キステムの非正規差別を許すな!

3.24盛岡地裁でパート有期労働法裁判開始
同一労働・同一賃金求め原告高橋さんが意見陳述

 裁判開廷前の10時、非正規差別撤廃を訴える集会が行われた。岩手と宮城の仲間ばかりではなく、16日の大地震で東北新幹線が不通であるにもかかわらず東京からも労働契約法20条裁判を闘いぬいた元メトロコマースの仲間たちと郵政ユニオンの仲間も裁判所前に駆けつけた。新聞社、テレビ局も裁判所には開廷1時間前から大勢取材に来て社会的関心の高さを如実に示した。新聞とテレビは、全国初となるかもしれない、新設のパートタイム有期雇用労働法(以下、「本法」という)を根拠に同一労働・同一賃金を請求する裁判が始まったことを報道した。
 傍聴券の抽選を終え、支援者たちは横断幕を先頭に法廷に向かう。被告キステム側は、答弁書で請求棄却を主張するのみで、裁判には弁護士も役員も誰一人姿を見せない。

原告髙橋さん
が意見陳述! 
 原告髙橋さんは、証言台から自分がなぜ提訴に踏み切ったかについての熱い心情を3人の裁判官に語りかけた。そして、「多くの人が本法のガイドラインに接して非正規差別を許さない行動を起こすことを願う」と結んだ。
 次回は電話会議方式で4月28日の開催となった。その1週間前までに、被告キステム側が訴状に対する具体的な反論書面を裁判所に提出する旨の確認をし、裁判が終了した。

新聞、テレビが
詳細に報道!
 午後1時から岩手県民会館で記者会見が行われ、髙橋さんは、「同じ仕事をしていて正社員と待遇が違うことに疑問を感じていた。非正規の若い人のためにも闘っていきたい」と率直に心情を述べた。また、担当の仙台法律事務所霜越弁護士が、本法8~9条を根拠に同一労働・同一賃金を請求する訴訟の開始は貴重であり、これから出される相手の主張を見てから反論を重ねたいと抱負を述べた。

この裁判の
論点について
 2018年6月にパートタイム労働法の改正法である本法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が成立し、2020年4月1日(中小企業2021年4月1日)施行となった。この過程で労働契約法20条(不合理な待遇の禁止)は廃止され、以降は本法8条で「不合理な待遇の禁止」の成否が判断される。
 では本法8条と、これまで労使の攻防が続いた労働契約法20条とではどこが違うのか? 本法8条では、「有期労働者と無期労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに照らして適切と認められる事情を考慮して判断される」旨が明確にされた。本法8条の特徴は、諸事情をそのまますべて考慮するのではなく、「賞与、退職金であれば賞与・退職金の性質・目的に照らして差別の有無を判断する」としている。
 2020年10月13日最高裁は、大阪医科薬科大学の賞与及びメトロコマースの退職金に関する判決で、当該待遇の性質・目的に関係なくすべての事情による「総合判断」を行い、高裁判決を覆し「差別待遇に該当しない」と判示した。本法8条の出現によって、請求を棄却する理由だけで使われる「総合判断」を阻止できるものと信じる。キステム裁判は、裁判所に法改正の意味をしっかり理解させて勝利できる。

「髙橋さんを支援
する会」が発足!
 引き続き県民会館で「同一労働・同一賃金を求めて闘う支援する会」結成総会が畠山健治副代表の司会で行われ、岩見千丈代表以下4人の役員が承認された。また、「多くの仲間でキステムを包囲し非正規差別をやめさせる」「裁判所が正当な判決を下すよう支援の輪を拡大する」「長期戦に耐える財政を確立する」などについて全員で確認することができた。
 その後、参加者一人一人から連帯挨拶をいただき、闘いの勝利を確信して結成総会を無事終了した。多くの皆様方が支援する会に結集して共に闘ってくださるようお願いする。

キステム社前行動、
経団連本社行動へ
 4月8日午前、宮城合同労組がキステム本社に出向き賃上げと夏季一時金の要求書を提出した。引き続き昼休み時間に「22けんり春闘実行委員会」の主催で首都圏の多くの仲間と共に社前抗議行動を展開した。午後2時半からの経団連本部抗議行動でも非正規差別を弾劾した。
 キステムはもっぱらNTTの工事現場の警備を行う2次請負会社であり、NTTや経団連の非正規労働者を生贄とした差別的な労務政策を踏襲しているといえる。職場には情報労連の組合があり非正規労働者も加入しているのだが、情報労連は、社員の8割にあたる900人の非正規社員に賞与が一円も支払われない状態を黙認ないし、推進している。経団連と連合が一体で作り出そうとしている労働分野の収奪構造を許さず闘いぬこう!
(宮城合同労組委員長 
      星野憲太郎)

 ■入会資料請求先 下記へ送付先の住所とお名前をお知らせください
宮城合同労組 メルアド roudou2000jp@yahoo.co.jp
FAX 022-222-7734

非正規差別許さない、多くの仲間と共に盛岡地裁へ(3.24)

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