安倍「国葬」・弔意の強制は違憲
9.19 5つの市民団体が呼びかけ
300人が参加し成功
【大阪】国葬と統一教会問題で岸田政権への批判が高まる中、9月19日にPLP会館で「安倍元首相の国葬反対!大阪集会」が開催された。台風14号の接近が伝えられる中で、「予定されていたデモとスタンディング行動を中止し、屋内での集会は実施する」という主催団体の決断に応えて、約300人が参加した(主催者発表)。
開会10分前には「用意していた配布資料がなくなったので現在増刷中」のアナウンス。「コロナ仕様」(3人席に2人掛け)も部分解除で慌ただしく座席の追加・移動。予想を上回る結集に開会前から熱気が感じられる。
主催はこの数年、改憲反対の運動などで連携してきた5つの市民団体、「とめよう改憲!おおさかネットワーク」、関西共同行動、「しないさせない戦争協力関西ネットワーク」、平和と民主主義をめざす全国交歓会、「戦争あかん!ロックアクション」。それに協賛の「おおさか総がかり行動実行委員会」が加わって反改憲・護憲運動団体の総結集となった。
自民党政権そのもの
が民主主義の破壊だ
メインの講演は高作正博さん(関西大学法学部教授)、その後に政党あいさつ、市民団体のアピールと盛りだくさんのプログラムだった。講演に先立つ主催者あいさつで中北龍太郎さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク)は、「岸田政権は7月総選挙で勝利し、改憲に突き進もうとしたが、自民党と統一教会の関係が暴露され、国葬への批判が日々高まる中で、危機に直面している。世論に示される批判の声をさらに大きくして、改憲を阻止していこう」と訴えた。
高作さんの講演は、冒頭に安倍元首相の銃撃事件直後の違和感について述べた上で、「国葬の決定過程」、「国葬の問題点」、「国葬に反対する理由」の3つのポイントについて簡潔に提起した。
違和感は、岸田首相がこの銃撃事件を「民主主義に対する蛮行」と非難し、民主主義を守ることを呼びかけたことについてである。安倍政権を始めとする自民党政権こそ民主主義を破壊してきたこと、そして容疑者が犯行動機に関して「政治信条に恨みはない」と語っていることからもわかるように、事件と民主主義を守ることは別の問題である。
国葬の決定過程では、7月22日に「国葬儀を9月27日に武道館で行う」ことが閣議決定されているが、9月の国会の閉会中審査で国葬儀実施の理由として挙げられた4つの点(歴代最長の政権担当、多くの業績、諸外国からの弔意、暴力から民主主義を守る姿勢を示す必要)はどれも国葬実施の理由にならない。
国葬の問題点として、法的根拠がない(松野官房長官が記者会見で言及した内閣府設置法第4条第3項の33を根拠とするのは無理がある)。かつては「国葬令」があったが、1947年に失効している。吉田元首相の国葬の際にも問題点が指摘されていた。
国葬は弔意を強制するものであり、「国葬令」は民主主義と馴染まないとして失効している。国葬を復活させるのであれば、改めて国会での議論が必要である。また、国葬の費用のために国会の事前の議決なしに予備費を支出するのは国会による財政への統制を弱めるので大きな問題である。
国葬に反対する理由として、内心の強制・動員となること、国葬を通じた「国民統合」は国内のさらなる「分断」をもたらすこと、旧統一教会との密接なつながり(裁判所でも違法判決が出ている)が解明されなければならないことが特に強調された。
30分の講演の間、要所要所で会場から「そうだ!」の声や拍手が起こり、一体感が強まった。
野党共闘を強
化していこう
政党あいさつは立憲・共産・社民・れいわの4党。久々に野党共闘の健在を感じさせた。民主党・辻元清美参議院議員は、国会での安倍元首相との間のエピソードを交えながら、今回の国葬は法手続きに従っていないし、人間の平等に反する(安倍政権の犠牲になった赤木さんや、コロナで葬儀さえできなかった多くの人たちの命とのあまりの不平等)ことを指摘した。
共産党・宮本たけし衆議院議員は、野党共闘はいろいろあったが、最近では野党共闘で訴える機会が増えている、反対の声を無視して国葬をやるのは断固反対、子どもたちに弔意を強制させないために、みんなで取り組んでいこうと訴えた。
社民党・大椿裕子副党首は、社民党が国葬決定の直後に国葬反対の声明を発表し、国葬に欠席すると明言したこと、秋葉忠利さんなど元国会議員たちが海外向けに記者会見をおこなったことを報告し、カタロニアの詩人ジョアン・ブロッサの一節を紹介して、国葬までのあと1週間、がんばれば止められると結んだ。
れいわ新選組・大石あき子衆議院議員(メッセージ代読)は、「あす(20日)、東京で安倍の親友、山口敬之による損害賠償請求(名誉棄損)の口頭弁論があるため出席できないが、安倍の政権私物化と御用ジャーナリストとの癒着は同根」と指摘し、国葬に対して連帯して闘うことを訴えた。
市民団体アピールでは、各団体からこの間の国葬反対の取り組み、特に地域でのスタンディングへの反応が報告され、26─27日(国葬の前日と当日)に向けた一連の行動が呼びかけられた。 (KH)
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