3.13さよなら原発関西アクション
原発やめて! 核燃サイクル中止!
未来の世代につけを回すな
【大阪】さよなら原発関西アクション実行委員会(ストップ・ザ・もんじゅ、大阪髙教組など)主催の〈さよなら原発2022関西アクション〉が3月13日エルおおさか大ホールで開かれた。
ウクライナで
原発が標的に
主催者あいさつをした池島芙紀子さん(ストップ・ザ・もんじゅ)は、「3月13日は大阪大空襲の日、ウクライナへのロシア侵攻で原発が標的になっている、不測な事態が起きないか心配。同じことが日本でもあるなら、一番危険なのは青森県の再処理工場だ」とし、これを早く止めるために頑張ると述べた。
宮下正一さん(原発反対福井県民会議事務局長)は、「もうこれ以上は要らないと、1976年7月に県民会議をつくったときはすでに9基ができていた。それからずっと反原発運動をやってきたが、成果は、もんじゅが止まったこと。高浜町の助役だった守山氏が関電幹部に小判やスーツの仕立券、株券等を賄賂として贈った件では、告発する会を結成。告発人が3377人あつまり大阪地検に告発したが、地検は2年も放置したあと却下した。これにめげず、3回目の検察審査会告発を準備している」と述べた。
神田香織さん
が講談で語る
続いて、神田香織さんが講談「ローマ教皇との運命の出会い」を披露した。東日本大震災の時の福島原発事故で、鴨志田マツキ君は高専に勤めている父を残したまま、母親と弟と3人でいわき市から横浜に避難した。マツキくんは横浜の中学校でひどいいじめに遭い、転校する。するといじめはなくなったが、その代わり自分の出身地を隠さなければならず、そのことがマツキくん自身の心を破壊していることに気付き、その苦しい思いをローマ教皇へ手紙で訴えた。返事は来ないと思っていたら、2019年ローマ教皇から招待状が来てサンピエトロ大聖堂で会見した。その後教皇が広島・長崎訪問のため訪日したとき再会した。教皇は帰国の飛行機の中で、脱原発をはっきり表明した。そのような内容の話だった。
講演に続いて、8年前に東京から神戸に避難してきた下澤陽子さんがアピール。東京は福島から離れているのに何を大げさなことを、と思われるかもしれないが、ホットスポットがある。娘は神戸に引っ越してから、みるみる体の調子が回復したと語り、国の安全基準は本当のことを述べていないと語った。
休憩を挟んで、山崎誠さん(立憲民主党衆議院議員)が「原発ゼロ・核燃中止を実現するために」と題して講演をした(発言別掲)。
元福井地裁の
裁判官も発言
講演が終わると、司会が会場にいる樋口英明元福井地裁裁判長を指名し発言を求めた。樋口さんは「原発はエネルギー問題だと思われているが、私は国防問題だと思っている。原発にテロ攻撃はないといえるのか。戦争になれば標的兵器になる」と発言し、早く廃炉にすべきだと述べたのが印象的だった。
会場からの質問はひとつあった、「原発ゼロ法案は廃案になったが、改めて提出する考えはあるのか」。山崎さんは、「いまの立憲民主党の党内事情は、ゼロ法案を作ったときと同じではなく、正直言って再提出は難しい。未来世代法案を出して、原発は動かしたらいけないと言う風にもって行きたい」と応答した。
最後に集会決議が提案され、拍手で採択された。コロナ感染のため、予定されていたデモは中止になった。 (T・T)
山崎誠さんの講演から
原子力に関わる最新の動き
EUは、脱炭素社会の実現に向けて(気候危機に直面して)、原子力発電を地球温暖化対策に役立つエネルギー源と位置づけると正式に決めた。それにより、ドイツなどは揺り戻しが起きているが、オーストリア・スペイン・デンマーク・ルクセンブルクなどは、原発を風力や太陽光などと同じように扱うことに反対している。
一方で、ウクライナ戦争で明らかになった戦争に巻き込まれる原子力施設の問題がある。日本の原子力規制庁は、安全審査をする場合、原発に対する武力攻撃は想定していないという。ウクライナに対しロシアのミサイルが同時に100発発射されたが、日本の原発に対し同じことが起きたら、日本の原発の安全は守れるのか。敵基地攻撃能力により守るというのが政府答弁。荻生田経産相は守るのが難しいことを認めた(3月10日東京新聞)。地震にしても、1000ガル以上の地震に対して大丈夫か。
テロ攻撃に対して、監視カメラがあるから大丈夫といった程度のお粗末さ。戦争になりミサイル攻撃があれば、原発は標的という兵器になるのは明らかだ。六ヶ所再処理工場に飛行機がぶつかる時のリスクは、極めて小さい確率でしか起きないので大丈夫と規制庁。戦争の時のミサイルと同じお粗末だ。
気候危機で息を吹き返す原発で、原子力村が使っている革新的原子力という用語。具体的には、小型原発(モジュール炉)・高速炉・小型軽水炉・核融合などを意味するようだが、基本的に危険度は何も変わらない。
ウクライナと
核燃サイクル
ウクライナ戦争での原発占拠という事態が起きた。私たちは、原発は廃炉にし、エネルギー自給体制をつくるという方向をめざす。もう一つは気候危機に加えエネルギー安定供給の危機だから、原発再稼働へという方向。後者はロジックをすり替えて、減容化・有毒度低減をして、核燃サイクルを維持するという政府方針だ。核燃サイクルを採用している国は、世界で4カ国のみ。フランスの運転中の原発は56基、使用済み核燃料を再処理し、プルサーマルで利用している。ロシアの運転中の原発は38基、再処理後、高速炉で利用。中国の運転中の原発は50基、再処理後、高速炉で利用。米国の運転中の原発は94基。高速炉を含むさまざまな革新炉の開発・実証を推進中で、使用済み燃料は直接処分する方針だ。
直接処分する方針を表明しているのは、スウェーデン、フィンランド、カナダ、韓国だ。日本の場合、核燃サイクルの要である高速炉は実現できず、プルサーマルをどこまで動かすことができるか、使用済みのMOX燃料をどうするかが問題だ。
減らぬプルト
ニウム所有量
使用済み核燃料再処理により日本が所有しているプルトニウムは、46・1トン。六ヶ所再処理工場で年間800トンの使用済み核燃料を再処理すると6・5トンのプルトニウムができる。国の方針としては、これを12基のプルサーマル原発(現在は関電2基、四国電力1基、九電1基)で消費するとしているが、12基では消費しきれず、しかも使用済みMOX燃料が残る。だからプルトニウムは増えることがあっても減らない。米国は日本のプルトニウム保有を認めていない。
六ヶ所再処理工場は操業が25回延期になっていて、昨年7月六ヶ所再処理工場、また12月にMOX燃料工場が事業変更許可を取得した。今年追加安全対策工事などを経て竣工に向けて動いてはいるが、防災・避難計画の策定・地元の理解などの難問山積み。プルサーマル原発を12基まで再稼働させるのは大変だ。
政府の減量化はロジックのすり替えだ。使用済み核燃料を再処理し、低レベル廃棄物はガラスコンクリート化し、取り出したウラン・プルトニウムはMOX燃料として使用するというが、最後に劣化ウランが残る。これは戦略的に備蓄するという。高速炉ができなければ劣化ウランは廃棄物になる。
要するに、核燃サイクルの正当性は破綻しているし、経済合理性も失われている。であるのに、なぜ止められないのか。立地自治体に対し、使用済み核燃料の最終処分地とはしないと約束しているが、使用済み核燃料の行き先が決められない。そのような無責任体制の下にあるのが原子力行政だ。独立した評価機関が欠如している。そこで、立憲民主党としては、未来世代法案の国会上程を考えている。未来世代につけを回すのを止めさせる法案だ。使用済み核燃料は直接処分し、核燃サイクル事業の中止に向け、関係自治体との協議による新たな枠組みを構築したい。(発言要旨、文責編集部)
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社