自民党・統一教会の運命共同体への途 ①

投稿

たじま よしお

はじめに
 月刊「世界」9月号に、中野昌広(青山学院大学総合文化政策学部教授)さんが「統一教会・自民党関係史」を「既存の文献資料・情報を整理統合し、今後学術的にも参照・準拠可能な貢献をなすことを目指す」として意欲的な論文を寄せていますので、歴代の首相の国会での答弁などを中心にしながら考えてみたいと思います。
 1954年に文鮮明によって世界基督教統一神霊教会(略称=統一教会)が設立されましたが、統一教会は当初から反共を掲げていたわけではありません。1961年の朴正煕によるクーデターには、米CIAに支援されて統一協会員が活躍したとありますが、これを境に「反共」に舵を切ったということです。そして朴大統領は、KCIA(大韓民国中央情報部、現在の国家情報院の前身)を設置するとともに「反共法」を制定したのです。

日本での勝共連合
・統一教会の設立
 いっぽう日本では「笹川良一は1967年に、本栖湖畔の施設に文鮮明、白井為雄、久保木修巳らを招き、翌年韓国と日本で国際勝共連合を設立させ、自らその日本支部名誉会長に就任した(翌1968年に岸信介が加わる)。また同会長には日本統一教会会長の久保木修巳が就任した。つまり発足当時から統一教会と勝共連合は一体であり、かつ岸信介、笹川良一、児玉誉士夫らと『反共』路線で完全に一致してきた。なおその顧問団には、生長の家政治連合の支援を受けて参議院議員に当選していた玉置和郎他自民党議員が名を連ねた」。

福田赳夫首相
(当時)の言動
 1970年と1973年に岸信介さんは統一教会本部で講演していますが、福田赳夫さんは当時の政権の中枢にいた人ですから、その動きには目が離せません。彼は1974年の蔵相時代に希望の日晩餐会で「アジアに偉大な指導者あらわる。その名は文鮮明」なる衝撃的なスピーチを行っています。そして1976年に首相となり「自民党と勝共連合の協力関係を(ときの総理として)初めて認め」たのです。1970年代に、統一教会が米国下院議員を買収しようとした『コリアゲート事件』が明るみになり、1978年のフレーザー委員会による調査報告をうけて、国会で内藤功議員(共産党)が、『こうした問題のある団体と自民党は手を切らないのか』と詰め寄ったとき、福田赳夫首相(当時)は『統一教会というのは私は知りませんけども、勝共連合というのは、自由民主党と色々反共という点で共通する点があるんです』と協力関係を認めつつ、しかし『私が勝共連合について今まで持っている認識。それに立ちますると、何も別に手を切るとかなんとか、そういうような問題は起こり得ざることであると、こういうことでございます』等として手を切ることは拒否した」のです。
 しかしここで目に留まるのは、かって蔵相時代に「アジアに偉大なる指導者現る。その名は文鮮明」と統一教会を崇拝するごときのアピールをしておきながら、首相になってから「統一教会というのは私は知りませんけど」と、それはないでしょう。
 
自民党・勝共連合・
統一教会はついに
運命共同体!
 1982年に岸信介さんが統一教会の合同結婚式で祝辞を述べ、1992年の合同結婚式には中曽根康弘さんが祝辞を述べていることからみても自民党と統一教会が次第に絆を深めていっていることは読み取れます。この時には女優の桜田淳子、山崎浩子さんの参加が話題になっていました。そして80年代前半には「霊感商法」という言葉が定着し、「朝日ジャーナル」などが盛んに実態を報道していたのです。
 これに対抗し「売られた壺や多宝塔などは無価値なものでなく価値あるもので、買った人々は喜んでいる」と主張する「霊石愛好会」の集会が国内各地で開かれたが、これらにも、福田赳夫、額賀福四郎、中曽根弘文、笹川尭等々の各議員が祝電を送り、やはり問題となっていました。
 「中曽根康弘首相(当時)の所信表明演説に対する質問で佐藤昭夫議員(共産党)は『(霊石愛好会の)背後には勝共連合がいるのは明白。自民党は勝共連合と手を切ると明言するか』とただしたが、中曽根首相は『一部団体との関係について、自民党は縁を切れとかなんとか言っておられますが、これは思想と行動の自由に対する重大な侵犯発言であると私は考えます。共産党の独裁的な政策の現れではないかと私は考えています。こういう思想と行動の自由を侵害するような、こういう憲法違反的発言は是非謹んでもらいたいと、こう思うのであります』といわゆる逆ギレをし、やはり手を切ることを拒否した」。
 これは共産党は言論弾圧するなというに等しく、自民党と勝共連合・統一教会との運命共同体宣言であるといって良いと思います。
    2022・8・10
 
 

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社