福島第1原発 政府方針決定から1年
海洋放出に反対する全国一斉スタンディング行動
原発事故処理に
子どもの動員
福島県内をはじめ各地で毎月13日にスタンディングを行ってきた「これ以上海を汚すな!市民会議」と「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」はつぎのような呼びかけを全国に行った。
「2021年4月13日、政府は唐突に福島第一原発の敷地内のタンク貯蔵処理汚染水の海洋放出方針を決定しました。これは、地元漁業者との〝関係者の理解なしにはいかなる処分もしない〟という約束を一方的に反故にし、福島の自治体の7割が反対・慎重の意見書を出すなど多くの県民の声を無視するものです」「決定から1年となる2022年4月13日、私たちは福島の取り組みに連帯し、〝STOP!汚染水〟の声を各地で上げようと、〝全国一斉スタンディング〟行動を呼びかけます」。
1年前のこの日、首相を座長とする原子力災害対策本部は「燃料デブリの冷却や地下水の流入等によって発生する汚染水と、汚染水を多核種除去設備等で浄化した処理水を明確に区別し、汚染水と処理水の誤用を防ぐため」とし、会議などの名称を「廃炉・汚染水対策」から「廃炉・汚染水・処理水対策」に変更し、2年後をめどに実施する体制をととのえた。
政府の一方的な施策は福島県内ばかりではなく、全国で強行されている。昨年12月の関係省庁による対策チーム事務局の資料によれば「全国の小学生、中学生、高校生等、若い世代に対しては、放射線副読本にALPS処理水に関する記載を追加し、文部科学省のホームページで公表するとともに、ALPS処理水について分かりやすく説明したチラシ等と併せて、関係省庁が連携して全国の各学校へ配布・周知する」とした「教育現場における理解醸成に向けた取組の強化」がすでに実行されている。各地では、この副読本やチラシの回収を求める声があがり、配布を事前に止めた自治体や学校もある。国と東京電力に責任がある原発事故の後始末を、子どもたちに負わせることは許されない。
この1年とこ
れからの1年
4月13日、さようなら原発実行委員会が行った国会前の昼休み行動では、新たに製作したイラスト入りのバナーが登場した。行動はふぇみん婦人民主クラブの片岡栄子さんの司会で進められ、9人がアピールを行った。まず実行委員会事務局の井上年弘さんがよびかけの経過と、各地での実施状況などについて説明した。片岡洋子さんがふぇみんでの取り組みについて、脱原発をめざす女たちの会の土井さん、原発いらない金曜行動の沼倉さん、ピースサイクル三多摩ネットワークの棣棠さん、全労協脱原発プロジェクトの藤村さん、原子力規制を監視する市民の会の小川さんの発言がつづいた。
参加者約40人によるシュプレヒコールをはさみ、六ヶ所村に新しい風をおこす会の小熊さんが青森でのスタンディングの報告と6月12日投票の六ケ所村長選挙に核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団事務局長の山田清彦さんが立候補の準備を進めていることを報告した。さいごに、この1年間、毎月王子駅前などでスタンディングを続けてきた放射能汚染水放出に反対する北区の会の定塚さんが発言した。
4月15日、原子力規制委員会は東京電力の計画案をおおむね承認した。早ければ5月中にパブリックコメントを行い計画を正式に認可する運びだ、と報じられた。東電の計画は原発から1キロ沖合まで海底トンネルを通し海洋放出するというもの。国の認可のほか、福島県と立地の大熊・双葉両町の同意が必要となる。東電は工事期間を約10カ月と見積もり、来年4月中旬の完成をもくろんでいた。詳細設計の許認可手続きや工事確認にも時間がかかることから、ずれ込む可能性が大きい。また、韓国との二国間協議など、対外対策も焦点となるだろう。
新型コロナの緊急事態は宣言や解除が繰り返されているが、福島第一原発事故直後にだされた原子力緊急事態宣言は11年以上解除されないままだ。放出が強行され、順調に進んだとしても、開始から約30年の期間とした基本計画だ。事故発生から40年目、廃炉計画の40年と数字を合わせただけだ。廃炉後の敷地をどうするかなどの計画もなく海洋放出を先行することは、深い打撃を受けた漁業者らをはじめとした被災者・被害者に再度の負担を強いることは許されない。(KJ)

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