11.3大阪で総がかり憲法集会

憲法を活かし共に生きる
戦争阻止へ不断の努力を

 おおさか総がかり行動実行委員会主催の憲法集会が11月3日、大阪市扇町公園で開催され、よく晴れた秋空の下3000人の市民が参加した。
 集会は二木洋子さんの司会で進行。丹羽徹さん(大阪憲法会議幹事長)が開会のあいさつ、「76回目の憲法記念日だが、その後半部分は、政府与党による憲法の空洞化が推し進められる中で憲法は生きてきた。そのことは、私たちや先輩たちが憲法を活かそうと努力してきたからに他ならない」と述べた。
 岡野八代さん(同志社大教授)がスペシャルゲストとして講演し、続いてトークセッションが行われた。岡野さんは数年ぶりに憲法集会に参加したが、今年は是非とも参加しなければいけないと思った。日本国憲法公布の日を文化の日として喜ぶ、その意味をかみしめてみたいと言った。日本は戦争を放棄し、武力による威嚇・武力の行使を永久に放棄した世界でも珍しい国であること、それは自由と平和を愛し、文化を慈しむ市民を育てることを意味する。そういう意味が込められている、と述べた。

岡野八代さんの講演
生きることの価値を大切に

 以下、発言はすべて要旨。
 憲法の精神・個人の尊厳、

 私にとって憲法とは、権力者に対する重要なメッセージだ。どんな社会であっても、そこで生きている人がどのような人であっても、生きていることに価値がある。そのことを憲法は権力者につきつけている。私たちは決して国のために生きているのではない。むしろ国こそが私たちの尊厳を輝かせるための道具にすぎない。このメッセージこそが、憲法を改正したい政治家にとってはじゃまでじゃまで仕方がない憲法の精神なのだ。まだ存在しない新しい未来を、個性あふれる人たちが形にすることで、豊かになっていく。戦争は、国民を一つにしたいから、多様性を否定する。戦争がいかに文化を破壊するかはウクライナにみる。
 憲法とは、国は武力をいたずらに行使しないという、武器を持たない市民の願いだ。敵基地攻撃能力という威勢のいいことを言う人がいる。狭く人口が密集し海と山に囲まれ、原発を54基もかかえたこの日本は、戦争する力がない。それでも攻撃されたらどうする?とおそらく言ってくる人もいるだろう。その人たちにこそ、攻撃されたらどうするの?ときいてみてほしい。何も考えていないから。戦争する力がないことは、弱いことと同義語ではない。むしろ、戦争が出来ない国土と密集した人口を抱えていることを認め、だからこそ決して武力を行使しないと約束し、対話や交渉で、何より憲法前文がいうように、平和を愛することの大切さを他国にも訴えていく。そうした能力が日本には必要だ。それこそが、市民が守る国の役割ではないか。武力を持たないが故に、豊かな文化を育める文化の国として、日本はもっと胸を張れるはずだ。
 市民の最低限の文化的生活を保障する憲法25条に光が当たる。市民の生活、健康、文化的生活を豊かにするために私たちのお金が使われるべきだ。軍事費を2倍にし、世界第3位の軍事大国にしたい政治家たちは私たちの生活には一切関心がない。私たちが出来ることのひとつとして、お金の使い方を決める国会に、文化と生活が大切だと思う人を代表として送ることだ。

トークセッション:
憲法って何?

 講演はここで終わり、続いて、小出真理子さん(近畿労金労組)・近田靖幸さん(大阪平和委員会青年部)とのトークセッションに移る。2人に岡野さんが、①自己紹介を兼ねて一言・②自分にとって憲法とは・③今の政治に対して一言を尋ねた。
 小出さん:労組の専従をしている。ジェンダー平等について言いたい。意志決定の場に女性が少ない。男性の役員が女性組合員の考えを代弁すればいいと男性からも女性からも聞くが、自分の思っていることを自分の言葉で語りたい。 
 小さいとき母に連れられて長崎に行った。その後、戦争の本ばかり読んで、変わった子だった。日本は、侵略戦争をし、その後他国を侵略しないと9条ができたことを知ったとき、素晴らしいものがあると思った。なのに、国の権力者たちは憲法を変えたいという。理解できない。
 今のウクライナで戦争が続いていて、最低限の武力をもつ必要があるのではという会話になるのが現状だ。しかし、77年間戦争せずにやって来たということを考えると、外交による不断の努力が必要だと思う。戦争はしてはいけないと言い続ける。
 近田さん:団体職員をしている。2人の子どもがいる。家計・子育てのことが気になっている。学生の支援活動にも関わっている。現役の学生が困っている姿を目の当たりにしている。新自由主義が若者を追い詰めていると思う。若い人の死因のトップが自殺だということもその現れだ。今の政治は憲法の理念とかけ離れている。
 多くの人が自由を守るために声を上げている姿と出会い、再び憲法と出会った。自由や権利を守る武器として憲法があることを知った。ほんの少し前、国のために国民の命が軽く扱われていた時代があったことを知った。憲法の条文通りに政治が行われているか、国民の一人としてチェックしていかなければいけない。
 岸田政権は国民が求めていることに対しては慎重だが、平和や人権にとって危険な施策は、聞く耳を持たずに強行する政権だ。憲法は、変えるのではなく活かすべきだ。市民と野党の共闘が若い人たちにとっても希望の選択肢として発展することを望んでいる。
 岡野さんが、最後に一言。
 市民は全く改憲の動きの中にはいない。岸田政権はウクライナの不幸につけ込んで、改憲を企んでいる。私たちは声を上げていかなければいけない。NATOに加盟したフィンランドは確かにGDP比2%を軍事費に使っているが、その内容は日本と違う。国民の7割が4週間生きられるような核シェルターがあり、攻撃されたときの備蓄にお金をかけている。日本には、そのような場合逃げるところがあるのか。例えば、中国が本気に攻撃してきたら、守れない。だから戦争してはいけないと胸を張って世界に訴えることの出来る政治家を議会に送らなければいけない。

川口真由美さんとおも
ちゃ楽団によるライブ

沖縄から高良鉄実さんのメッセージ(要旨)

 沖縄の実際の憲法記念日は5月15日だ。そして今年は復帰50年、沖縄の憲法記念日50年、日中国交回復50年だ。この節目の年に政府は何をしているのか。特に9条に関しては、政府の行為によって、沖縄には憲法がない。主権在米のままだ。イギリスの学者に問われて応えたが、米軍基地は沖縄のリスクの根源だ。戦争準備行為として米軍の夜間低空飛行訓練が続いている。それは台湾有事につながる。政府はウクライナの戦争を止めようとしているのか。3月2日参議院でロシア非難決議があったが、私は棄権した。台湾有事を煽る文言があったからだ。沖縄を戦場にするつもりか。南西諸島はミサイル基地がつくられていている。国連憲章は、戦争の惨禍から将来の世代を救うためにあるとうたわれている。将来の世代が平和なアジアの未来予想図を描けるよう頑張ろう」。

立憲四野党から
の発言(要旨) 

 野村いくよ枚方市議(立憲民主党)、宮本たけし衆院議員(日本共産党)、大椿裕子さん(社民党副党首)、大石あき子衆院議員(れいわ新選組メッセージ代読)からあいさつがあった。
 野村さん:政府は市民の不安を煽り、敵基地攻撃能力保有・防衛費増額について国民の6割が必要と応えたが、本当にそれでいいのか。生活を守ることを優先し、子どもの未来にもっとお金をかけるべきだ。立憲リベラル超党派議員連盟が再開した。
 宮本さん:憲法審査会の開会には反対だ。憲法と現実政治との違いをこそ問題にすべきだ。いま、一番の問題は統一教会と政治の癒着の問題だ。ここを正さなければ、憲法の主権在民は有名無実だ。
 大椿さん:非正規労働者として解雇され、労働運動に出会って初めて、憲法が自分のためにあることを確信した。憲法は変えないで活かすものだ。私たちが望んでいるものはシンプルだ。つまり、安心して生活でき、十分な教育が受けられ、人々が分断されずに生活できる社会だ。
 大石さん:日本は戦争当事者になろうとしている。国会の中でその空気をひしひしと感じる。岸田政権は、所信表明で防衛費増額、敵基地攻撃能力に踏み込み、国際的な緊張関係を高めている。維新は、岸田政権に改憲のためのハッパをかけているが、最大野党の立憲民主党が維新と手を組むのはやめよう。
 最後に、全員でポテッカーを掲示し、米田彰男さん(戦争をさせない1000人委員会大阪共同代表)のまとめで終了した。
        (T・T)

ポステッカー掲げ、憲法破壊に抗議(11.3)

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