9.23シンポジウム 在日クルド人とともに

初の難民認定の意義と入管法の問題点

日本の難民認
定率1%以下
 9月23日(金・休)午後2時から、埼玉県蕨(わらび)市の蕨市立文化ホールくるる3階多目的ホールで「シンポジウム 在日クルド人とともに~初の難民認定の意義と入管法の問題点」が開催された。集会は「在日クルド人と共に」、日本クルド文化協会、クルド人難民Mさんを支援する会の共催。
 「埼玉県南部の川口市・蕨市にはトルコ国籍のクルド人が約2000人住んでいるといわれます。大半のクルド人が難民申請をしていますが、これまでの約30年間、難民認定された人は一人もいませんでした。今年8月、初めてトルコ国籍のクルド人男性が難民認定されました。難民不認定に異議をとなえ、8年もの長い裁判闘争を経て、初めて難民認定を勝ち取ることができました」。
 「日本の難民認定基準は極めて厳格で、難民として認められるべき人が不認定となっています。そのため日本の難民認定率は1%以下と極めて低く『難民鎖国』と揶揄されています」。
 「昨年、国会に提出された『出入国管理及び難民認定法』(入管法)の改定案は、難民申請を複数回行った人を強制的に送還する内容でした。多くの人々の反対によって廃案となりましたが、その改定案が再び国会に提出されようとしています。こうした動きに抗して、私たちは今回のシンポジウムを企画しました。日本の入管法の諸問題、トルコ国籍のクルド人難民認定の意義、改定入管法の問題、あるべき入管法について、弁護士・国会議員の方々から報告していただきます。同時に、在日クルド人の当事者と難民問題に取り組む医師から、収容と仮放免の問題について伝えていただきます」(集会案内チラシより)。

厚い壁を破る
粘り強い闘い
 この日の集会には、クルド人労働者と地元で支援する人びとを中心に100人近い人びとが参加した。
 集会の第1部はクルド難民弁護団の大橋毅弁護士、山田幸司弁護士の報告、立憲民主党の石橋みちひろ参院議員(難民問題議員懇談会)のあいさつから始まった。
 大橋毅さんは1997年に発足した「クルド難民弁護団」の事務局長として20年以上にわたって弁護活動を続けてきた。山田幸司弁護士は札幌市でトルコ国籍のクルド人男性の「難民不認定取消訴訟」を受任し、控訴審で逆転勝訴し入管で難民認定を勝ち取った。石橋みちひろ参院議員は、2010年に参院議員に初当選して以後、外国人労働者問題に積極的に取り組み2020年には「難民問題に関連する議員懇談会会長」に就任し、野党6党の対案を提出している。
 集会の第2部は、在日クルド人当事者の訴えと、医師の山村淳平さんの報告。
 山村さんは1990年代に各国の被災民、難民の医療支援を行い、現在は横浜で心療内科医として勤務する一方、日本への移民・外国人難民の医療にたずさわりながら、入管問題や非正規移民についての著作活動も行っている。
 山村さんや弁護士たちの献身的な活動に支えられた初の「トルコ国籍クルド人」の難民認定を突破口に、差別を排しクルドの人びとの平等・人権を確立する社会を共に作り出そう。(K)

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