6.1今だから考える「自衛隊のリアル」
元陸自レンジャー隊員が講演
戦争させない江東アクション
【東京東部】6月1日午後6時半から、東京・江東区亀戸文化センターで「今だから考える『自衛隊のリアル』元陸自レンジャー隊員井筒高雄講演会」が戦争させない江東アクションの主催で行われた。
井筒さんは元自衛官の立場から戦争のリアル、コスト、PTSDなどリスクを伝える講演活動を全国で行っている。井筒さんはベテランズ・フォー・ピース・ジャパンの共同代表。ベテランズ・、フォー・ピースの取り組み。①戦争のコストに対する国民の意識を喚起する。②政府が、公然とあるいは水面下でおこなう他国への内政干渉を阻止する。③軍拡競争を終わりにし、核兵器を減少させ、最終的に廃絶する。④元軍人や戦争の犠牲者のため、正義を追求する。⑤国家政策の手段としての戦争を根絶する。この組織は全世界に120以上の支部を有し、海外ではイギリス、ベトナム、沖縄、日本などがある。
中村まさ子さん(江東区議会議員、市民の声・江東)が「2015年の安保法案の成立に反対し、憲法を生かす江東ネットと市民の声・江東が、戦争させない江東アクションを立ち上げた。その後毎月亀戸駅頭で宣伝行動を行ってきた。ウクライナ戦争が日本の軍拡・戦争の流れにいかないようにさせなければならない」と開会のあいさつを行った。その後、井筒高雄さんが講演を行った。
井筒さんはウクライナ戦争をきっかけに、日本はさらに軍拡の道を歩もうとしているが、「自衛隊のリアル」を考えれば、決して戦争はできないし、やってはならない、友好的な外交を行うべきだと訴えた。講演の後、質疑応答が行われた。新島つねおさん(立憲民主党江東区議会議員)が「読売新聞のウクライナ戦争を受けてのアンケートによると、若者たちは日本の軍備増強に賛成76%、反対が27%だった。井筒さんの講演の内容を広げて、戦争反対の声を強めていこう。参院選での改憲勢力増大を許さない」と閉会のあいさつを行った。 (M)
井筒高雄さんの講演
日米同盟の強化は東アジアの平和と安定につながらない
1.ウクライナへの武器供与について
武器輸出が容易になった日本。安倍政権が2014年に策定した「防衛装備移転三原則」は、武力攻撃が発生し、国連安全保障理事会が措置を取っている「紛争当事国」に対する防衛装備品の供与を禁じている。しかし、政府は今回、紛争関連の安保理決議を受けていないウクライナは供与禁止の対象外だと判断している。今回、防弾チョッキ・鉄帽の武器供与。そして防護マスク・防護服・監視用ドローンへと拡大された。
紛争当事国の一方に肩入れする日本の主張は、敵対するロシアに適用しない。紛争当事国に日本をまた一歩近づけることになる。日本は人道支援に徹することがなぜできないのか。
2.防衛予算の倍増について
岸田首相は日米首脳会談で、バイデン米大統領を前に、防衛力の抜本的な強化に向けた「防衛費の相当な増額」を表明した。しかし、その後の国会では財源の根拠は示さなかった。防衛予算のGDP比1%程度から2%への引き上げは5兆4000億円から11兆円近くとなる。現在世界第9位の軍事支出が米国、中国に続き世界第3位になる。軍隊ではないとの主張はできなくなる。自衛隊は軍事法廷・裁判所を持っていない。海外で戦争行動を行う場合、まったなしで軍事法廷を持つことになる。
「敵基地攻撃能力の保持」、撃たれる前に撃つのは不可能だ。極音速ミサイル、原潜などどこから飛んでくるかわからない。抑止力にもならない。原発は軍事攻撃を想定していないし、防備することもできない。核シェアリングは「非現実的」だ。日本が保有すれば米国頼みが加速しさらに属国化する。核兵器貯蔵庫は再び沖縄にするのか。東アジア、国際社会から反発を招く。核共有によって得られる安全・抑止効果はあるはずがない。
3.日本は戦争に耐えうるのか
食料自給率は37%、エネルギー時給率は12・1%で世界35位、石油の備蓄は7・5カ月分。弾薬の備蓄も少ない。自衛隊員数は現在24万7千余人だが、少子化で男子の45人に1人が必要になる。徴兵制の問題が出てくる。憲法を変えることは専制国家になっていくことだ。
4.政治の命令で自衛隊は動く
防衛省が「デモ」「報道」を危険視。中国政府が香港の統制を強め、国家安全維持法を施行。香港の議員資格に「中国や香港政府に忠誠を誓う」ことなどを加えた。民主派議員55人が逮捕、政府批判の新聞が廃刊に。立法会選で親中派が圧勝。ロシアではウクライナ戦争に反対するデモが徹底的に弾圧された。日本はロシアへ向かうのか、中国なのか。
5.まとめ
改憲日程、参院選カギ…与党勝利なら本格議論へ。読売新聞(5月3日号)によると、参院選で改憲勢力が3分の2をしめると、3回国会が開かれると憲法審査会の議論で、2024年には憲法改正の発議がなされ、60日~180日以内に国民投票が行われる。
日米同盟の抑止力と対処力の強化は東アジアの平和と安定につながらない。専守防衛とは、相手に脅威を与えないことで戦争の動機をなくす戦略。日本の防衛予算を倍増しても、自衛隊と在日米軍で中国やロシア、北朝鮮と戦争をしても勝てない。私たちは中華料理を食べれば、韓国料理も食べる。ロシア料理も食する。東アジアのどの国とも友好的な外交をめざす選択肢しかない。(発言要旨、文責編集部)
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