全国一般全国協議会の3単産の青年層により原発事故の風化阻止を目的として結成された。以来、街宣、要請行動をし、克原発について学び脱原発を訴える活動を実践してきた。

若い世代が運
動の中心担う 
 スタンディング中のあいさつは立憲民主党の古市光久さんから開始し社会民主党・日本共産党の3政党、地方労・市労連・小名浜地区労・いわき地区交運の労働4団体が発言した。3単産共闘の全労協全国協議会は東京から参加した平賀委員長、渡辺書記長を先頭に18人が参加した。
 発言に立った渡辺書記長は、「汚染水海洋投棄により風評被害が発生したら賠償すると言うが発生するのは実害。報道の誤魔化しを許さない。汚染水保管用地、処理方法共に存在する。現場の闘いと連帯していく」とあいさつした。
 またキャラバン団長の齋藤さんは、「いまの原発の問題は処理水問題。それは放射性物質を含みただの汚染水だ。国は『原発の再稼働・新規建設』も計画している。事故後社会人になり結婚した自分は子供もいる。妻は富岡町出身。『すぐに会えた友だちにも会えなくなった』の話を聞いて真剣に考えるようになった。子供たちにも事故を経験した自分たちが原発の怖さを伝えていかなければならない。原発とは共存できない。事故の風化を許さない。二度と原発事故が起さないように若い世代で声をあげ今後も活動していく」と決意を述べる等若い世代が席巻した取り組みであった。
 
汚染水の放流
棄民政策反対 
 事故直後政府が発した緊急事態宣言は未だ解除されない状態である。政府は「福島の復興なくして日本の再生なし」とする言説を再三なしてきた。しかし、それは強引な「短期廃炉方針」から発生する不都合な真実から生じる損害を、他者に転嫁する苛烈な「棄民政策」である。現在政府・東京電力が図っている、汚染水放流は、その典型である。それは除染なき帰還・被災者分断・被曝強制・被曝被害者放置・実態なき廃炉・収束作業労働者の使い捨て等々である。
 
これ以上被害
を強要するな 
 国・東京電力は被災地の帰還困難区域を再編し帰還政策を推し進めている。その実状は居住地以外の除染をサボタージュする「除染なき帰還強要」である。またそれは被災住民への差別分断攻撃でもある。
 国・東京電力は避難指示区域を一方的に指定し区域外に居住し避難を強いられた住民を「自主避難者」と呼称し、従来の住宅提供を打ち切った。あまつさえ県はこれに追従し家賃の2倍請求を実施してきた。また避難指示解除の条件に20msv基準を採用し帰還住民に対して、被曝を強制しているのだ。
 国・東京電力は3・11事故以降「福島の復興は政府の責務」と宣言してきた。しかし実態は復興を人質にした内実を伴わない廃炉工事の強行に他ならない。そして収束作業労働者に被曝労働を強いつつ、放射性物質を垂れ流しの継続なのである。
 巷間、廃炉工事について「最難関は燃料デブリの回収である」と言われてきた。汚染水放流不可避の理由の一つとして、デブリ取り出し装置に関連した実験装置などの設置スペースの確保を挙げてきた。しかしその作業の現段階は実験装置は未だ設計に至っていない。
 デブリは性質、形状、回収量等不明な諸点が存在し、当然にも保管については、場所、方法も策定することはできていないのが現状である。またそれ以外にも除染工事、廃炉作業に伴い発生する放射性廃棄物(汚染水の浄化に伴い発生するフィルターもその一つ)がある。
 福島第一原発敷地内は処分方法の確定不可能な放射性廃棄物及び使用済み核燃料で溢れ、ガレキ等の放射能汚染ゴミに至っては、保管庫製造等の処理スピードが発生に追いつかず野積み状態になる事態に陥っている。
 こういった現実を無視できなくなった国は、廃炉資料館(富岡町所在)において配布する『廃炉の大事な話』の中で「廃炉完了後の姿は確定することが出来ません」と記述するに至った。他方前原子炉規制委員会委員長更田豊志は今年3月「福島第一原発の廃炉時期を見通すことは不可能」と発言した。「現行廃炉工程破綻」のこの事態について国・東京電力は「廃炉」の規程をねじまげ、謝罪すらなく1F敷地内が高濃度放射性廃棄物保管場となる事態を開き直っているのだ。
 国・東京電力が現地の反対を無視し、地元漁民との約定も踏みにじった「処理水放流」とは、放射性物質及び毒性化学物質の大量海洋投棄以外の何物でもない。国・東京電力はいわゆる「処理水」について「放射性物質は規制基準内である」と再三言明している。
 しかし汚染水は、今後も止まらない。それは、福島第一原発周囲からの地下水流入を止め、敷地内の土地を環境から隔離しない限り続くのだ。汚染水の海洋投棄は、まさしく被災地住民の健康と生業を犠牲にする、棄民政策そのものである。原発事故は未だ続いている。放射性物質の漏洩は未だ続いている。
 これ以上被害を拡大させてはならない。被災者を救え。原発事故はもう起こさせてはならない。原発の利用を許してはならない。
         (浜中)

汚染水海洋投棄は許さない、若者を先頭に130人がスタンディング(3.13)

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