「土地規制法で沖縄はどうなる?」

有事立法の一環で、土地の利用を奪うものだ

 9月9日(金)午後6時半から、東京・水道橋の全水道会館で「土地規制法で沖縄はどうなる?」集会が行われた。土地規制法を廃止にする全国自治体議員団、土地規制法廃止アクション事務局、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが共催し、フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)と安保破棄中央実行委員会が協賛するという、文字通り「総がかり」の枠組みでの企画だ。
 ここでいう「重要土地」とは何を意味するのか。この日の集会のメイン講師となった馬奈木厳太郎弁護士は、次のように提起している。「外国資本の土地購入について、地元に不安の声があり、安全保障上のリスクにつながる」というのが法案主導者の言い分だ。馬奈木弁護士は「新法は有事立法の一環であり、実際には『人物』の調査となる。時々の政府の政策に反対し、政治的表現の自由を行使することが機能阻害と認定されるおそれは拭えない」と。

馬奈木弁護士
から詳しい説明
 昨年成立した「令和3年法律第八十四号 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(土地規制法)について、馬奈木弁護士は「今後の取り組みの観点」として、「法運用に関して」と「廃止に向けて」の二つに分けて説明した。
 同法第七条は(利用者等関係情報の提供)として「内閣総理大臣は、土地等利用状況調査のために必要がある場合には、関係行政機関の長その他の関係者に関する情報のうちその者の氏名又は名称、住所その他政令で定めるものの提供を求めることができる」。
 また同八条は、「内閣総理大臣は、前条第一項の規定により、同項に規定する情報の提供を求めた結果、土地等利用状況調査のためになお必要があると認めるときは、注視区域内にある土地等の利用者その他の関係者に対し、当該土地等の利用に関し報告又は資料の提出を求めることができる」としている。
 さらに第九条では「内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用者が当該土地等を重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるときは、土地等利用状況審議会の意見を聴いて、当該土地等の利用者に対し、当該土地を当該行為の用に供しないこと、その他必要な措置を取るべき旨を勧告することができる」としている。

政府が規制する
行為の危険な中身
 今年7月に基本方針案で示された「政府が規制する行為」には、「自衛隊の航空機の離着陸の妨げとなる工作物の設置、自衛隊のレーダーの運用の妨げとなる工作物の設置、施設機能に支障を来すレーザー光などの光の照射、施設に物理的被害をもたらす投射装置を用いた物の投射、施設への妨害電波の発射、流出することで港湾施設の利用を妨げる土砂の集積、領海基線の近くでの低潮線保全に支障を来す形質変更」が挙げられている。
 これらは明らかに「尖閣諸島」などの「領土紛争」に関わる地域に関して、日本政府側の主張を一方的に強制して「既成事実化」を強め、それを認めない動きを「実力」で阻止する立場を明らかにした「宣言」とも言うべきだろう。
 これらの規定は、明らかに「尖閣」問題等において中国に対する「話し合い」を拒否する姿勢を明らかにしたものだ。
 その上で「廃止に向けて」として「区域に指定された自治体の議員や運動体による全国的なネットワークづくり」や、「区域内の住民に対する周知」、『地方議会での意見書採択』」を広げることを馬奈木さんは提起した。
 なお筆者自身は、「尖閣諸島」は歴史的に言っても琉球・沖縄に属した「固有の領土」ではないという立場であり、尖閣(釣魚台諸島)の沖縄県への編入は1894~5年の日清戦争の結果であったことを主張してきた。こうした歴史的事実にたって「ヤマト」の側からのあらゆる「領土主義」的キャンペーンに明確に反対することが重要であるという立場であり、そうした立場から問題を提起していくことが大事だと思う。        (K) 

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