投書 マイナンバーカードに反対する
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河野太郎デジタル相は10月13日、現在は紙などで発行されている健康保険証を2024年秋で廃止し、マイナンバーカードと一体化させる方針を発表した。「マイナ保険証」を取得しなくても、保険料を支払っている人が保険診療を受けられる仕組みを政府は維持する方針だ。関係者によると、被保険者であることを示す証明書の発行などを検討しているという。
だが、具体策作りはこれからで、公表の時期も決まっていない。今年9月末時点で「国民」の半数はカードを持っていない。読み取り機の導入など、マイナ保険証に対応できる医療機関や薬局もいまだ約3割にとどまる。「小さい病院はマイナカードでの受診対応だけでも大変で、閉院を検討している病院もある」(木村知医師)。カードの保険証利用には、カード取得者向けの政府サイト「マイナポータル」からの申し込みなどが必要になる。ポータル利用で求められるのが利用規約への同意だが、(マイナポータルの利用規約には)広範な国の免責事項が記載されている。無責任だ。
将来的には「政府に都合の悪い国民を選別する材料になる」(斎藤貴男さん)。「国はマイナンバー制度を利用して、ゆりかごから墓場までの、個々人の生涯にわたる健康や病気にかかわる情報を一元管理することをめざしている」。「データは将来、戦争ができる国づくりの中で、徴兵制が設けられた際に有効に利用できる」(天笠啓祐さん)。
河野太郎デジタル相は10月28日、マイナ保険証一本化の政府方針に対し、デジタル庁に不安の声が数千件寄せられていると明らかにした。
「「マイナ保険証」計画は確実に失敗・頓挫することだろう」(明石昇二郎さん)。玉川徹さん(コメンテーター)はのべる。「『政府が個人情報を恣意(しい)的に使いやしないか』『警察国家にならないための監視は担保されているのか』といった不安や不信が国民にはあります。そんな疑問に納得できる説明はなく、法律で強制されていないマイナカードの取得を健康保険証廃止で半強制するというのはどういうことなのでしょうか。逆に国民が監視すべき情報はあります。国会議員に支給される調査研究広報滞在費や政党交付金、さらには政治資金などをマイナカードにひもづけして、その流れを公開してはどうでしょう。『まず隗(かい)より始めよ』です」(2022年11月18日・金曜日『東京新聞』朝刊14面、「熱風涼風」、「まず隗より始めよ」)。
私は国家が民衆を監視するマイナンバーカードにも「マイナ保険証」計画にも反対だ。だが、民衆が国家を監視する何らかのシステムはあってもいいのではないか。そう思っている。
【注】『東京新聞』と『週刊金曜日』の記事を参考にした。参考にした『東京新聞』の記事は10月14日・金曜日・朝刊1面、3面。
10月15日・土曜日・朝刊5面・社説。10月26日・水曜日・朝刊22面、23面。10月29日・土曜日・朝刊3面、11月18日・金曜日・朝刊14面、「熱風涼風」、「まず隗より始めよ」。いずれも2022年。
参考にした『週刊金曜日』の記事は11月4日(第1399号)25ページ。11月11日(第1400号)39ページ。いずれも2022年。(2022年12月4日)
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