選挙なき3年間、戦争準備を許すな
国葬反対! 憲法を活かす政治を!
「荒憲の会」が年次総会
【東京東部】安倍晋三元首相の国葬が強行される前の9月18日、東京・荒川区の町屋文化センターで、「平和憲法を守る荒川の会」の第16回年次総会が開催され、会員ら約30人が参加した。
同会は荒川区を中心に護憲運動を進める市民団体。東京東部地区で活動する個人・団体と共に運動を進めている。定例の学習会、講演会のほか、毎年秋にはフィールドワークも行っている。
大型の台風が上陸するというさなかの開催。急変する天候に来場者への不安があったが、若い新会員も獲得するなど、実りの多い総会となった。
司会進行を事務局の横山さんが務めた。最初に森本孝子代表が基調提起をした。自民党岸田首相が勝手に安倍元総理の国葬を決め、その実施日が差し迫るなかでの総会。メインスローガンには「改憲・国葬反対! 憲法を活かす政治を!」を掲げた。
国葬正当化
するデタラメ
基調は、強行を正当化する「国葬の理由4点」について批判した。「戦後最長政権」は、自民党が歴史的に旧統一教会に支えられ、牛耳られてきただけのことだ。「多大な業績」は、アベノミクスで株価は上がったが、労働者の賃金は下がり続けている。格差は広がり非正規労働者は4割に達している。コロナ禍で解雇や廃業も増えた。「海外からの弔意」というが、多額の税金をばらまきながらロシアとの領土交渉は失敗し、アメリカからは武器の「爆買い」を強いられている。「民主主義を破壊する(テロ)行為に対抗する」というが、国会審議の軽視、国会開催要求の無視、安保法制の強行採決。そして国葬の手続きを問答無用で押し通したのは、まさに与党自公政権ではないか。
「国葬の陰で軍備増強、9条改憲、緊急事態条項などが目論まれている。台湾有事想定など具体的な戦争想定の懸念が強くなっている」。「向こう3年間、国政選挙がない間に戦争準備を進めさせてはならない。地域の人々と共に、来年の地方自治選挙での護憲勢力の拡大に向けて、運動を進めていこう」。森本さんはこのように結んだ。
外国人差別の
本質に迫る
次に、ドキュメンタリー映画「ワタシタチハニンゲンダ!」(髙賛侑監督・2022年)の上映があった。2021年3月、スリランカ人女性ウイッシュマ・サンダマリさんが名古屋入管で死亡した。彼女の死によって、長年ベールに包まれてきた入管の非人道的な措置が、改めて追及される契機となった。
本作品は在日コリアン、技能実習生、難民に焦点を当て、苛烈な日本の外国人差別の実態に迫った。議事の時間枠の関係で、映像を早送りしながら、重要部分で停止し森本さんが解説を加えた。
弁護士の杉浦ひとみさんが、総会タイトルと同じ題の講演をした。杉浦さんは「安保法制違憲訴訟の会」、慰安婦訴訟、空襲訴訟に係わる。軍隊を持たないコスタリカの紹介に尽力している。(講演要旨別掲)
共闘団体の
熱いアピール
講演のあと、司会から本年度の会計報告と事務局メンバー(再任)の紹介があった。個人会費はもちろん、団体からのカンパや地域労組の協力が、会報の発行、定例会、外部講師による講演会の開催に、資金面でも大きく貢献している。
連帯アピールが始まった。部落解放同盟荒川支部の小野崎篤さんは、狭山裁判第3次再審闘争の状況を報告し、10月14日に開催される「狭山荒川集会」への参加を呼び掛けた。
朝鮮半島の平和的な統一をめざすイベント「統一マダン」は、今年第28回目が開催される。ここ数年、コロナ禍で規模の縮小を余儀なくされたが、今年は会場をこれまで使い慣れたJR三河島駅前の広場に戻した。実行委からキム・イヘさんが発言した。
「『統一』という名前がどこかと似ているが、マダンは28年間続けてきた。『マダン』と『サタン』を誤解されないように頑張っていきたい」と、参加者の笑いを誘った。
住民無視の
タワマン建設
「西日暮里再開発を考える会」の橋立啓子さんが発言した。「西日暮里駅前再開発計画」とは、西日暮里駅の北東エリアに47階建のタワーマンションを建設する計画である。荒川区はこの再開発事業に6400万円の補助金を出し、反対した住民の監査請求を却下した。橋立さんは地元住民と共に粘り強い反対運動を展開している。
建設予定地には、区立中学校(跡地)、区立保育園、区立通所サービスセンターなど、住民の教育や福祉に欠かせない施設がある。これらを含む広大な区有地13780㎡を処分しても、開発後の施設にはわずか4000㎡の「権利床」が与えられるだけなのだ。これは「等価交換」による価格の換算の結果である。
数字操作した
アンケート
高さ180メートルの建築物は、「荒川区景観形成ガイドライン」に反し、「都市再開発法」の要件を満たさず、暴風雨並みのビル風を発生させる。建設推進派が「住民合意」と標榜する対象地域住民へのアンケートは、現地の店舗で営業している「借家権者」が除外された数字で行なわれた。「賛成多数」の結果に偽りがあったことが明らかになっている。
橋立さんは、現在進行形の ①監査請求前置条件の住民訴訟、②監査請求活動、③都議会陳情 の3つの行動を柱として闘っている経過を報告した。
総会の締めくくりに、事務局の坂本繁夫さんが行動提起。「市民運動が連帯し、それで政治を動かしていく。今年度も頑張りましょう」と決意を述べた。(桐丘進)
杉浦ひとみさんの講演
国葬に反対し、日本の民主主義を示そう
7月8日、奈良県西大寺駅で安倍元首相が狙撃死した。この事件が、元統一教会・自民党・憲法改正につながる地脈の発覚の端緒となった。岸田首相は拙速に国葬を判断したが、反対の声が強まっている。
私はなぜ国葬に反対するのか。その理由として、国葬をする根拠がない。かつての「国葬令」は1947年に失効した。また、国葬は憲法19条「内心の自由の保障」に反する。さらに死者は「国を挙げて弔う」に値しない人物だ。国葬を強行すれば、世論の批判にさらされている統一教会を激励することになる。物価高で市民生活がひっ迫しているなか、巨費を投じることに憤りを感じる。
国葬反対の世論が日増しに大きくなっているが、海外にも報じてしまったことで、もはや撤回できないと考える人も多いのではないか。そんなことはない。こんな例がある。中米コスタリカでは2003年、当時の大統領(アベル・パチェコ)が米国のイラク進攻の支持を表明した。この時、大学3年だった学生が、憲法や国際法に違反するとして裁判所に提訴した。裁判所の「違憲判決」で政府は支持を撤回した。米国は有志連合国のリストからコスタリカを削除した。
このかん、駐日外交官は母国に、日本国内の国葬の反応を伝えている。それによって、参列を見合わせたり、来日する人物のランクを下げるなどの動きが広がっている。今こそ国葬を中止させ、日本の民主主義を海外に示すチャンスだ。この機会を逃す手はない。
(要旨・文責編集部)
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