9・11県知事選 玉城デニー知事が再選
沖縄報告 9.11
県民は辺野古NO! 貧困NO!
沖縄の自立した発展!を突きつけた
沖縄 K・S
午後8時、投票締め切りと共に出た当選確実
9月11日投開票の県知事選挙は午後8時の投票締め切りと同時に、NHKをはじめ県内の新聞・テレビ各社は、玉城デニー候補の当確を打ち出した。結果は約6・5万票、10ポイント近くの差をつける勝利だった。
開票結果は次の通り。今回と前回、前々回を比べてみよう。
〈2022年〉
有権者数1165610
投票率 57・92%
玉城デニー
339767(50・8%)
佐喜真淳
274844(41・1%)
下地幹郎
53677(8・0%)
〈2018年〉
有権者数1146815
投票率 63・24%
玉城デニー
396632(55・1%)
佐喜真淳
316458(43・9%)
〈2014年〉
有権者数1098337
投票率 64・13%
翁長雄志
360820(51・6%)
仲井真弘多
261076(37・3%)
下地幹郎
69447(9・9%)
この4年間で、有権者数は2万人近く増加したが、投票率は5%あまり下落した。とくに、地方議員選挙のない都市部で投票率の低下が顕著だった。台風接近という条件を考慮するとしても、全体として知事選に対する県民の熱気が少し冷めてきたと言えるかもしれない。政府与党の県民の声に耳を傾けない硬直した姿勢、様々に暴かれる政治の私物化や腐敗に対する反発・嫌悪感・あきらめ、人口増と世代交代の進行など、様々な要因が投票行動の低下に作用しているのだろう。また票差は、2014年14・3%、2018年11・2%、2022年9・7%と徐々に縮小してきている。
世論調査によると、有権者の主な関心は経済、基地、教育であった。20~40代の子育て世代において、辺野古新基地の容認の比率が過半を占めるとの調査結果が示されもしたが、経済・教育面でも、中学卒業までの医療費の無料化など玉城県政の4年間の実績と努力は幅広く評価されたといえよう。テレビ・ラジオでは連日、3候補者の政見放送が流されたが、その内容でも玉城候補が優れていた。各地の運動量でも勝っていた。県庁前の数度の決起集会には千人を超える支持者の熱気があふれた。
県民の最も自覚的な意思は玉城デニー知事の再選に結集した。政府自民党がどのような圧力をかけようと、普天間基地のすみやかな閉鎖・返還、辺野古新基地の埋立ストップと白紙撤回、基地のない平和で安心して暮らすことのできる未来に向けて基地問題を解決していく意思を示したのである。
沖縄県政を自民党には
任せられないとの県民意思
自公候補の主張の重点は「危機突破!」であった。つまり、「沖縄振興予算は減る一方、一括交付金は8年前に比べて1000億円減額。これは県の不作為がもたらした県政危機」というのである。沖縄振興予算や一括交付金の減額は他でもない自公政府が行ってきたことだ。辺野古反対・普天間閉鎖を公約として掲げ続け決して中央政府に屈服しない玉城県政に対する悪質な嫌がらせであり、知事を選んだ県民に対する恫喝だった。
「県政不況」キャンペーンは、1998年の大田知事の3選を阻むことに成功したが、今回は失敗した。二匹目のドジョウはいなかった。政府自民党による玉城デニー知事に対する、したがって沖縄県民に対する悪意は露骨だった。来年度沖縄関係予算要求額は、沖縄県が求めていた3200億円から400億円低い約2800億円とされた。琉球新報22・8・30によると、沖縄自民党の西銘前沖縄北方担当相は、8月の岸田内閣の改造で退任するにあたって「前年より100億円ほど引いたらどうか」と官邸側に伝えていたという。官邸はそれよりさらに100億円減額した要求額を組んだのである。卑劣な自民党、腐った官邸の官僚・政治家たちによる政治の私物化に県民の多くは同意しなかったのだ。れいわの山本代表のコメントが端的に指摘したように、「基地問題と沖縄関連予算のリンク」「県民の民意を無視した辺野古の押し付け」という自公政府の沖縄に向けた姿勢にNO!を突きつけたのである。
また、政府自民党と旧統一教会との癒着が全国的に大問題となる中、沖縄でもかねてから詐欺まがいの霊感商法や信者の生活破壊が問題となってきたが、沖縄自民党の県議や保守系首長の旧統一教会との結びつきがクローズアップされた。琉球新報は、全県議と全市町村長に対し、「教会関連イベント・集会の参加」「教団や関連団体からの選挙協力」などについてアンケートを実施し紙上に公開した。とくに、佐喜真候補は宜野湾市長時代から結びつきが深く、韓国に出かけて関連イベントに出席したり、今回の知事選の選挙母体の幹部がほとんど関係を持っていたりしていた。この面でも県民の拒否反応が働いたと思われる。
宜野湾市長選と県議補選
宜野湾市長選は、仲西春雅候補が保守の現職に大差で敗れた。宜野湾市は11市の中で、拮抗した名護市を除き、玉城デニー票が相手候補をかなり下回った。辺野古をめぐる先行きの見えないような政府・県の対立が続くなかで、普天間飛行場を抱える宜野湾市民の政治意識は保守化を強め、政権与党に期待する度合いを深めているといえよう。
4人が立候補した県議補選はオール沖縄の上原快佐さんが当選した。その結果、県議会の構成は議長を除いて再び、県政与党が24対23と、一議席差の多数を占めることになった。
次は10月23日に投開票が予定されている那覇市長選挙である。県議を辞し立候補を表明した翁長雄治さんの必勝を!
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