投稿 あらゆる国葬に反対する
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「ほら…ほら あのアリをご覧なさい。あの働きアリたちは女王アリのためにせっせと働いている。でも か…悲しいかな自分が報われないことも知らずに死んでいく。こ…これは単純に奴隷根性が染みついているからだ。しかしブラジルに生息するアリの中にはた…食べ物にありつけたものが飢えているものにた…食べ物を与える例がある」(大杉栄)。
「このアリとブラジルにいるアリの違いは何ですか」(伊藤野枝)?
「恐らく女王アリがいないんだ。つ…つまり誰にも指示されず自分たちの考えで行動する。つ…つまり奴隷根性が染みついていないからだ。僕はブラジルのアリのように一人一人が自由勝手に楽しく生きていても成り立つようなそんな社会をつくりたい」(大杉栄)。
これは9月11日にNHKBSプレミアムで放送されたドラマ「風よあらしよ(2)」にでてくるセリフだ。
「国民の心意気を示すもの」「私は賛成 功績もある」(9月16日・金曜日・『神奈川新聞』13面「自由の声」)を読んだ。
選挙で選ばれた人が正しいとは限らない。ヒトラーだって選挙で選ばれた。「良いこともたくさんした」だって。ヒトラーの支持者もそういうだろう。だがヒトラーはユダヤ人や精神障がい者を虐殺した。人類はそのことを忘れてはならない。
竹内康人さん(歴史研究)はインターネットの「反天ジャーナル」で「安倍政権の約9年とは何だったのか」を指摘している。
「1 『憲法改正』を主張し、米軍基地建設をすすめ、南西諸島への自衛隊配備をすすめた」「2 安保法(戦争法)を制定し、自衛隊のグローバルな派兵ができるようにした」「3 原発再稼働をすすめ、『アンダーコントロール』と噓をついてオリンピックを誘致した」「4 アベノミクスの名で新自由主義をすすめ、格差を拡大した」「5 『侵略と植民地支配への反省』という認識を否定し、ヘイト団体の活動を助長した」「6 歴史否定主義の立場で『歴史戦』を語り、教育現場で統制を強めた」「7 韓国大法院判決を無視し、強制労働被害者の救済を拒んだ」「8 『森友、加計、桜』など、利権のために政治を利用し、国政を私物化した」「9 日本会議や統一教会などの右翼人脈を利用して、政権を運営した」「10 メディア支配、官僚支配を強め、言葉・文化を壊した」(「アベノツミ10条、勲章の内実」)。
各種世論調査でも安倍の国葬には多数が反対しているが、日ごろは「多数決だから従え」といっている人びとが安倍の国葬には賛成する。矛盾している。
だが、私は安倍の国葬だから反対しているのではない。私は国葬そのものが非民主的だと考える。国葬は人間の価値に国家がランクをつける行為だ。私は人間の価値に国家がランクをつけることに反対する。「この人は国のために良いことをたくさんした」「お国のために死んでくれてありがとう」「戦争で敵国人を殺すのはかまわない」「この人は悪いことをしたから死刑にしてしまえ」。
国葬・靖国神社・戦争・死刑制度。これらに反対する。これらの根底にあるのは「人間の価値に国家がランクをつけること」だ。私はそう思っている。だから私は「安倍の国葬」にも「スターリンの国葬」にも「エリザベス女王の国葬」にも反対する。あらゆる国葬に反対する。「女王アリ」はどこにもいらない。
(9月19日)
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