空港よりも緑の大地を
エコロジー社会主義の三里塚闘争
空港推進派
の危機感
成田国際空港会社は4月28日、2021年度の成田空港の国際線旅客数が234万5182人(前年度比85%増)。コロナ危機による入国規制の緩和によって回復傾向に入っていると評価した。
また、国際線貨物便の発着回数は過去最高の5万446回(前年度比15%増)、国際航空貨物量も過去最高の260万9321トン(同25%増)となったと報告し、貨物便運航の成田への集約化拡大が反映していることを示した。
このような成田空港をめぐる利用率の増加傾向を見据えて成田空港建設推進派の「成田空港活用協議会」は、5月23日、総会を開いた。新型コロナの打撃で発着便が減少し、想定していたインバウンドが増えず旅客需要低迷から回復状況への期待をかけて活動機関を10年間延長することを確認した。
今後10年を「3つのフェーズ」に分け、①最初の3年は「新型コロナ禍からの回復、ウィズコロナへの対応」 ②次の3年は「ポストコロナへの対応と発着回数50万回化を見据えた取り組み」 ③最後の4年は、第3滑走路供用という“起爆剤”を活用して「新たなステージに立つ成田空港の活用」などとぶち上げた。熊谷俊人知事も「機能強化を起爆剤として、さらなるビジネスチャンスにつなげたい」と発言。
あいかわらずの成田空港利権に依存し、空港公害と環境破壊の拡大そっちのけで「金儲け」優先だ。しかも「第3滑走路供用という“起爆剤”」などと、2029年3月の第3滑走路共用開始を前提にした手前勝手な経済成長論をふりまくほどだ。同様な一発逆転的発想は、田村明比古・成田空港会社社長も年頭訓示で「2022年が『航空復活元年』」(1月4日)などと強引に願望を強調するだけだ。
空港公害を
許さない!
このような強がりをしなければならなかったのは、空港会社の2022年3月期決算が524億円の純損失(前期は純損失714億円)で2期連続の赤字だったからだ。23年3月期も売上高の55・0%増という願望予想するが純損失330億円の3期連続の赤字を予想せざるをえないほど経営危機は深刻なのだ。田村社長は、2期連続の赤字について「大変残念だが、空港の安全と安定運用を大前提にコスト削減にも努めており、損益は着実に改善している。我慢の状況だ」と強がってみせるしかないのだ。
しかも引き続くコロナ危機であるにもかかわらず、 空港検疫機能は満杯状況が続いているが、政府は海外入国の水際対策の緩和を強行し、4月に1日1万人、6月から2万人に引き上げる。検査が甘い対応に傾斜していかざるをえない。ここにおいても空港会社の安全・人命軽視の姿勢が現れている。
それだけではない。田村は、「機能強化事業や中長期的な成長投資は不可欠」「航空需要の回復にサービス供給が不足しないように的確に対応したい」などと述べ第3滑走路建設、滑走路・空港機能の拡大を継続して強行していくことを宣言した。空港公害、環境と人権破壊を許してはならない。
エコ社会主義の
三里塚闘争へ
岸田政権は、首都圏空港機能の拡大を成長戦略の一環として位置づけ2022年度予算では、第3滑走路新設や第2滑走路延伸などに176億円を配分している。岸田政権のバックアップを受けて空港会社は、年間発着回数を現行の30万回から50万回に拡大するために「成田空港の更なる機能強化に関する滑走路整備計画」(21年12月23日)を次のように明らかにした。
①B滑走路延伸整備計画─22年秋ごろ第2滑走路(2500m)の3500mへの延伸関連工事を開始する。延伸によって東関東自動車道と交差するため、道路のトンネル化によってその上に滑走路の延伸部分が通るようにする。
②C滑走路新設整備計画─23年度に第3滑走路の排水整備を着工する。滑走路本体を施工する本格工事の開始時期は未定。
③誘導路新設、空港敷地拡張、航空保安無線施設・航空灯火工事など。
④工事完成予定期日を2029年3月31日までと設定した。
空港会社が作成したパンフレット「滑走路整備計画」の2頁の工事計画地図によると「変更となる敷地範囲」の中には横堀地区を囲むように赤線が引かれている。横堀地区でこれまで作業していた「埋蔵文化財調査」を終了し、新たな整備作業に入ることを予告しているのだ。
横堀地区には、三里塚芝山連合空港反対同盟(代表世話人・柳川秀夫)が管理する横堀農業研修センター、横堀大鉄塔と案山子亭があり、闘う拠点として防衛されている。横堀農業研修センターは、毎年1月に反対同盟の旗開きの会場、通常では農作業の準備やイベント、休憩場所として使われている。横堀大鉄塔下には、原勲さんの墓があり、毎年4月に墓参の集いと交流会、案山子亭も交流場所として利用されている。
空港会社は横堀地区に対してB・C滑走路建設とセットで破壊策動を強めようとしている。反対同盟と連帯し、第3滑走路建設反対、木の根ペンションと東峰地区の一坪共有地、横堀地区の闘う拠点を防衛しよう。「空港よりも緑の大地を」の合言葉に、エコロジー社会主義を展望した三里塚闘争の豊富化を構築していこう。
一坪共有地移転
登記の前進を
三里塚大地共有運動の会ニュース第14号(5・27)が発刊された。ニュースは、①4・9~10 木の根交流会「原勲・新山幸男を偲んで」と横堀花見会を開催②加瀬勉さんのメッセージ「追悼 新山・原・東山君へ」③3・12田んぼくらぶ/ジャガイモ植え④5・21横堀農業研修センターの整備・補修作業を行いました⑤7・17三里塚・東峰現地行動&第3滑走路予定地現地調査の案内⑥会の取り組み報告と事務局のメッセージが掲載されている。
さらに、一般社団法人三里塚大地共有運動の会は2018年に設立して以降の移転登記変更の取り組みについて、「三里塚共有地管理・登記変更 第2次カンパの呼びかけ 一般社団法人三里塚大地共有運動の会(山口幸夫代表理事)」で「共有運動の会では発足時に共有地登記変更を目的にしたカンパを全国の仲間に呼びかけ、400万円の協力をいただきました。この3年間で木の根と東峰の共有者100人(故人を含む) の持ち分の共有運動の会への登記変更(費用1件4万円前後) を行い、第1次カンパを使い切りました。
2021年4月、所有者不明土地対策立法の仕上げとして、土地登記を罰則付きで義務づける登記義務化法(改定民法・不動産登記法) が成立。既に成立している所有者不明土地収用を知事の判断だけでできる制度、判明している共有者だけの同意で「不明」の共有者の持ち分まで買収できる制度などと合わせ、相続・転居などで登記変更しない状態が続く共有地の取上げへつながる法律です。相続登記、住所変更登記の義務化は24年から順次施行されようとしています」と抗議している。
国家権力と空港会社が一体となった攻撃を許さず、「共有地を奪う登記義務化に対抗し、56年間続く三里塚大地共有運動の共有地を共に守り抜くため、第2次登記変更カンパ(目標額200万円)への協力」を呼びかけている。
ぜひ一般社団法人三里塚大地共有運動の会の取り組みを応援していこう。
(遠山裕樹)
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