4.8キステム本社前行動
非正規使い捨て経営許さない
同一労働同一賃金を認めよ
差別への反撃へ
多くの仲間結集
4月8日午後12時半から、22けんり春闘総決起行動の一環として、NTT関連会社の(株)キステム本社(東京都台東区)に対し、同社水沢営業所で働く契約労働者の高橋さんが受けてきた差別的処遇解消を求める抗議要請行動が行われた。
高橋さんは同営業所で10年働いてきたが、同職務の正規職労働者よりも月額賃金が5万円低く、一時金もまったく支払われないという差別を受けてきた。高橋さんはこの理不尽な差別に納得せず、当初は社内的手続きを通して解消を求めたがらちが明かず、昨年全国一般全国協宮城合同労組に加入。そして今年1月12日、パートタイム・有期雇用労働法(以下パート法)8条、9条違反として未払い賃金支払いを求める裁判を盛岡地裁に提訴(この間の経過は本紙1月31日号参照)、その第1回口頭弁論が3月24日に行われた。また同日には「同一労働同一賃金を求めて闘う高橋さんを支援する会」(以下支援する会)の結成総会が開かれたばかりだ。
高橋さんは3月24日の原告意見陳述で「これから大きな希望を抱き、社会へ旅立とうとする多くの若い世代のためにも」と「公正な待遇の実現」を力強く訴えた。4月8日の行動は、この高橋さんの思いを引き受け、日本社会の中にはびこる非正規使い捨て経営を打ち壊す闘いへの挑戦を込めたもの。同本社前の歩道には、地震の影響による東北新幹線の不正常運行をおして東北から上京した宮城合同労組の仲間を先頭に、22けんり春闘に結集する多くの仲間が駆けつけた。
非正規差別で
成り立つ経営
行動は宮城合同労組の半崎副委員長司会の下に、22けんり春闘共同代表の渡邉洋全労協議長の、大手労組の社会的責任を放棄した春闘を中小・非正規の闘いで覆そう、非正規の権利確立を中軸的闘争に押し上げよう、との発言で始まった。次いで宮城合同労組の星野委員長。3月24日の裁判を、記者席が満席になるほど報道もつめかけ注目を集めたと紹介した上で、総数1100人の労働者のうち正規職は200人、残りには一時金ゼロ、というキステムの雇用実態を指摘し、このような差別を前提とした経営の横行を止めよう、2000万人を超える非正規労働者のためにも何としても勝たなければならない、と力を込め、合わせて支える会への結集も訴えた。
共同を広げ
差別打破へ
この訴えに連帯発言が続く。まず全統一労組の佐々木書記長。この行動の前には、労組を結成し権利主張に立ち上がったフィリピンからの移住労働者を全員解雇し、新たに別の移住労働者を雇い入れ事業継続を図るという、露骨な外国人差別を続けるホテルへの抗議行動が行われていた。佐々木さんは、この闘いを含めキステムへの闘いを差別が横行する社会への反撃として、労働者全体に関わる闘争へ全力で押し上げようと訴えた。
郵政ユニオンからは中村書記長。労契法20条裁判で勝ち取った最高裁判決を足場にまだまだ不十分だが就業規則改定に踏み込む回答を強要しつつある、と自らの闘いを紹介しつつ、非正規差別は許さない、を社会的な声にする闘いとして高橋さんとともに闘う、と決意を述べた。
JAL被解雇者労組(JAL争議団)の仲間も発言に立ち、非正規差別の問題は解雇されてはじめて分かったところがあると明かしつつ、学びながら共に差別に立ち向かうと連帯を表明。
非正規差別に反撃する道を切り開いてきた東部労組メトロコマース分会の後呂さんは、支援する会も代表して連帯表明。後呂さんは、高橋さんは10年間ダブルワークで生活を支えてきた、と非正規差別の過酷な実態をあらためて指摘し、このような不公正を平然と続ける経営を野放しにしてはならない、何としても勝利を勝ち取るために支えようと呼び掛けた。
最後は、東電福島原発事故の収束作業で過労死した猪狩忠昭さんのご遺族から。ご遺族は、東電の最終下請け先の責任と損害賠償は認めたものの、東電や一時下請け先の責任を認めなかった福島地裁いわき支部判決を不服として仙台高裁に控訴している。ご遺族は、東電が携帯電話の構内持ち込みを許さなかったために救急医療が間に合わなかった、その携帯持ち込み禁止を否定した東電の嘘に立脚した地裁判決はとうてい承服できない、だから和解ではなく判決を求めている、イチエフの救急医療体制を正すためにも証拠に基づく公正な判決を勝ち取りたい、と強く訴えた。
パート法8、9条は、正規雇用労働者と同じ業務に就いているパート・有期雇用労働者に対しその雇用形態を理由とする基本給・賞与その他の差別的取り扱いを禁じている。しかしそれが絵に描いた餅になっているのが現実だ。そして有期雇用労働者が無期契約転換を果たしても以前の差別的条件がそのまま維持される、という不公正な事例も数多い。
キステムで立ち上がった高橋さんはその現実に正面から立ち向かおうとしている。さまざまな差別を当然のように織りこみ、労働者を分断し低賃金を押しつける経営をはね返そう。その突破口としてパート法の実効化を求める高橋さんの闘いを労働者全体で押し上げよう。この日結集した仲間はその闘いを共にすることを確認、その意志を込めたシュプレヒコールでこの社前行動を閉じ、次の行動に向かった。 (神谷)
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