大阪:脱原発政策実現全国ネット関西・福井ブロック11・26集会

隠された危険が数々
原発は今すぐ停止に
原発・核燃からの撤退を!

 【大阪】脱原発政策実現全国ネットワーク関西・福井ブロックの主催、大阪平和人権センターと原発反対福井県民会議の共催、しないさせない戦争協力!関西ネットワークと緑の大阪協賛の、原発・核燃からの撤退を求める集会が11月26日、エルおおさかシアターホールで開かれた。
 集会は、近藤さん(大阪平和人権センター)と増田さん(しないさせない戦争協力!関西ネットワーク)の司会で進められた。池島芙紀子さん(ストップ・ザ・もんじゅ)が主催者あいさつをし、今年は運動にとって正念場だとして、突然原発回帰を打ち出した岸田政権を強く批判した。

音楽は国境を越えて

 初めは、カテリーナ・グジーさんのパンドゥーラ(ウクライナの民族楽器)演奏と歌。カテリーナさんはウクライナから17年前に来日、日本を拠点に音楽活動を続けている。本当に澄み切った歌声と、少し哀調を帯びたパンドゥーラの音色が印象的だった。彼女はチェルノブイリ原発近くの町で事故の3カ月前に生まれ、被曝した。キエフに避難したが、友達からは、放射線被曝のため夜は体が光るそうだとデタラメな噂をばらまかれ、近寄ることを拒否され、辛かったと語った。最後に、日本語で「翼をください」と唱歌「ふるさと」を歌った。アカペラでの歌だったが、とても信じられないくらい豊かで美しく、体に滲みわたるように感じた。

リラッキング
は非常に危険
 続いて、守田敏也さん(フリーライター、著書に岩波ブックレット「内部ヒバク」)が「使用済み核燃料プール火災の恐怖」と題して短い講演をした。この事実はほとんど知られていないが、使用済み核燃料を収納するステンレス製の収納棚の間隔を小さくして、核燃料プールの中に核燃料がたくさん収納できるように変えられているとのことだ。このことをリラッキングという。
 福島原発事故の時、4号機は定期点検中で運転はしていなかったが、プールが冷却できなくなった。そのままなら、大爆発していたのだが、何故か横の原子炉ウエルに貯めてあった水が、仕切りを破ってプールに流れ込み、干上がりが回避できたという。このハプニングが起きなければ、最悪の場合、170km圏内は強制移動になっていた。これと同じような事故の可能性はリラッキングによっても深まっている、と守田さんは指摘する。原発を稼働すれば使用済み核燃料が増える。しかし、六ヶ所村の再処理工場のプールが満杯近くになるので、もう持ち込めない。そこで考え出されたのが、リラッキングだ。
 収容棚の1升は同じだが升と升の間の間隔を狭くし、ぎゅうぎゅう詰めの状態にした。このような変更は、福島事故以前から多くの原発で行われているという。核燃料はジルコニウム被覆管に詰められているが、使用済み燃料の発熱による蒸発で水位が低下すると、発火の可能性があるという。すると、それがプール全体に伝わり、大量の放射能の放出へとつながっていく。規制委員会は当初からリラッキングを認めてこなかったが、何故か、2019年になって玄海3号機のリラッキングを承認した。原発再稼働や老境原発の60年越え稼働などは問題外で、すべての原発を止め、安全を確保しなければいけないと、守田さんは強調した。

秘密にして始まった再処理工場建設
 休憩を挟んで、鎌田慧さん(作家)が「再処理工場の危機的な状況」と題して講演した。
 鎌田さんは、原発の危険性はかなり認識されているが、再処理工場のことはあまり知られていないという。もんじゅが敦賀市に来るといわれた頃取材した。今から41年前のこと。白木地区には、きちんとした道もなく、またちゃんとした港もなかった。人々は昆布の加工と漁で生計を立てていた。辺鄙なところに原発は来る。市役所に行って取材しても、若い職員は「あなたの思想が分からないから」との理由で何も話してくれなかった。また原発に対して「どちらの立場の人か分からないので言えない」とも言われた。原発を秘密にするやり方は今も変わっていない。青森県六ヶ所村に原発関連施設がつくられるときも、原発ではなく、石油コンビナートをつくるといわれていた。当時、水俣とかの公害問題が大きな問題になっていた頃に、原発施設建設とは言いにくいから、これを隠した。県知事の判断でそうしたという。
 原発建設反対闘争で負けたから……とよくいわれるが、日本人は原発には反対だった。原発は、原子力の平和利用だと言って米国で始まった。日本では、新全総の中心の原発は秘密にされ、パンフレットにも書かれなかった。六カ所村は、石油コンビナート建設で30万都市になるのだという触れ込みで始まった。
 使用済み核燃料再処理工場をつくると発表したのは、1989年だった。土地は買収され農民は土地を追われたが、六カ所村はずーと荒れ野原のままだった。そして、再処理工場の建設が始まったのは1993年のこと。それから、29年間工場は稼働していない。民間企業ではあり得ないことだ。それでも日本原燃は黒字だ。言葉は悪いが、電気料金をピンハネしているからだ。

汚染され手がつけられない六ヶ所村工場
 もんじゅが潰れたから、六カ所村は潰せない。六ヶ所村再処理工場はフランスのアレバの技術でつくられたが、最後の段階・ガラス固化体をつくる部分は東海村の技術を使った。この工程で、冷却水を流すバルブを閉めていることに気がついて、開いたがそのときには設備の全体が汚染されてしまった。この部署に職員は一人しか配置されていなかった。メンテナンスには13兆円かかると言われている。
 まとめの話をするが、ウクライナのザポリージャ原発をミサイル攻撃して、戦争になったらどうするのかというが、日本はトマホークを米国から購入する。専守防衛といったって、政治家の戦争のイメージなんかない。下々の人たちのことなんか考えていない。そもそも初めから無理なことをやっている。(時間足りず)
 老朽原発止めろ!に結集を!
 最後に、中嶌哲演さんがアピール。市民団体がたくさん再稼働反対の請願をしても全部無視し、たったひとつの再稼働決議案を通した議会。でも、事故が起きて、平常の放射線量の1万倍の線量でも避難は出来ない地元。時間がないので、一つだけに絞る。12月4日の関電包囲行動とデモには是非参加してほしい、と訴えた。     (T・T)

ウクライナ人のカテリーナ・グジー の演奏と歌で集会が始められた(11.26)
講演する鎌田慧さん

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