11.13天皇参加の豊かな海づくり明石大会を弾劾する

豊かな海のためには栄養塩の投入ではなく自然海岸の復活こそ
国民統合のための天皇行事拡大反対

 【大阪】9月のエリザベス女王の国葬への参列を皮きりに、コロナ感染症の拡大によって中断されていた国体等への天皇の参加が再開された。国体以外にも天皇の参加する行事は植樹祭、海づくり大会、沖縄国民文化祭等多々ある。しかし、これらの行事への天皇の参加は極めて憲法違反の疑いの濃い行為である。
 憲法第4条には「天皇は、この憲法の定める行為のみを行い」とあり、第7条には内閣の承認により行う国事行為を定めている。しかし、前述の行為はその中には含まれてはいない。
 天皇行事の拡大とそれへの国民の参加は「象徴天皇制の実体化であり、国民と共にある天皇制の基礎である」といかに言いつのろうと、これらの行為は天皇の下に国民を統合していく試みに他ならない。天皇こそ国民統合のための最も有効な手段なのである。
 安倍首相以来、政府は安保法制を定め、台湾有事の危機をあおり、敵基地攻撃のための軍拡を進め、着々と戦争ができる国造りに邁進している。戦争をするためには国民の一元的統合が必須の課題なのである。

コンクリートの護岸を壊し干潟と藻場の再生を
 11月13日に明石市で天皇参加の下で開催される「第41回全国海づくり大会」を弾劾する集会が、雨の中、同日10時から明石市人丸公園で行われた。公園は日本標準時子午線上にあることで有名な明石市立天文科学館に隣接し、人丸とは柿本人麻呂のことである。この集会は兵庫反天皇制連続講座(はんてんの会)、参戦と天皇制に反対する連続講座等の呼びかけで行われた。
 実行委員会を代表して発言に立った「はんてんの会」の藤岡さんは、「今、明石の漁業は大変な状況にある。特産品であるイカナゴ、タコがほとんど捕れなくなり、ノリも色落ちによる品質悪化が増加している」と述べ、「根本的な解決策を取らない限り豊かな海は戻らない」と指摘した。
 そして、「天皇はこうした明石の海の具体的な問題には決して触れることなく、知事や市長から行政報告を聞く。これは植樹祭等々においても同じである。しかし、憲法には天皇は象徴であり、政治にかかわってはならないとある。こうした行政にかかわる行為は憲法違反ではないのか」と厳しく批判した。
 この間、兵庫県当局は不漁の原因は過度の水質浄化が原因であるとして、その弊害を検討しないまま窒素、燐等の栄養塩を人工的に海に放出してきた。そして、NHKはその結果イカナゴが明石の海に戻ってきたと、無批判に報道している。
 現在、大阪湾の自然海岸は1パーセントのみ、99パーセントは人工海岸である。その結果、干潟も、浅海も、藻場もほとんど壊滅し、豊富な栄養分を海に提供してきた山も森も田畑も姿を消し、その結果が海の貧栄養化なのである。
 弊害を考慮しないままでの栄養塩の海への投下は安易な対症療法である。豊かな海の再生のためには、自然海岸を取り戻す試みが喫緊の課題である。せめて現在の垂直護岸を傾斜護岸に変えていくことが必要なのではなかろうか。

侵略と支配を生み出してきた天皇制を糾弾する

 続いて発言に立った「参戦と天皇制に反対する連続講座」の仲間は、10月に行われた沖縄文化祭での天皇の発言に触れ「マスメディアは天皇徳仁が平和に言及したことで良かった、良かったと報道している。本当にそうなのか。南西諸島へミサイルを配備し、日米共同訓練を実施し戦争準備が進んでいる。そうした状況に触れることなく天皇の発言は良かったですませていいのか」と怒りを露わにした。
 次に来年海づくり大会が予定されている北海道から参加した札幌の労働者市民連合の仲間は、「来年開催が予定されている厚岸は江戸時代、アイヌ民族が松前藩によって差別され、酷使・収奪された土地であり、反乱を起こした地でもある。そして、明治になってからも天皇制の下で、侵略・支配されてきた。そうした歴史を無視して、天皇を賛美する行事を無批判に開催していいのか」と指摘し、来年の北海道での「海づくり大会」弾劾闘争への参加を呼び掛けた。
 続いて、「ピリカ関東実行委員会」、「南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会」、「アジア共同行動」からのアピールを受けて、デモに移った。デモは国道2号線を北進、「天皇賛美の海づくり大会反対」、「海の自然を回復しろ」のシュプレヒコールを上げてJR明石駅に向かい、デモ終了後は明石駅前でスタンディングを行った。 (山三)

天皇の海づくり大会参列反対を訴えデモ(11.13)
次々と天皇制糾弾の発言(11.13)

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