5.21伊達判決63周年集会

改めて闘いの意義問う
ウクライナ戦争の時代に

 5月21日、「伊達判決63周年記念集会 伊達判決を生かし 憲法九条改悪阻止して世界に広めよう!伊達判決記念集会」が東京都北区の北とぴあ14階スカイホールで開催された。集会には75人が参加した。

安保条約を
めぐる攻防
 冒頭に発言したのは、元立川市議の島田清作さん。
 島田さんは、砂川闘争の出発点について次のように語った。
 畑を踏みつぶすような形でいきなり基地建設が始まった。そこで一人の農夫・青木市五郎さんが基地に乗り込み、米軍とかけ合った。
 3日目に、米軍は「確かにあなたの土地を基地にしてしまった」と答えざるをえなかった。1955年、反対する農民たちは青木さんを行動隊長にして反対運動を進めるとともに、取り上げられた農地を返せ、とする裁判闘争を始めた。
 そこに国労などの総評労働組合と、全学連が現地での闘いに加わり、米軍基地に立ち入って抗議を広げていった。米軍基地に突入したこの闘いで23人の学生、労働組合員が逮捕された。1957年7月8日のことだ。
 1審東京地裁伊達裁判長の判決は、「日本政府が米軍の駐留を許容しているのは憲法9条2項によって禁止されている『戦力の保持にあたり違憲である』」として全員無罪を言い渡した。1959年3月30日のことだ。
 「伊達判決」は翌年に日米安保条約の改悪を予定していた岸政権にとって重大な打撃だった。そこで最高裁は裁判を差し戻し、60年安保闘争後の1961年、東京地裁の再審判決は「罰金有罪判決」を下した。同裁判は1963年に上告棄却判決が下され被告の「有罪」が確定することになった。それはすなわち「米軍の駐留」「自衛隊の存在」を憲法9条違反とする当然の解釈が、司法の最高判断の名において拒否されたことを意味している。
 この間、2019年3月に「本件国家賠償等請求訴訟」が提訴され、第1回口頭弁論が2019年6月12日に行われた。この間7回の口頭弁論が行われ、きたる6月27日には第8回の口頭弁論が予定されている。

この戦争を
終わらせる
 記念講演は「砂川事件伊達判決の今日的意義―『ウクライナ戦争』の時代に」と題して早大法学学術院教授の水島朝穂さんが行った。水島さんは「集団的自衛権の『無力』と危うさ;『プーチンの戦争』から見えるもの」と題して報告した。
 水島さんは、プーチンの「ウクライナ侵略戦争」を「新たな戦争の時代の始まり」と規定して、1914年の「第1次」、1939年の「第2次」に対比するとともに「集団的自衛権」の「無力と危うさ」という観点から次のように語った。
 「クリミア危機が起きていた2014年7月、安倍晋三内閣は、『集団的自衛権の行使は違憲』とする政府解釈を変更する閣議決定を行った。集団的自衛権行使を可能にしたことで日本の安全保障は確実なものになったのか。今回の『プーチンの戦争』は2つの『不都合な真実』を突き付けている」。「いまウクライナは個別的自衛権で対応しているわけで、米国もNATO理事会も加盟国政府も、ウクライナのNATO加盟に積極的ではない。集団的自衛権の行使がもたらす破局的結果を誰しもが自覚しているからである」。
 「『プーチンの戦争』を奇貨として、米国とNATOは、ハイテク軍隊と軍需産業の『持続可能な発展』を確保する方向に動くだろう。『プーチンの戦争』は、地球温暖化問題やSDGsに世界が尽力し、資源や資金を投じていくことを阻止しようとする、世界の軍事・軍需パワーによる歴史的逆行といえるかもしれない。それゆえに、またそれだからこそ、ウクライナの民衆を犠牲にしているこの戦争を、一刻も早く止める必要があるわけである」。

生存の危機に
立ち向かおう
 破局的な環境破壊と新しい戦争、この二つは決してそれぞれ異なった事象ではない。まさにグローバルな資本主義システムが引き起こした「生存の危機」の現れである。
 そのような立場から、このグローバルな危機に切り込む運動を、共に作り出していこうではないか。
          (K)
  

闘いの歴史をどう継承するべきか(5.21)

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