10.29反原子力の日東京行動 集会とデモ

原発推進の危険で実現不可能な虚構はやめなさい

 10月29日、「反原子力の日東京行動 屋内集会とデモ」が、東京・文京区民センターで午後1時半から行われた。主催は「原発止めよう!東京ネットワーク」。「岸田首相、原発推進の危険で実現不可能な虚構はやめなさい!」をキャッチフレーズにしたこの日の集会・行動には約50人が参加した。

岸田の「新原発方針」を正面から批判
 最初の講演は、松久保肇さん(原子力資料情報室)。「虚構のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」という表題での講演は、岸田首相の「新原発方針」を正面から批判するものだった。
 松久保さんは最初に「原子力をめぐる世論」の動向について説明した。原子力発電への評価については、若年層ほど「増加」「維持」が多く、高齢者ほど「徐々に廃止」「即時廃止」が多いという傾向については変化がない。岸田内閣の原発についての方針は「エネルギー政策の遅滞」解消のために全力を挙げ、「運転期間の延長など既設原発の最大限活用」「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設」という原発利用の拡大に重点を置いたものである。
 2020年に刊行された『岸田ビジョン 分断から協調へ』(講談社)では「将来的には、洋上風力、地熱、太陽光など再生可能エネルギーを主力電源化し、原発への依存度は下げていくべきだというのが私の考えです」と述べていた。しかし自民党総裁選挙に向けた『岸田文雄政策集』では「成長戦略」の4本柱の一つとして「再生可能エネルギーの一本足打法ではない、原発再稼働を含む『グリーン・エネルギー戦略』の策定」、として「グリーン」の中に原発を組み込むデタラメさを発揮した。こうして2022年5月の「グリーンエネルギー戦略中間整理」では、「安全性の確保を大前提に、地元の理解を得ながら、原子力発電所の再稼働を推進」と明記するに至ったのである。

海洋放出の
前提は崩れた
 次に原子力資料情報室の伴英幸さんが「ALPS処理―汚染水の海洋放出に反対しよう」というテーマで報告。「放射線影響評価の問題点」では、「(1)総放出量を明らかにするべき」「(2)OBT(有機結合型トリチウム)の濃縮を評価すべき」「(3)核種の海底への蓄積を考慮すべき」、「(4)64核種以外を明らかにすべき」と問題提起した。そして「漁業者団体の反対を受け入れよ」「海洋放出を止めるべきだ」、「固化処理の選択肢を再検討すべき――海洋放出の前提(安い・早いは崩れた!)」と呼びかけた。
 2013年9月の原子力災害対策本部基本方針では、「放射性液体廃棄物については、以下の対策に取り組むことにより、汚染水の海への安易な放出は行わないものとする。①増水の原因となる原子炉建屋等への地下水の流入に対する抜本的対策、②汚染水処理設備の除染能力の向上確保や故障時の代替施設も含めた安定的稼働の確保方策、③汚染水管理のための陸上施設等の更なる設置方策。なお海洋への放出は、関係省庁の了解なくしては行わないものとする」となっている。
 しかし実態は大違いだ。集会は、福島事故の反省どころか、ひたすら原発再稼働、運転延長に血道をあげる政府・原子力産業を糾弾し、集会終了後、参加者は政府と原子力産業を糾弾するデモを行った。  (K)

原発再稼働、運転延長をやめろとデモ(10.29)


 

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