韓国サンケン労組の闘い、新しい局面へ
共に学び、共に行動しよう
豊かな教訓を活かし発展させるために
労働者の日韓連帯 いっそう推進を
2年間に及ぶ
労働者の連帯
2020年7月、埼玉県新座市に本社がある「サンケン電気」が、労働組合つぶしのために100%子会社の「韓国サンケン」を閉鎖し、労働者を解雇した不当労働行為に対して、早朝からの抗議行動が行われてきた。この間、隔週のペースで月曜日に労働者の出勤時に、「韓国サンケン労働者と連帯する埼玉市民の会」、そして毎週木曜日には「韓国サンケン労組と連帯する会」の活動が続けられてきた。
しかし、資本の意を受けた埼玉県警は昨年5月、会の活動の中心を担ってきた尾澤孝司さんを「暴行」「威力業務妨害」を名目に不当に逮捕・起訴し、7カ月以上にわたって勾留するという弾圧を行ってきた。昨年12月、尾澤孝司さんは多額の保釈金を強制された上で勾留を解かれたが、その弾圧にはどのような根拠もないのだ。
株主総会に向
けて抗議行動
「6・24韓国サンケンの解散・解雇撤回 尾澤孝司さんは無罪だ 争議解決を求める!サンケン電気株主総会行動」がサンケン電気本社前で午前9時半から始まった。この日は午前10時からサンケン本社講堂で株主総会が行われる日だ。
この日の集会では、全労協と共に闘ってきた東水労、全統一、全国一般東京労組、郵政産業労働者ユニオンなどの労組、そして地域の住民が早朝から結集し、JAL被解雇者、そして韓国サンケン労組12人からのメッセージも寄せられた。早朝の行動ではあったが100人以上が集まった。
発言は東京水道労組、全統一労組、全国一般東京労組、JAL被解雇者の仲間など。
尾澤孝司さんと尾澤邦子さんは、この日、「サンケン電気」(株)の第105回株主総会に向けて質問書を提出した。
意図的に作ら
れた「赤字」
質問書の内容は要旨、以下の12項目(要旨)からなっている。
①サンケン電気(株)は、100%出資の子会社・韓国サンケンがありながら、2018年に韓国財閥企業LGグループ系列下の(株)チフンを買収し、12月18日には株式会社AKEと社名変更を行った。子会社の韓国サンケンに再投資せず、別会社を作って韓国での生産体制を確立しようとしたのはなぜか。
②本社は、2020年7月9日、本社ホームページ上に、突然「子会社の解散に伴う特別損失の発生に関するお知らせ」を発表した。なぜ本社取締役会が頭ごなしに子会社の廃業を発表したのか。
③本社は、韓国サンケン(株)の清算・廃業の理由として「累積赤字」を挙げているが、「赤字」は意図的に作られたもので、実際には韓国サンケン労組を嫌った組合つぶしではないのか。
④韓国サンケンの廃業決定は、2016年から2017年の韓国サンケンにおける労組員に対する不当な整理解雇撤回の争議解決後に交わした労使合意(2017年6月2日)に反するものであり、韓国サンケン労組は今回の廃業は偽装廃業だと主張している。合意書を交わしておきながら、なぜ合意書7項目の生産の再稼働のために必要な諸般の措置を実施することをしなかったのか……
⑤韓国サンケンの労使間で締結した労働協約では経営上の理由における解雇の制限を設けている。韓国サンケン労組は今回の清算・廃業・解雇は労働協約違反と主張しているが、この点での回答を求める。
⑥韓国サンケンの廃業決定にともない、2020年12月末から21年1月中旬、慶尚南道知事・道議会、昌原市長・市議会、与党(共に民主党)13人の国会議員連名による廃業の撤回を求める書簡を本社のみならず、外務省、厚生労働省、経済産業省に送っている。これに対してどのように返答したのか……。返信したのであれば示してほしい。
⑦2021年12月13日付で、韓国の雇用労働部釜山地方雇用庁昌原支庁から、サンケン電気(株)代表取締役宛に「労使対立解消のための協力要請」が届いているはずだが、受け取っているか、返信を要請されているはずだが返信したのか、返信したのであればその文書を示してほしい。
⑧韓国サンケン労組の「話し合い要求」をかたくなに拒否する本社の態度は、韓国では道義的に許されないと声があり、放送や新聞などマスコミでもたびたび報道、放映されている。進出先の国民感情をどのように考えているのか。回答しない理由についても答えを。
尾澤孝司さん
逮捕は不当だ
⑨本社はいま事業再編、組織改革を進めており、日本国内では再編の事業部署と話し合い、雇用継承の努力をしながらも、韓国サンケン(株)ではなぜ話し合いをせず、また雇用継承を行わなかったのか、お答えください。また、併せて日本の労働者には説明責任を果たしておいて、韓国労働者を一方的に切り捨てようとするのは「民族差別だ」「植民地ではないのに」という声が上がっていますが、どうお考えか、お答えください。
⑩子会社韓国サンケン(株)をめぐる事態の発端が本社取締役会の決定、発表にあることから、本社は争議当事者と思われますが、本社はどのように認識しているのか、お答えください。
⑪取締役会のトップであった和田会長が、今回退任されるとのことですが、国際問題となっている韓国サンケン労組との話し合いも行わず、このまま退任するのは、無責任ではないでしょうか。
⑫事態の解決のために、本社と韓国サンケン労組との話し合いを求める本社前での行動で、昨年5月10日、サンケン社員による「ケンカ」という通報により、尾澤孝司が逮捕されました。けが人がいたわけでもないのに、「暴行」、「威力業務妨害」で起訴され、7カ月半も勾留されました。尾澤孝司は、韓国の地方労働委員会の「和解勧告」を本社に伝えようとしたのであり、本来は労使問題として貴社が対応すべきことを、社員のありもしない「ケンカ」という通報で、争議・民事不介入の原則に反して警察が介入する事態が引き起こされ、刑事事件に仕立て上げられました。本社として謝罪し、起訴を取り下げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
上記は株主の質問権行使によるもので、1)株主総会の場で答えること、2)郵送で返答することを要求します。
この日の闘いは、日韓の労働者連帯の行動を具体的なひとつの労組の争議解決を通じて、どのように前に進めていくべきか、というモデルケースの重要な例示と考えることが必要だろう。ともにチャレンジを!
次の闘いを
準備しよう
韓国サンケン労組の仲間たちは、長期にわたる厳しく困難な闘いを経て、会社側を闘いの場に引き出し、7月8日に合意・調印に至った。5年前と同様の現職復帰には至らなかったが、「新たな道へと至る契機を勝ち取った」と労働者たちは確認している。
この闘いの意義について7月28日(木)午後6時より埼玉県志木市の東北コミュニティーセンター(東武東上線志木駅下車)で集会が開催される。次の闘いを共に準備するために成功させよう。 (K)
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