浜岡原発永久停止への道程と課題

  渡辺敦雄さんが講演

 【静岡】9月17日、浜岡原発を考える静岡ネットワーク(浜ネット)・浜岡原発とめます本訴の会(浜岡原発本訴訴訟団)が主催して浜岡原発の永久停止と廃炉について、かつて浜岡原発の設計を担当し、現在は、脱原発の立場から、原発民事及び刑事裁判に専門家として関わっている渡辺敦雄さんの講演集会が開かれ、コロナ禍にもかかわらず60人余が参加した。
 渡辺さんは東京大学工学部を卒業、㈱東芝に入社し原子力事業部に配属され福島第一原子力発電所3.5号機 女川1号機、浜岡1.2.3号基の基本設計を担当。その後神戸大学教授や国立沼津高専の教授もされた。
 講演は、「浜岡原発永久停止への道程と課題」と題して ⑴浜岡原発の現状と永久停止すべき理由。⑵永久停止(廃炉)への手順 ⑶永久停止後の経済的な課題について 3つの観点から判りやすく解説いただいた。

浜岡原発の現状と
永久停止すべき理由
 
 はじめに廃炉と永久停止の違いを比較表で解説、廃炉は建屋や原子炉の解体が伴うことから作業者・周辺への放射性物質の拡散が多く、したがって被曝量も多く、作業のためのロボット・切断機などの高度で高価な機器が必要、処置に100年を要する。(何故か日本は40年としている)したがってコストもかかる。一方、永久停止は使用済み燃料を取り出して乾式貯蔵庫で保管し、原子炉建屋や原子炉容器は劣化対策することで作業者や周辺への被曝が少ない。処置の所要時間はほぼ10年、人類の負の遺産が目に見える形で存在することの意味は大きい。また費用が掛からない。こういうことから永久停止が望ましいと訴えた。
 その理由として、そもそも原発は不要、再生エネルギーで代替できる。日本の消費電力量は2014年度で933Twh、2021年度は863・5Twhで減る傾向にある。原子力がなくても困っていない。コストが高い、テロや戦争で破壊の対象に(ウクライナ戦争)、南海トラフ巨大地震が迫っていること、想定震源域の真上であること、600mの海水取水配管の損傷や海水貯槽からの吹き出し(原子炉建屋内の溢水)、事故があれば日本の主要な経済圏を結ぶ交通路の中枢に位置することから経済活動の長期のマヒが懸念される。

永久停止(廃炉)
への手順について

 ①内部被曝被害の理解の徹底 ②永久停止後の不安解消(雇用の喪失、交付金の停止による地域経済の沈滞低迷といった立地自治体の不安を取り除く)といったことが必要。②のようなことが再稼働や新設要望の根拠となっていることを留意。

永久停止後の
経済的課題

 ①期限付きの廃炉交付金の創出・法整備 ②100年間の永久停止(廃炉)ビジネスによる雇用創出や地元経済の活性化(受配電・送電インフラを活用した原発以外の発電システムや新エネルギー開発拠点化による新産業起業、永久停止・廃炉ビジネスの6次産業化(地域循環型産業)、使用済み燃料の乾式保管で新電力エネルギー創出(ゼーベック効果などの新技術発電所+観光地化)、技術革新(ロボット、遠隔操作、耐放射線レンズ、遮蔽技術等)

   まとめ

 中電は7月15日、22mとしてきた想定津波の高さを22・7mに変更することを規制委員会の審査会合で提示。規制委員会の更田豊志委員長は記者会見で「あれだけの構造物の場合、かさ上げは簡単ではない」と述べ、再稼働に向けた審査で、防潮堤は大きな議論の焦点になるとの認識を示した。南海トラフ地震対策で18mを22mへ、さらに22・7m越えのかさ上げは莫大な費用から事実上無理。(22・7mは許可しないでとのシグナルかも)したがってわたしたちは廃炉ではなく永久停止(被爆低減効果)を求め、そのために早急に国会で永久停止交付金法の制定を図るべき→再稼働の理由がなくなる。
※ゼーベック効果とは
 2種類の異なる金属をつなげて、両方の接点に温度差を与えると、金属の間に電圧が発生し、電流が流れる。1821年、ドイツ人科学者ゼーベックにより発見された。いわゆる熱伝導効果と呼ばれている。 (S)

甲状腺がん裁判原告へのカンパのお願い

 講演の最後に3・11子ども甲状腺がん裁判・原告へのカンパのお願いがあった。
 福島第一原発事故により300人を超える方に被曝による甲状腺がんが発症。被害にあった市民(当時18歳以下の市民)のうち7人を原告とする裁判が東京地裁で始まった。原告は手術を何度も繰り返したり、学業を断念したり、再発の恐怖を抱いて生きている。治療中心の生活のため将来への夢が描けないといいます。原告7人の生活資金としての経済的支援のためのカンパにご協力ください。

■カンパは1口1000円として、何口でも。
 カンパ先 三菱UFJ銀行 四谷支店 普通 0456934
弁護士 北村賢二郎 預り金(ベンゴシ キタムラケンジロウ アズカリキン)

今すぐ止めろ浜岡原発!(9.17)


 
           

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