5.1第93回日比谷メーデー

労働者の連帯で人権破壊の時代変えよう

コロナ解雇を
絶対に許すな
 5月1日、メーデー。この日午前10時から、「働く者の団結で生活と権利、平和と民主主義を守ろう!」をメインスローガンに、第93回日比谷メーデー集会が日比谷公園野外音楽堂で開催された。主催は同メーデー実行委員会。コロナ感染の終息がまだ見えない中、同実行委員会も動員を一定程度制限せざるを得なかったが、それでも3年ぶりの大衆集会であり、林立する組合旗や諸団体の旗に加え、趣向を凝らした手作りのプラカード、横断幕、デコレーションが随所で目立つなど、会場内外には久しぶりの活気が溢れた。
 なお同日には代々木公園でも第93回中央メーデー集会が開催され、両集会では双方の代表が連帯あいさつに立ちエールが交換された。また、「コロナ解雇を許すな! 雇用の継続と休業・生活補償の充実を!」「ジェンダー平等! なくせ貧困・格差・差別、8時間働けば暮らせる社会を!」「福島原発事故を忘れない! 原発ゼロ社会・復興の実現を! 核兵器廃絶!」「反戦平和! 9条改憲反対! 辺野古新基地建設阻止! 岸田政権は退陣を!」の4本のサブスローガンは、両集会の共同スローガンとして統一された。

ロシアの侵略
止めさせよう
 集会は、中小民間労組懇談会代表の平賀雄次郎さんによる、ツケが労働者民衆に回される人権破壊の時代のメーデーであることを心に刻み、労働者の連帯をあらためて固めそれをはね返すメーデーに、との開会宣言で始まった。
 主催者あいさつは国労東京地本委員長の鎌田博一さん。鎌田さんはまず、ロシアによるウクライナ侵略を糾弾した上で、日本の岸田政権や自民党、維新などがそれに便乗して改憲・軍拡・立憲主義破壊扇動に乗り出していることとの断固とした対決を訴えた。さらにコロナがあぶり出した貧困と格差拡大の中で、日本の支配層がなおも実質賃金切り下げ、公共サービス解体、労働規制解体を進めている現状を厳しく批判、これに対し、最低賃金をはじめとした賃金大幅引き上げ、公共サービス再建、労働者の権利の確立と差別の根絶の要求を軸に労働者の連帯した闘いで挑み、人権尊重の社会を作り上げようと呼び掛けた。
 連帯のあいさつが、都労連委員長の西川晋司さんと第93回中央メーデー実行委員会の黒澤幸一さんから行われた。西川さんは特に、コロナが社会に内在する不条理を暴露したとして、不平等の深化や貧困化の実情を具体的に取り上げ、公的保障を軸とした自己責任押しつけ政策の転換を求める闘いの強化を強く呼び掛けた。
 黒川さんも、共通のサブスローガンで集会が行われていることの意義を強調しつつ、抑止力では戦争を防げないと改憲策動を強く批判すると共に、医療に端的に露呈した社会サービスの劣化と人権と民主主義の劣化に反撃する闘い、その中での公務・公共サービスの再充実化を求める闘いの重要性を訴えた。そしてそれが労働者の闘いでしか実現不可能であることを強調し、今こそ労働組合を、連帯を、と呼び掛けた。
 さらに、坂本雅彦東京都産業局長と福島みずほ参院議員が来賓としてあいさつ。そこで福島さんは、まず社会の劣化は政治が作ったと端的に指摘し、諸制度を変えていこうと呼び掛けた。さらに戦争をしないことが政治の重要な役割、民主主義が脆弱な時に戦争が始まる、だからこそ民主主義を強化しその力で戦争を止めようと明快に訴えた。
 さらに本集会には韓国の民主労総、大阪の中之島メーデー、京都の京都地域メーデーから連帯のメッセージが届けられていることが報告され、代表して民主労総のメッセージが読み上げられて紹介された。

横暴な資本に
真っ向勝負で
 闘いの現場からの決意表明と訴えは、全国一般労働組合東京南部のグレン・ウッドさん、全労協全国一般東京労組東急分会の斎藤英男さん、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの青木初子さん。
 グレン・ウッドさんは、パートナーの早産の危険に際し育児休業を、三菱UFJモルガン・スタンレー証券という大企業に拒まれたが、それに引き下がらず立ち上がった。20年前にできた育児休業法は男女別なく取得を保障しているのにれっきとした大企業がそれを拒否することを許すわけにはいかない、こんな経営を野放しにしては少子化の点でも日本の将来はない、すばらしい法は労働者の闘いで守ろう、労働者の人権よりも経営の都合を優先する社会を変えよう、と力強く決意を述べた。
 斎藤さんは、会社のハラスメントを闘いではね返したと報告した上で、運輸部門ではびこる長時間労働の規制に関し勤務時間インターバルの重要性を訴えた。これは、労働時間規制の重要な項目としてEUでは最低11時間で実現している規制。日本でも労働組合は11時間以上を要求してきたが、運輸部門の経営側は8時間を主張し頑強に抵抗している。斎藤さんは8時間では睡眠時間も確保できないと訴え、運輸部門で進められた規制改悪が知床の悲惨な事故の背景にあるとも付け加え、時短闘争をあらためて強める必要を強調した。
 青木さんは、全国の面積の0・4%しか占めていない沖縄に米軍基地の70%がある現実をこのまま放置するのかとあらためて問いかけ、コロナや有害廃棄物漏出など、沖縄は米軍に汚染され続けている、と怒りを込めて現状を糾弾。その上ウクライナにかこつけて改憲・軍拡を煽る動きが出ていることへの確固とした対決を呼び掛け、沖縄を戦争の場にさせてはならない、と力を込めた。

右翼の暴力
はねかえせ
 集会は最後にこれらの発言を集約するものとして、読み上げられて提起されたメーデーアピール、およびメインスローガンとサブスローガンを全体の拍手で採択、渡邉洋全労協議長の音頭で団結ガンバロウを三唱し、会場内の参加者は霞門からの銀座デモにむけ一斉に移動を開始した。
 ところが霞門の前には、大量の警官の目前で右翼の街宣車が違法駐車しデモの通路を塞ぎ、大音響でデモ隊に罵声を浴びせていた。それに先立つ時間帯にはデモ先導の労組宣伝カーに挑発を繰り返していたという。公然としたデモの妨害だが、警察は本気の規制を行わない。あげくに抗議した実行委員のひとりは右翼から暴行を受けた上に警察車両に連れ込まれたという。日比谷メーデーでは初めてのできごとだ。実行委員会の強い抗議の中右翼はようやく排除されたが、デモの出発は予定時間よりも相当に遅れた。
 右翼の暴力化とそれを暗黙に容認する警察という光景は明らかに常態化の度を進め、改憲を煽る政治の動きに力を得ていることは明白だ。それは、改憲が何をつくり出すかをも如実に予示している。今年のメーデーは、掲げたメインスローガンを体現する強力な労働者の闘いを何としてもつくり出さなければならないことをまさに突きつけた。       (神谷)

日比谷メーデー

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