10・22止めよう戦争への道・めざそうアジアの平和・関西のつどい
ロシアは即時撤退せよ!9条改憲は戦争への道!沖縄の基地をなくせ!
【大阪】「2022年秋関西のつどい実行委員会」主催の反戦集会が10月22日、エルおおさかで、600人の参加で行われた。主催者あいさつで、平和人権センター理事長の米田彰男さんは「ロシアの核兵器使用を止めるためにも、核兵器禁止条約を日本政府に批准させることが重要」と述べ、さらに、円安で物価高を作り出した安倍元首相と自民党を批判、彼らと旧統一教会との癒着の構造を糾弾した。
そして、敵基地攻撃論や軍事費GDP費2%への増額を批判、憲法改悪の動き、辺野古基地や南西諸島へのミサイル基地反対運動と連帯して闘うよう訴え、「支持率が激減した岸田政権を退陣に追い込み、大阪では維新政治を終わらせよう」と呼び掛けた。
講演1―沖縄復帰から50年、沖縄からの告発
講師の新垣邦夫さんは沖縄選挙区選出の社民党の衆院議員、「沖縄2区は嘉手納基地、普天間基地を抱えている。基地反対、民主主義と人権を守るという立場から、社民党は支持されてきた」と述べ、立憲民主党ではなく社民党から立候補した意義を語った。そして、「憲法審査会は憲法を変えるという前提で話がなされている。憲法を変えるなら、その前に米軍基地の現状を変えろと主張した」と述べると大きな拍手が巻き起こった。
「沖縄復帰50年、復帰して良かったのか。空港、港湾、道路は整備されたが、県民所得は全国最下位。振興予算があるというが、大きな誤解がある。県の予算は7000億円程度、その内3000億円程が振興予算であり、今回2600億円に減額された。1200億円は国の直轄事業で、沖縄県は自由に使えない。その金の大半は大手のゼネコンに渡っている。金を出しているのだから、国に協力せよと言うが、本土の方が多かった米軍基地は復帰前後から沖縄に集中、今では70%を超えている。そのことを考えれば沖縄県は予算として1兆5千億円から2兆億円もらっても少ないぐらいだ」と指摘した。
そして、「玉城知事が再選され、参院選挙でも伊波洋一さんが当選した。故翁長知事、玉城知事の当選、県民投票と、県民の辺野古基地建設反対の意志は何度も示されてきた。政府はこの県民の意志をどう思うのか」と言葉を強めた。「駐留する海兵隊は1万9千名、内9千名は2024年にはグアム、ハワイ、オーストラリア、米本土に移転する。残る部隊の内の5千名は司令部付きで、実働部隊は5千名だが実践で動くのは約2200名になる。しかも31機動部隊は6~8カ月は海外勤務で、沖縄に残るのは3分の1、駐留兵が減るのに、なぜ辺野古基地が必要なのか」と疑問を呈した。
そして、日米地位協定に触れ、「返還に際し、米軍が恒久的に基地を自由に使えるように日米地位協定の見直しをやめた結果、50年間、基地の実態はなにも変わっていない。自民党の若い議員は自分の国は自分で守らなければと言う。しかし、自分は本当に戦場に行くのか」と述べると、再度、大きな拍手が起きた。
最後に台湾有事に触れ、「沖縄に住んでいると、台湾有事は本当に怖い。日米が参戦すれば、最初に攻撃されるのは沖縄だ」と率直に沖縄の人たちの危機意識を語った。「菅前総理はアメリカ訪問した際、有事の時アメリカ軍は後方支援だと告げられ、帰国後すぐに宮古島や石垣島へのミサイル配備を始めた。こんな短絡的な発想でいいのか。有事を回避するために何が必要なのか。あの時、行動すれば良かったと後悔しないように、私は活動していきたい」と今後の議員活動での決意を語り講演を締めくくった。
挨拶連帯―ロシアのウクライナ戦争の停戦を求める
連帯のあいさつに立った藤本和喜夫さん(大阪大学名誉教授)は「ロシアのウクライナ進攻により、民間人が多数犠牲になっている。世界各国でウクライナへの支援がなされているが、戦争は止む気配はない。武力で国境を変えることは許されない」と言及し、「ロシア研究者で停戦を求める要望書を出し、ロシア大使に会いその旨を伝えた。またその他の国の大使館にも停戦を仲介するよう求めた」と、この間の取り組みについて報告した。
そして、「戦争開始直後からウクライナとロシアは何度も停戦交渉をし、落ち着きそうな時期もあった。だから停戦は可能だと思う。今は直接交渉が難しいので、仲介国の存在が重要」「9月にウクライナの反転攻勢が始まり、ロシアは東南部4州を併合した。国連ではロシア軍の即時撤退を求める決議案が採択されたが、中国とインドは棄権することで、ロシアに対して、『賛成しない』という意思表示をした。いよいよ停戦仲介の環境が整いつつあると思う。日本政府を動かして、停戦交渉をさせるよう運動を強めたい」と締めくくった。
講演2―
大軍拡、改憲を撃つ、戦争を止める
ために、世界中の市民の連帯を
講師の佐々木寛さんは新潟国際情報大学の教授であり、日本平和学会の21期会長である。佐々木さんは「ウクライナには15基の原発があり、この原発をロシアは標的にした。原発は核兵器と同じ脅威がある」とロシアの原発攻撃への危機感を露わにした。そして、「第2次世界大戦での死者は軍人4、民間人6、朝鮮戦争では3対7、ベトナム戦争では1対9になった。現代戦ではより多くの民間人を巻き込み、軍人よりも民間人が多く死ぬ」と述べ、さらに「現代戦はハイブリッド戦争でもあり、インターネット等での情報戦、無人機での爆撃、ステルス戦闘機の使用、小型核兵器の使用も取りざたされている」と指摘した。
そして一転、「ゼレンスキーは、NATOは、本当に正義なのかを、私たちは疑う必要がある。ゼレンスキーは総動員令を発し、成人男子の国外への脱出を禁止した。こうした方針は必ずしもウクライナで絶大な支持を得ているわけではない」ともう一つの側面を提示した。
次に、「現代の戦争の背後には必ずエネルギー問題がある。NATOの国々も自らの国益を損ねてまで支援することはない。終わらない方が都合のいい権力者も多くいるので、国連を含めた現在の国際政治の枠組みでは、この戦争を終わらせることはできない」「私たちはその国の政治と市民社会を分けて考える必要がある。例えば日本国憲法前文には『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように』と記している。これは政府が国民の意志を無視して、戦争に向かって暴走しないための規定である」と述べ、「ウクライナの戦争ではロシアを含めて世界中で市民が立ち上がっている。国を横断する市民社会が連帯して戦争をやめさせるということである」と述べた。
エネルギーの自治共同体が平和をつくる
「新潟の原発は新潟の人々を危険にさらす大きな要因であり、沖縄の米軍基地もそうである。つまり、国家の安全保障によって、民衆の安全保障が脅かされることが多々ある。地方からこそ安全保障を考えねばならないのでは」と指摘し、「安全保障のためには軍備の増強は仕方がないと言う。しかし、安全保障のために軍拡をすれば、敵もまたそれに備えて軍拡をする。軍拡することで相手の信頼をなくし、信頼をなくすから一層軍拡をする。信頼こそ最大の安全保障である」と述べ、憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した」とあると結んだ。
また、「憲法97条の基本的人権規定は日本人だけのものではなく、歴史的普遍的価値であり、永久の権利として私たち市民に信託されている。自民党の憲法草案からは97条は削除されている。彼らが安保法制を制定し、辺野古基地建設を強行し、軍事費をGDP比2%以上にするという方針がでてくる由縁である」「アメリカは中国に対抗するためのコストを負担させるために、日米同盟をアメリカの世界戦略に組み込んでいる。台湾有事が勃発すれば自衛隊が中国と直接戦闘するという最悪の事態になりかねない」と指摘した。
しかし、「21世紀は第3次世界大戦や気候変動といった人類存亡の危機に直面しているが、一方、新しい運動が起こる兆しが出てきつつある」と希望を述べ、「日韓関係を基軸として、北朝鮮や中国とアメリカを結びながら東アジアの多国間外交を作っていく必要がある。台湾有事を起こさせないためには外交を政府に任せておくのではなく、沖縄の人たち、台湾の人たち、中国の人たちが対話をしようという試みが始まっている」と続けた。そして、旧ユーゴスラヴィアの女性たちをから始まった非暴力トレーニングという運動を紹介した。普段の生活の中から軍事化しないように訓練していくという運動である。
「脱原発型の社会とは、中央集権・地域分断型の社会ではなく、自治に基づく地域分散ネットワーク型社会である」「新潟でエネルギー民主主義を目指そうという運動を始めた。エネルギーを新潟県民自らがつくると2400億円が地域で回ることになり、多くの雇用も生み出されていく。新潟市、村上市とパートナーシップ協定を結び、県内4か所で発電所を造った。この電気を生協が買い、組合員に売る。この電気を使った自動車を使って、温泉と大学を結んで地域循環共生圏を創っていく。エネルギー、食糧=農業、医療や福祉、移動手段も安全と教育も、すべて地域で自立して、自治に基づく運営を目指していく。このエネルギーの自治共同体を国境を越えて東アジアで展開できないか。この試みが東アジアの平和を作り出す基礎になるのではないか」と熱く語って講演を締めくくった。
最後に「しないさせない戦争協力ネットワーク」の中北龍太郎さんがまとめをし、デモの後、環状線天満駅前と南森町交差点の二手に分かれてスタンディングを行った。 (山三)
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