6.5ウクライナ問題講演会
静岡県東部からの報告
半田滋さんを迎えて
【静岡】静岡県下には各地域に7つの市民連合が結成されている。しかし、現状では西部や中部ではその機能は十分発揮されていない。一方、東部地区の「しみん連合静岡東部」は、それなりに活動は活発である。結成したのは約1年半前、現在、賛同人は400人を超える。毎月1回、20人程度で幹事会を開き、当面の活動方針を検討している。
3月の会合の折、7月参院選に向け野党共闘体制をどう進めるかの議論で、立憲民主の県連は、候補者擁立はほぼ不可能とみられた。2人区静岡では、1議席は自民党候補で前御殿場市長の若林にほぼ確定と見られており、残り1議席を7人で争う状況となった。2人区だが疑似1人区の様相で、残り1議席を争う顔ぶれは、無所属だが細野豪志の子飼いで、当選すれば自民入りが噂されている平山佐知子候補。また、昨年の参院補選で勝利し国民民主が推薦して、今回、訳あり無所属で出馬の山崎新之助候補。彼は「女性問題」で評判ガタ落ち、当選しても改憲勢力に流れる可能性が高く体質は自民と変わらないと見られる。更に、共産党は鈴木ちか候補が出馬し、その他、参政党山本貴史、N党2人、無所属新人1人が立候補表明している。自民系で2議席を独占させないための野党共闘体制が期待されていたが、野党共闘への盛り上がりを欠き、県下市民連合としても自主投票となってしまった。
ウクライナ人道
支援の取り組み
選挙に向けて上記の結末になったが、参院選前に県東部で反改憲の大集会をやろうとの声が出た。色々案を検討したが、共同代表の角田弁護士と懇意にある元東京新聞論説委員の半田滋氏を呼んで「ウクライナ問題講演会」を取り組む話になった。ところがウクライナ情勢は日に日に、激しさを増し、ロシア軍侵攻による惨状は連日テレビで全世界に流れ、にわかに大きな関心が沸き起こった。
そこで取組みの内容が再検討され、ウクライナの歌姫と称されるオクサーナ・ステパニュックさんのコンサートと抱合せの催しにすることが決まった。オクサーナさんは東京在住で、毎年三島で演奏会を催していることもあり、気軽に応じてもらえることになった。早速、三島だけでなく伊豆半島や東部各地の9条の会にも呼掛け、実行委員会を結成して取り組むことが決まった。
内容はウクライナ人道支援と銘打って、第1部、オクサーナの歌声とバンドーラ演奏、第2部、半田滋ウクライナ情勢講演会となった。当初、三島市内での開催を検討したが日程の6月5日はどこの会場も塞がっており、伊豆の国市長岡総合会館大ホールとなった。1000人会場で当初の目標は500人とした。事前に近隣市町の後援を貰ったものの、実際、何人集まるか見当も付かず、500人を下回れば自腹覚悟の決行だった。ところが蓋を開けると、近隣市町から大勢の観客が押し寄せ、駐車場は大混乱、会場はほぼ満杯、900人を超す入場者で埋まった。
半田滋さんの
報告を受けて
第1部では、ウクライナの悲惨な現状に思いを寄せ、オクサーナさんの奏でる民族楽器バンドーラの演奏や歌声に平和の尊さをすみじみ感じさせるものがあった。
第2部の半田滋さんの講演では最新のウクライナ情勢がプロジェクターを通してわかりやすく説明された。その内容は、ソ連崩壊後のNATOの東進とロシア包囲網、8年前からのウクライナ東部地区での親ロ派住民へのウクライナ軍の蹂躙、戦争回避のための外交努力の不在やプーチン政権の暴挙が何故引き起こされたかの背景等が説明された。
参加者は高齢の女性が多かったが、コンサートが終わっても第2部の講演に耳を傾ける者がほとんどだった。会場でのカンパは20万円を超え、収益金は全額、「ウクライナ人道支援」として国連高等弁務官事務所のウクライナ難民支援に充てることとなった。
人の命を否定す
る戦争の現実
伊豆半島の片田舎で、ウクライナ人道支援の取組が何故、思いもよらない成功につながったのか?
要因は色々考えられるが、やはり、テレビやマスコミで連日ウクライナでの悲惨な戦争映像が繰り返し流され、一旦戦争になれば敵も、味方も、血みどろの殺し合い。街は無残に破壊つくされ、権力者は安全地帯に逃げ込んで戦争を煽るだけ。傷つき倒れるのは敵も味方も、前線の兵士や巻き込まれた住民だという現実。傷ついた兵士は戦地をさまよい挙句は野良犬に食われて死んでいくかも知れない。多くの兵士は嫌でも戦地に駆り出され、逃げれば銃殺。反抗すれば軍法会議。死んでいく兵士は消耗品のように数えられ、よく言われる「敵より怖い、味方の大将」というのが本当の現実だ。沖縄戦でも関東軍でも庶民は軍隊の弾除けに使われただけだった。
軍隊は住民
を守らない
ウクライナでの戦争が勃発し、愚かな政治家やマスコミは、軍事力の増強だ、敵基地攻撃能力だと言い出し、挙句は、核武装だのと騒いでいるが、しかし、ウクライナの現実は軍事力では平和は守れない。軍隊は住民を守らない。戦争は起こる前に止めなきゃならないということで、日本の憲法9条は本当に大切にしなきゃならない、そんな受け止め方が多くの市民に広がっている結果ではないかと思われる。 (森 大司)
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