11.3東京憲法集会

憲法9条改悪を阻止するぞ!
平和と人権を破壊するな
全国各地で人びとは訴える

すべての人々
が生きる社会
 11月3日、1947年に「日本国憲法」が公布されたこの日、全国各地で憲法改悪をもくろむ自公政権に反対する集会が行われた。さわやかな秋空の下、午後2時から国会前で開催された東京の中央集会は、国会正門前、衆院第2議員会館前、国会図書館前の3か所に分かれ、国会を「包囲」する形になった。この行動には「武力で平和はつくれない、つなごう憲法をいかす未来へ」というキャッチフレーズの下に、4200人が参加した。
 第1部は午後2時から午後3時10分まで、各エリア共同の集会となり、「総がかり行動」実行委員会・藤本泰成さんの主催者あいさつから始まった。
 「外国人労働者の悲痛な声が聞こえる。日本で生れ、日本で育った彼は、小学校5年生の時に、早く自分の国に帰って下さい、と言われたという。それ以来、彼は朝が来ても起きられなくなってしまった。入管法改悪をあきらめていない日本は、外国人にとっても生きていけない国だ。すべての外国人が生きていける社会にすることが求められる」と藤本さんは呼びかけた。
 藤本さんはさらに、この日、朝鮮のロケットが打ち上げられたことにふれながら。「朝鮮との対話を語らないメディアは、在日朝鮮人の子どもたちに嫌がらせの電話がかけられてくることに沈黙している。朝鮮、中国を軍事的脅威として軍事費の大幅な拡大が進められている。しかし武力で平和はつくれない。ウクライナ、ロシアの若者たちが生きていけないのと同様な現実に、いま私たちは直面している」と強調した。

軍事対軍事の
衝突はやめろ
 次に国会議員からの発言が続く。社民党党首・参院議員の福島みずほさんは「日本国憲法を共に生かしていこう。社会党委員長だった鈴木茂三郎は『青年よ、銃を取るな』と呼びかけた。いま自民党の改憲案は統一教会とウリ二つだ。『私たちは天賦人権論をとらない』と語り、公助ではなく自助を前面に押し出している。両方ともに軍拡と憲法破壊を進めている。沖縄・南西諸島では、戦争が起きることを前提にした軍事訓練が行われている。戦争を止めよう。日本全土が戦火にまみれるのを止めよう」とアピールした。
 福島さんはさらに「12月10日に国会は終わるが、安保3文書、防衛大綱の見直しが年末にも予想され、軍事費の急増、さらに閣議決定だけで敵基地破壊能力の強化などが進められようとしている。トマホーク操作の増員なども行われる。軍事予算だけが『聖域』というのが現実だ。今こそ岸田内閣退陣を!」と強調した。
 立憲民主党の水岡俊一参院議員会長は、「武力で平和をつくることはできない。われわれは現実の世界の中からそのことを痛感している。ウクライナ侵略は今世紀最悪の事態をつくり出した。武力増大一方のこの国の政府は、人びとの生命を危険におとしいれている。与党の思い通りにはさせない。議論は大切だ。しかし安易な議論は危険きわまりない」と語った。
 日本共産党の田村智子副委員長・参院議員がアピール。「『憲法公布』の日にわれわれは国会を包囲した」と呼びかけた田村さんは、「軍事対軍事のエスカレーションという悪循環をなくし『今こそ外交』を政府に認めさせよう」と強調した。田村さんは「ASEAN諸国とともに対話のシステム、話し合いの場を作ること、今ある枠組みを生かし、北朝鮮にも求めることが大事だ」、と語り、「相手を待ってからでは遅くなる。大軍拡の枠組みが造られてしまう。日本が攻撃されなくても軍事行動ができる、法的枠組みができていく」と警告した。さらに「トマホークは先制攻撃ミサイルであり、敵基地攻撃、戦争継続能力の強化を示すもの。大軍拡・戦争継続能力を葬りさろう」と訴えた。
 「沖縄の風」の伊波洋一参院議員は滋賀県での講演のため出席できなかったが「カルト集団」に安倍元首相が関わっていたことを鋭く糾弾するアピールを発した。
 「れいわ新選組」の櫛淵万里衆院議員・副幹事長は元ピースボートの事務局長だった人。「不断の努力で平和を」とのアピールをよせていただいた。「9条が持った国際的メッセージは世界の国々からの信頼と信用を得ているという訴えだ。ところが今の国会はどうなっているのだろうか。抑止力強化の一辺倒だ。敵基地攻撃能力は、この国の平和を高めるのか。NOだ。『脅威対抗型防衛力の整備』という主張は事実上の改憲を意味する。安全保障・武器管理の多国的枠組み作りこそ求められている」と彼女は述べた。
 さらに櫛淵さんは「ウイーンでの核兵器禁止条約の枠組み作りについての会議で『自由と平和を愛する文化』を進めていくことの重要性を実感した」と訴えた。
 

青年のリレー
トークで訴え
 メインスピーチは3人から。
 安保法制違憲訴訟に関わっている杉浦ひとみさんは「ウクライナでの戦争の現実が理解されるに及んで私たちの運動が理解されるようになっている」と述べ、軍隊を持たないコスタリカでは「今時、軍隊を持ちたいと思う人はいない」と強調した。そしてウクライナ戦争での日本政府の対応=「軍事費を5兆円から10兆円に倍増すべき」を批判するとともに、「台湾が中国に攻められたら日本も戦争に参加する」といった「危険な状況」に対して、「裁判所に期待することはできないし、メディアもまた危険となる。何よりも自分の視野を広げていかなければ」と語った。
 東海大の永山茂樹教授は11月3日の「文化の日」が戦前の「明治節」から、「自由と平和を愛する文化」の記念日になったことを改めて訴え、それが「敵基地攻撃能力」の獲得によって、世界第3位の軍事力を擁する国になったことを厳しく批判。「安保3文書改定による実質改憲」に反対しよう、と強調した。永山さんは「自民党でも憲法の『専守防衛』という立場を残してきた。しかし今や敵基地の軍事攻撃を正当化する3文書が入ることになった。それは沖縄の軍事基地のさらなる強化を正当化し、中国との戦争を米国と日本が共同で行うことを意味する」と厳しく批判した。
 芸能人9条の会の古今亭菊千代さんは、戦争の時代の「国策落語」を繰り返してはならない、と強調し「北朝鮮でも政権と国民の思いは違うはずだ」とアピールした。そして「憲法の良さを、これからも明るく語っていきたい」と呼びかけた。
 次に「青年のリレートーク」。
 障がい者介助施設で働く清水やよいさん。「7歳と2歳の二人の子どもを育てながら『健康で文化的な最低限の生活」の保障』という憲法の理念に現実を近づけていきたい」とアピールした。ピースボートの畠山すみこさんは、「平和の船旅:ピースボート」の40年間の歴史を振り返りながら、「私たちが40年間の平和の船旅を通じて行ってきたのは憲法9条の実践であった」と語り、船旅を通して武力には頼らない平和への対話を広げ、深めてきたことの意味を語った。
 「総がかり青年PT」の学生・池田さんは、侵略戦争の歴史を学びつつ活動を始めた、と自己紹介し、学び・対話を積み重ねていくことの大事さを語った。「安倍元首相の国葬は9条改憲を国全体に強要するためだったのではないか、岸田首相が閣議決定のみで国葬を行ったのはおかしい。年内にも大軍拡の動きがハッキリしてくる。私たちが払った税金を軍拡に使うな、物価は確実に高まり続けている。国葬が終わっても内閣支持率は下がり続けている。『聞く耳を持つ』岸田首相はどこに行ったのか」と、呼びかけた。池田さんは「国葬を大失敗に追い込んだ私たちの運動を拡大し、戦争法制を廃止しよう。民主主義を取り戻そう」とアピールし、「少しでも若者の私たちの運動への支持を広げていきたい」と訴えた。
 続いて集会はエリアごとの第2部へ。第2部は、国会正門前、衆院第2議員会館前、国会図書館前の3カ所に分かれて行われた。
 筆者は国会正門前の行動に参加した。世論調査での岸田政権の支持率は、2割台となり政権自身の足下がゆらいでいる。「犯罪集団」である「統一教会」と歴代自民党政権との癒着の構造がさらに明らかにされる状況が明確になる局面が始まっている。「憲法9条改悪」阻止の闘いは、まさに歴代自民党政権の犯罪集団との「腐敗・癒着」の構造を明らかにしていく闘いと一体のものになりつつある。                   (K)

憲法破壊は許さない、国会包囲し声あげる(11.3)

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