ロシアは原発に手を出すな
ウクライナに平和を
4.16さようなら原発首都圏集会
原発軍事攻撃
を許さない!
4月16日午後1時から、東京都江東区の亀戸中央公園で「ウクライナに平和を! ロシアは原発に手を出すな 福島原発事故から11年 4・16さようなら原発首都圏集会」が開催された。主催は、さようなら原発一千万署名・市民の会。福島原発事故の惨禍を二度と繰り返さないことを誓う首都圏集会は、「戦争の中で原発破壊の攻撃」がロシア軍によって引き起こされるという最悪の事態が現実になる中で行われることになった。
ピースボートの畠山澄子さんの司会で進められたこの日の集会は、「コロナ禍」の深まりによって、多くの制約に直面することになったが、同時にロシア・プーチン政権による「ウクライナ戦争」の中で原発が軍事的攻撃の対象となるという「悪夢」にどう立ち向かうかということが突き付けられる緊張感に満ちた集会ともなった。人びとが福島原発事故を経験し「あってはならないこと」と恐れた事態が、まさに今、世界の人びとが直面する現実になってしまったのである。集会には2300人が集まった。
平和はいかに
もろいものか
「西川meetsフォーク」の音楽で始まった集会で、司会の畠山澄子さんは、「ロシアのウクライナ攻撃から2カ月、避難した人も避難しなかった人も厳しい状況に直面している。原発と戦争について考える若い人びとが出始めている。『こんなに簡単に平和は崩されるのか』という子どもたちの声が聞こえてくる。戦争もダメ、原発もダメとハッキリ言おう」と呼びかけた。
続いて集会呼びかけ人の鎌田慧さん(作家)の発言。鎌田さんは「ロシアのウクライナへの軍事侵攻が続く中で、虐殺が予測されながら戦争を止めることができなかった。米国のバイデン大統領も『ホロコースト』が起きるとずっと言っておきながら、大量虐殺を止めることができなかった。安倍元首相は『核による日米同盟』を主張してきたが、チェルノブイリに塹壕を掘って多くの兵士が被ばくしたのが現実だ。1日も早く核兵器を撤去して平和の運動を大きくしていくことが問われる」と訴えた。
宇野朗子さん(福島原発事故刑事訴訟支援団)は「700万人が住む土地と家屋が汚染され、6万人の人びとがいまだに避難生活を余儀なくされている。今年になって甲状腺ガンになった若者が裁判を起こした。毎日何千人もの人びとが被ばくの中で働いている。こうした労働を余儀なくされている人びとを支えていこう」と呼びかけた。
トリチウムの
海洋投棄反対
次にトリチウム汚染水の海洋投棄に反対する訴えが行われた。政府は「安全」だとして来年には投棄の方針を実行に移す予定だ。「生態系を破壊し、気候をも変えていこうとする政府による海洋投棄をやめさせよう。責任を取るべき者が取ることが最低の条件だ」。「大津波の可能性を提起していた人がいたがそれは無視された。一審全員無罪の判決は大きなショックだった。6月6日の2回目の裁判で二審は結審という方針のようだ。独立した司法の責任をかけて、公正な判決を求める署名を、という呼びかけだった。今、福島出身の若者たちが中心になって、この署名運動を進めているという。土俵際で頑張ってなんとしても広げていこう」。
核燃サイクル阻止運動の山田清彦さんは、下北の反対運動で52万8700以上の署名を集めていることを紹介した。そして30年近くの間、年に4回の公判を抱え、これからも続けていくと意気軒高たる思いを語った。6月12日には六ケ所村の村長選挙があるが、3選をめざす現職村長に対し1対1の候補者として私が出馬する予定だ、と語った。
東海第二原発運転差し止め訴訟原告団共同代表の大石光伸さんは、「高裁は1年経った今も控訴審の裁判は始めていない。しかし今年中には始まるだろう。この10年の闘いは真相を明らかにする闘いだった」と訴え、「加害者が被害者に被害の実態を示すやり方を覆すことが必要だ。東海第二原発を裏で操っているのは東電であり、加害者の責任をハッキリさせる闘いを」と強調した。
チェルノブイ
リ事故と戦争
ウクライナへのロシアによる侵攻については原子力資料情報室の伴英幸さんが発言。伴さんは1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故との対比で、今回の事故について説明した。
「1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故は『小さな原爆が落ちたようなもの』とも言われたが、そこでは数千から数万人の人びとが亡くなったと言われる。今回の事態では戦争が戦線を拡大し、無差別攻撃となり、『勝者なき闘い』となった中で起こったものだ。ウクライナ侵略で明らかになったことは『戦争になったら原発施設が攻撃される』ということに他ならない」と。
ウクライナへの支援については日本YМCA代表の田口務さんが報告。「日本に住むウクライナ人の子どもに赤ちゃんが生まれた。日本への避難支援のためにカンパを呼びかける。これまでに26組70人の人たちを支援してきた。今日もウクライナから退避したいという訴えがきている。ウクライナは女性の大学進学率が90%に近いという国で、アイデンティティが軍事占領によって奪われる、という不安が強い」ということも紹介された。
最後に落合恵子さんが閉会のあいさつ。落合さんは「原発のある国に住んでいるという恐れに耐えていてはいけない。『加害者にならない自分』という意思を大事にしよう」と呼びかけた。
集会終了後、錦糸町駅まで元気にデモ行進を行った。 (K)
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