東京・「憲法記念の日」集会に1万5千人
施行75年今こそ平和・命・人権を
9条破壊を絶対止めよう・世界の人々と共に
ウクライナ危機
と改憲の大宣伝
5月3日の「憲法記念の日」、東京都江東区の有明防災公園で、恒例となった「憲法記念の日」集会(改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし 2022憲法大集会 祝!施行75年)が12時30分から行われた。主催は「平和といのちと人権を!5・3憲法集会」実行委。集会には1万5000人が参加した。岸田政権の下で、9条を軸にした憲法改悪への動きは確実に具体的なものとなろうとしている。
「ウクライナ危機」をも利用する形で、「国家機能の維持に必要な非常時体制を準備する必要がある」との議論が、自民党・公明党の与党だけでなく、日本維新の会、国民民主党からも仕掛けられる中で、「改憲の必要はない」としていた野党第1党の立憲民主党も態度を変えざるをえない状況に入りつつある、と5月3日の朝日新聞は報じている。その例として同紙が紹介しているのは、「現憲法の下で『オンライン国会』の開催は可能とする解釈を共産党を除いた立憲民主党をふくむ野党が賛成した」ということだ。
これは「コロナ危機」などに見られる「非常時」での緊急対処を口実に、憲法解釈の変更と、この「変更」の既成事実をテコにした改憲という流れが進みつつあることを意味している。それは現実の「危機」(戦争・災害・パンデミック)への対処をベースにした人びとの不安の広がりを土台に、「憲法改正」が不可欠という水路に人びとを誘導しようとする流れが、最終段階に入っていることを意味するものだ。
ロシアの戦争
今こそ止めろ
「晴れた5月の空の下」、川口真由美さんの歌で始まった2022「憲法記念の日」集会の司会者はPEACE BОATの松村真澄さんと総がかり行動青年PTの高木さん(東京清掃労組)から。主催者あいさつは実行委員会の藤本泰成さん(平和フォーラム共同代表)。
藤本さんはロシア・プーチン政権の「戦争宣言」とウクライナへの軍事侵攻を厳しく糾弾、「事態はさらに拡大する可能性がある。こうした事態は国連憲章21条4項に明白に違反するものだ。もちろん世界中から『ウクライナがんばれ』の声が上がっているが、長期化と被害の拡大の恐れが拡がっている。第1次大戦後『パリ不戦条約』が締結されたが、ナチス・ドイツは『自衛権』を口実に侵略戦争を拡大した。プーチン政権も『自衛権』の名においてウクライナを侵略している」と強調した。
藤本さんは、「日本国憲法は『自衛』の名による戦争を放棄したはずだ。しかしいま自民党政権は、自衛権の名の下に『核共有』というおろかな選択に踏み込んでいる。憲法が掲げる平和主義と国際主義は、『自衛権』をも否定している。それは第2次世界大戦の教訓だ」と呼びかけた。藤本さんは、「憲法が掲げる絶対的平和主義と国際主義の意義をあらためて確認する必要がある」と強調。自民党憲法調査会の「宣言」なるものが第2次大戦末期に沖縄が強制された「軍官民・共生共死」を彷彿とさせるものだと批判し、ウクライナ、ミャンマー、沖縄の人びとに思いをはせよう、と語った。
続いて「ウクライナ特別アピール」が菱山南帆子さんから提起された。
「全世界から地鳴りのようにロシアは侵略をやめろ、の声が高まっている。全世界の人びとの悲痛な声こそが希望だ。ロシアはただちに軍事行動をやめろ。米国と軍事費を共有し、自衛隊の軍事費を倍増し、戦争の危機をあおりたてる主張を許さない。全世界、ロシア、ウクライナの民衆に連帯し共に平和をつくり出そう」。
生きる権利を
闘いとるぞ!
国会議員からのあいさつは立憲民主党の奥野総一郎国対委員長代理、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島みずほ党首・参院議員から。れいわ新選組の櫛淵まり参院議員の秘書も参加、という紹介もあった。
市民団体からの発言は、「改憲問題対策法律家6団体連絡会」事務局長の大江京子さん、フリーライターの小川たまかさん、琉球大学名誉教授の高嶋伸欣さんから。大江さんは「敵基地攻撃能力」を前面に押し出し、全面戦争への衝動にかられた改憲案を厳しく糾弾、小川さんは「女性が声を上げればたたかれるあり方」を批判した。高嶋さんは「文科大臣を相手にした裁判をやっていた私が国立琉球大学に採用された」ということの意味を振り返り、人びとの権利がおびやかされるのを跳ね返す闘いの意味をあらためてかみしめる発言を行った。
ジャーナリストの竹信三恵子さんは「憲法から見た貧困・労働問題」をテーマに「9条の役割は国の富を生活のために使う構造をつくり出すことにあった」と語り、「軍事にカネを使う社会は介護や福祉におカネを使わない。5人に2人が非正規という社会は賃上げも、待遇改善もできない社会だ。関生労組での大量逮捕、ストライキを『威力業務妨害』に仕立て上げるありかたは、労働3権破壊の現実を示している」「明日の生活のことを考えればこそ、9条をなくしてはいけない」と強調した。
連帯のあいさつに立った中野晃一さん(市民連合・上智大教授)は「今日の朝日新聞で、優先すべき課題の中で『憲法』を挙げた人は2%にすぎない」と指摘し、「『抑止』といえば『武力』のことと誤解されているが、『安心供与』と『抑止』がセットでなければならない。しかし『安心供与』を9条3項に入れるとそれが軍備を拡大するというジレンマもある」という、やや混乱した(としか思えない)主張もあった。
このあたりの問題点もふくめて、反改憲運動の基本的あり方のいっそうの論議が必要だろう。集会後にはデモも行われた。 (K)

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